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凱旋門 伝呉冠中筆 その2

今年の冬も大雪にもめげずに男の隠れ家は健在です。

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昨年には裏側の更地になった隣地を購入し、今年の三月には家が立っている表側の隣地を購入予定です。増築計画の夢は膨らむ・・。目標500坪、まだ260坪・・・。

消滅していく地方都市になぜ投資するかだって? 高級マンションなどと称する猫の額ほどの空間にあくせくする都会の生活に何の魅力があるだろうか? 今に人が100年を生きる時代になったら価値観が全く変わるだろう。都会の人生の期間と自然と触れ合う人生の期間を半々ずつ持つような過ごし方が本当のリッチな人生となるのかもしれない。なにしろ広い高層マンションを購入するつもりなら、田舎では豪邸が複数入手できます。

最近、坂本龍一が最終居住地を京都にしたいので準備に入ったというニュースを聞きました。意外と古風というか既成概念・・。京都のどこがおもしろいというのだろう。

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忘れてならないのは男の隠れ家は郷里の近隣に方々やメンテナンスをしてれる方々によって、低コストで維持管理できているということです。

除雪をしてくれる人、水抜きなど設備のメンテをしてくる人、空気の入れ替えを定期的にしてくれる人、近所との情報交換を伝えてくる人、そして温かく迎えてくれる同級生や幼馴染・・。

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こちらは近所の方からの紹介で昨年に塗り替えた屋根、そののおかげで屋根の落雪が今年は早い! 男の隠れ家は低コストできちんと維持管理されています。

さて、本日は近代中国絵画の紹介です。

中国近代画家の作品は手を出さぬが賢明であろうというのは衆目に一致するとこと。多いのは贋作、模写、版画などの工芸品だと聞いています。

ただその中で栄宝斎出版の木版水印画の作品は適切な値段で取引される限りにおいてはリーズナブルな作品群ですので、本日はその作品について紹介します。

凱旋門 伝呉冠中筆
紙本水墨淡彩軸装 
全体サイズ:縦*横 画サイズ:縦1940*横800

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呉冠中:1919年生まれ、1936年国立杭州美術大学にて林風眠の指導の下で西洋美術を学ぶ。1942年卒業後フランスに渡り、4年間油画を学ぶ。1950年中国帰国後、清華美術大学および中央工藝美術学院で教鞭を取る現在、中央工藝美術学院教授。1989年6月中国文化基金会財団主催"呉冠中 現代中国画家展"。1992年3月~5月、"呉冠中20世紀の中国画家展" ロンドン大英博物館(大英博物館によって主催される最初の中国芸術家の展示会 英国放送協会が開催)。

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呉冠中は中国と西洋の芸術に精通し、現代中国で優れた業績をあげている芸術・文学の巨匠。油絵や水墨画、彩墨画、スケッチのほか、芸術理論や文学創作の面でも造詣が深く、海外にもその名を馳せている。これまでに英国やフランス、米国、日本、香港、台湾、東南アジア諸国などで大規模な個展を開催。大英博物館は1992年、慣例を破って初めて世界の画家・呉冠中氏の個展を開いている。 2004年から3~4年かけて世界を巡回。フランス文化省の最高勲章やパリ市のゴールド勲章などを受賞。

呉冠中の原画が競売にかけられ、水墨画としては過去最高額となる3,000万元(約4億4,000万円)で落札されたことでも知られる。

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呉冠中の肉筆の真作はかなり高価で入手不可能と思っていたほうがいいでしょう。本作品のように肉筆と識別しがたい精巧な工芸作品で楽しむのが得策ですが、時として肉筆として売買されることがあるようです。

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「木板水印画」についての記述は下記のような説明を紹介します。

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木板水印画:栄宝斎特有のもので古い歴史を持っている。全て手作業で行われる印刷技術で、この方法で印刷された画は原作(肉筆)に酷似しており、本物との区別がつかないほどである。栄宝斎が確立した木版水印画技法は斉白石自身も、「自分の作品でも肉筆か木版水印画かの区別がつかなかったほどである」と最高の褒め言葉を挙げた。

栄宝斎が手掛けた斉白石作品の木版水印画は、数百種類に及ぶ。斉白石は、栄宝斎取扱い作家の中で、最も作品数が多い作家である。後に業界内では、栄宝斎が「斉白石出版社」と言う皮肉めいたあだ名が付けられた。
※栄宝斎の店名の由来は「文を以て友と会し、栄名を宝と為す」の意味である。

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木版水印画とは、別名水印版画とも呼ばれており、中国の伝統的な水性木版画のことです。日本の版画との最大の相違点は紙です。日本の木版画は和紙を使用するのに対し、中国の水印版画は画仙紙を使用します。日本では習字、書道で使われるような非常に薄い紙です。浸水性が高く非常にコシの柔らかい紙です。日本の木版画で使用する和紙は比較的厚いものが多く、楮が多く含まれているため非常にコシのある強い紙です。浸水性よりも保水性に優れており、その為、比較的薄い和紙でも、水性木版画を擦る3時間前には紙を湿した新聞紙に挟んでおかなければ摺ることが出来ません。しかしこのように厚く、繊維の長い強い紙だからこそバレンの強い圧にも耐えることができます。

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それに対し中国の水印版画はバレンよりも柔らかいシュロを束ねたようなものを使って、弱い圧で摺ります。こちらは軽く湿した程度の弱い圧だと上手く摺れませんので、霧吹きなどを使用して紙を湿し、日本同様3時間ほどしてから実際には使用します。薄く浸水性の高い紙で同じ時間湿すので、こちらのほうがずっと、水っぽい感じになります。その為摺った時に、パッと滲んだ感じを上手く擦り取る事ができます。こうした摺りの特徴から水印版画と呼ばれるようになったそうです。

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元々は北宋の時代に南京あたりで芥子園画伝など中国の山水画、花鳥画の描き方などを広く伝えるために作られたと言われております。この水印版画が日本に伝わりのちの浮世絵の浮世絵の原型になりました。浮世絵の祖先とも言える版画技法です。これは1つの版画技法なので、価値は作品によって大きく変わります。木版画、リトグラフもまたそれぞれ一つの版画技法なので作品によって価値は様々です。

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色の違う部分ごとに版木を彫り、それを独特の方法で刷ってゆくので、多いものは一枚の画で1000回近く刷るそうです。もとの画と同じ顔料や墨を使って刷り、印の部分は石でほって印泥で捺すので、2-3mも離れて見たら本物か版画か見分けがつきません。

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ニジミは刷り師の技術で、水分量と刷る速度で見事に再現してしまいます。ただこれが出来る人は数人しかいないらしいです。刷った画を見て齊白石は自分が描いたものだと勘違いしたという逸話もあり、また数年前、日本のオークションにて数千万円で中国人が落札した画を中国に持ち帰って調べたら木版水印刷画だったという話もあるくらいであり、出来のよいものは十分に楽しめます。

今でも栄寶齋や朶雲軒にはいろいろな水印画が売っているらしいですが、やはり昔のほうが出来の良いのは、刷り師の腕の差であるそうです。画によっては、専門家でも判別の難しいものもあり、中国のあみだした素晴らしい印刷技法です。

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見分け方:近くで見て印刷だとわかるのはカスレ部分。これはカスレを一つ一つ木版に彫っているからです。ニジミ部分は刷り師の技術が高いと殆ど肉筆と判別できません。部分拡大して、カスレ部分の不自然さとニジミの圧縮痕で判別するしかないそうです。

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専門家の鑑定で10万と言われたら真筆か贋作か不明。100万と言ったら本物。木版水印画なら笑われるとか。

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中国近代絵画は本物をオークションにかけたら数百万から数千万の値がつくかも知れないですが、全く同じに見える水印画が北京や上海に行けば2-3万円から買える代物です。

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本作品も肉筆として売られていましたが、数万円程度でそれほど高価ではありませんでした。

ただ斉白石などの小作品などは、よく見ると版画とすぐにわかるものが横行していますので、そのような出来の悪い近年の水印版画の作品は購入しないほうがいいでしょう。肉筆の贋作は書き込みが少なく、出来の悪さでだいたいは判別できますが、これもまた真贋の判断は難しいようです。

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本作品のように肉筆と非常に判別しにくい出来の良い?「水印版画」で大きめの作品などは見ごたえがあります。気軽に飾って愉しめます。今まで敬遠していましたが、ここまで見事に再現されていると見直さざる得ませんね。

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本作品については版画と肉筆の区別は私には無理ですImage may be NSFW.
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なお作品に添付しいた下記のタグについては詳細は不明です。

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読者の皆さんも判りますが? 私にはどう細かく見ても肉筆にしかみえません。

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