芙蓉　土田麦僊筆　その３

本日は、当方の蒐集対象で郷里出身の画家である福田豊四郎が師とした土田麦僊の作品紹介です。

芙蓉　土田麦僊筆　その３絹本水墨着色軸装　軸先象牙　共箱二重箱全体サイズ：縦1410＊横605　画サイズ：縦442＊横498

土田麦僊の画歴は下記のとおりです。
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土田麦僊：（つちだばくせん、 1887年（明治20年）2月9日～ 1936年（昭和11年）6月10日）。大正～昭和期の日本画家。
明治20年（1887年）、新潟県佐渡郡新穂村（現佐渡市新穂）の農家の三男として生まれています。本名は金二。哲学者の土田杏村（茂）は弟です。
明治37年（1904年）、竹内栖鳳に弟子入り。明治44年（1911年）、京都市立絵画専門学校（現：京都市立芸術大学）を卒業しているます。同年には小野竹喬らとともに前衛的な絵画運動の会である仮面会（ル・マスク）を結成し、黒猫会に参加しています。
文展には在学中の明治41年（1908年）から出品していました。この頃の作品にはゴーギャンの影響が見られます。
大正7年（1918年）、麦僊は同じ京都市立絵画専門学校出身の同士であった村上華岳、榊原紫峰、小野竹喬、野長瀬晩花とともに国画創作協会を旗揚げしたます。同会は、伝統的な文展の審査のありかたに不満をもった若手日本画家たちが西洋美術と東洋美術の融合と新しい日本画の創造を目指して結成したもので、近代における日本画革新運動の代表的なものとして日本美術史上重視されています。同会は大正7年（1918年）の第1回展を皮切りに、昭和3年（1928年）までに東京および京都で計7回の展覧会を開催しましたが麦僊は第1回展に出品した『湯女図』（ゆなず）をはじめとして毎回意欲作を出品し、国画創作協会の中心的存在でした。
麦僊はルノワールやゴーギャンに傾倒し、伝統的な日本画に西洋絵画の重厚なマチエールや合理的な空間把握、幾何学的な構図などを取り入れた新たな絵画の創造を目指していたとされます。

大正10年（1921年）、麦僊は竹喬、晩花とともに渡欧。約1年半に亘り、西洋絵画の研究と制作を行っています。
また麦僊にはコレクターとしての一面もあり、この渡欧中にルノワール、セザンヌなどの西洋絵画を収集してました。現在、大原美術館にあるセザンヌの『水浴』は麦僊の旧蔵品であり、彼が自らへの刺激とするため常に画室の壁に掛けていたものであるという。
昭和2年（1927年）、フランス政府よりレジオンドヌール勲章シュヴァリエ章を受章しています。
山南塾を主催し、小松均、福田豊四郎、北澤映月、今尾津屋子らが育っています。
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福田豊四郎は15歳で画家を志し、京都に出て洋画家・鹿子木孟郎にデッサンを学びますが、日本画家・川端龍子の作品に感銘を受け、1921年（大正10年）東京で弟子入りしています。福田豊四郎の日本画の最初の師は川端龍子で生涯交流が続きます。川端龍子に勧められ一年余で再び京都へ移り、日本画家・土田麦僊に師事することになります。翌1924年（大正13）第4回国画創作協会展（国展）初入選していますが、同協会は龍子・麦僊らが文展の審査に不満を持って結成した革新的な団体であり、福田豊四郎は以後1928年（昭和3年）の同協会解散まで出品を続けたます。また土田麦僊と同じく京都市立絵画専門学校（現：京都市立芸術大学）を卒業していてます。

土田麦僊は無類の努力家とされ、多数の素描や草稿を描いたことでも知られます。対象の理想美を求めて、飽くことなくデッサンを繰り返したようです。人物の素描では同じポーズや顔、衣装などを幾度も描いたり、芥子や朝顔を種から栽培して実直に写生を繰り返したりと、その姿勢は単に対象の形や線を写すのではなく、麦僊の求める「内なる美」を追求するための真摯な探求心の表れともいえます。