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Channel: 夜噺骨董談義
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再興源内焼? 三彩宝尽くし図皿

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前の職場の同僚らとの会食やら大阪出張、会議やら、なにかとしゃべりまくり疲れたあとの先々週の三連休、息子の体調のいまひとつで酷暑ということもあり、息子が義母と遊んでいることをいいことに、書斎に閉じこもり骨董の整理やらブログの投稿原稿の作成に精を出していたら、小さな悪魔のささやき・・

いつの間にやら義母から離れて書斎に来たのか、息子が脇に立っており、「セミ鳴いているよ!」だと・・。

要は小生とセミを捕りに行きたいらしい。昨年、一緒にセミを捕ったのを覚えているようで、今年になってまだセミが鳴いていないので待っていたようです。先日、庭を這っていたセミの幼虫を小生が捕まえた写真を見せたのも刺激になっていたようです。



セミの幼虫の捕獲は、祖父母と息子が出かけた後だったので、小生が木の幹にセミの幼虫は放してあげたので、息子は見れなくて悔しかったせいもあるらしい。



「鳴いているけど一匹だけだよ?」と諭しても、「捕ろうよ!」だと・・。
仕方なくパソコンの作業を中断し、虫取り網を片手に外へ出ました。まだか細い声のセミ・・。なんとか見つけて「ほら、いるよ。」、「そっと近づくんだよ。」と言った脇から、息子が音の立てて急に近づくのでセミが飛んでいっていまいました。「ほら、だめじゃん。」

「向こうの木に飛んでいったから見てみようか?」と息子と再チャレンジ。くもの巣をかき分けて庭の奥の木の下に着いてしばらく観察・・。「いないね?」と小生が言うと「いるよ。ほら」と息子。「どこ?」、「ほら、そこ」。なるほど、なんとちょうど捕獲に手頃なところにセミがいるではないか!



「よし、捕るぞ!」といって網をかけるとものの見事に捕獲成功。「捕ったぞ~」と息子と大騒ぎしましたが、向かいの家で今日は告別式があることを思い出し、慌てて「しぃ~」



大喜びの息子にセミの掴み方を教えて虫かごへ・・。「夕方になったら放すんだよ。」、「うん」なかなかききわけの良い子なようで・・・。

さて、骨董品は縁起の良いものを捕獲、もとい収集するのが基本です。縁起の良さに目がくらんで購入したのが本日紹介する作品ですが、「源内焼」と思い購入したら、これは・・・???

三彩宝尽くし図皿
合箱入 
幅310*奥行き*高さ35



本作品は「打ち出の小槌」が目立ちますが、実は打ち出の小槌・隠れ蓑・隠れ笠をデザインした福を招く宝物が型で作られている「宝尽くし」の皿です。

上の写真はさかさまかもしれません。下記の写真のように見るのが正解かな?




裏側には貝の形をしたような脚がつけられており、宝珠の三足となっています。



宝珠はこれも吉祥文です



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打ち出の小槌:振ることにより様々なものが出てくるとされる伝説上の槌。日本の説話や昔話に登場している宝物のひとつである。鬼の持つ宝物であるとされるほか、大黒天の持ち物であるともいわれ、富をもたらす象徴として描かれる。

欲しいもの、願い事を唱えて振ると願いどおりの物があらわれる効果を持つ。隠れ蓑、隠れ笠と並び称されており、福を招く宝物であるとされる。



室町時代に書かれた『御伽草子』のひとつである『一寸法師』では、姫を襲った鬼がこのうちでのこづちを所持しており、一寸法師によって退治された際にこれを落としてゆく。一寸法師は姫に「大きくなれ」とこづちを振ってもらって体を大きくしてもらい、立派な武士として身を立てる結末となっている。

現在、一般に流布している昔話としての一寸法師でも同様にうちでのこづちが一寸法師を大きくするために使われる面が大きくあつかわれているが、『御伽草子』では背を大きくしたり、金銀を出したりする以外に、鬼を退治したあとの疲れをとるために次々とおいしそうな飯を出すなどの効果も発揮しており、その用途は幅広い。

平安時代末期の仏教書『宝物集』には、打ち出の小槌は宝物だけではなく牛や馬、食物や衣服など心のままにすべて出現させる事が出来るが、打ち出した物はまたこれすべて鐘の音を聞くと失せ果せる物であり、結局は現世に実在する宝物と言えるべきものではないという内容の説話を収録している。

うちでのこづちは、日本において大国主(おおくにぬし)の神と同一視されるようになった大黒天の持ち物であるといわれ、大黒天像は槌を持った姿で製作されることが多い。しかし、どのような記述によって大黒天が槌を持つ姿が製作されるようになったのかは明確ではない。

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亀の玄武のようなデザインは実は隠れ蓑・・・。



上部の笠は隠れ笠。これらの宝物の由来を知らないと本作品の有り難味がわかりませんね。

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隠れ蓑・隠れ笠:身につけると姿が消えるという想像上の産物。鬼や天狗の持ち物とされる。
隠れ蓑・隠れ笠は、身につけると姿を隠すことのできる蓑笠の呼び名で、古くから、打ち出の小槌(こづち)とともに、鬼や天狗などの異形(いぎょう)の人の持つ宝物とされた。



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さて、本作品はどこで作られた作品でしょうか?

 

これらは源内焼の亜流で、分類するならおそらく明治に再興された「再興源内焼」ではないかと推察しています。

本ブログでは幾つかの再興源内焼を紹介していますが、その代表的な作品が下記の「三春駒」の作品でしょう。

源内焼 その20 三春駒香炉
高さ184*尾含まない全長165*幅94



インターネットオークションではかなりの数、というよりも出品されているほとんどが源内焼の亜流や再興された源内焼が「源内焼」として紹介されていますが、なんとも「げんなり」ですね。

本ブログで紹介した作品でも数点、そのような作品が紛れ込んでいますので、後日改めて検証結果を投稿してみようかと思っています。ただあまりにもマニアックな説明となりますので控えていますが・・。

本来の源内焼と亜流や再興された源内焼を比較すると、例えがわるいようですが・・・源内焼が成虫したセミに例えると、他の作品はセミの幼虫のようなもので技術の差が歴然としています。


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