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デルフト 染付唐草文瓢形瓶

10月の3連休は郷里にて中学校の同級会。約半世紀ぶりに会う方も数多かったが、皆元気そうなのが嬉しいものです。家内は家内で同じ日に茶事の全国大会のお手伝いでお出かけ・・。義父と義母に預けられて出がけには心細い様子の息子・・。

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さて骨董は半世紀どころではない年月を経たものばかり・・。17世紀初頭に中国製の染付の磁器がオランダに出回り、品質が高く、大変な人気を博しました。それまではイタリアの錫釉陶器のマヨルカ焼きの影響を受けていたデルフト焼は、中国製品の品質に追いつく為に努力を重ね、産業として大きく成長しました。

最盛期の作品はまるで中国の明の染付や日本の古伊万里と見違えるほどの作品を生産しましたが、本日はそのデルフト焼の作品の紹介です。

デルフト 染付唐草文瓢形瓶
合箱 
口径*胴最大幅103*底径*高さ207

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18世紀に頂点に達したデルフト焼ですが、その一方でマイセン焼の発祥のきっかけとなった磁器の原料のカオリンがドイツ北部で発見され、磁器生産はドイツの他にフランスやイギリスにも広がり、19世紀半ばには、デルフト市内の焼き物工房のほとんどが姿を消してしまいました。

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幸いにも、19世紀半ばにイギリスで始まった産業革命による大量生産は、手作りを基本とする焼き物の世界を終わらせることはありませんでした。作り手の生命の吹き込まれていない焼き物や、その他の工業芸術に対する反発が、奇しくも産業革命発祥の地イギリスで芽生え、「芸術運動」として始まり、1867年に行われたパリ万国博覧会に出品された日本製品のデザインからの影響も受け、手作りの美しさは甦ることとなったのです。

(この運動の影響は日本における柳宗悦、浜田庄司や、バーナード・リーチらの「民芸運動」にも及びました。)

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本作品は17世紀のデルフト窯とのこと。窯印で時代が判るらしいのですが、底にある「JV」について不明です。

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くびれ部分に破損した補修跡がありますが、非常に脆い作品が遺っていたことで希少価値があります。

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同型のものに下記の作品がありようですが、こちらの作品は18世紀の作だそうです。

18世紀の始めに頂点に達したデルフト焼きは、ヨーロッパ中の人気を集め、デルフト焼きの筆使いは、中国の磁器の絵付けを参考にし、相当高いレベルにまで発達したまさにその頃の作品と推察します。

サントリー美術館蔵の「染付花卉文瓢形瓶」(18世紀)

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当方のブログで紹介されたデルフト焼には下記の作品があります。各々生産された年代は不詳ですが、西洋風の侘びの風情があります。

デルフト 染付花鳥文壺 
合箱 
口径82*胴最大幅160*底径121*高さ223

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デルフト 楼閣文牛型香炉
合箱
幅160*奥行*高さ125デルフト焼

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デルフト 藍画花瓶手皿
古杉箱 
口径231*底径90*高さ40

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デルフト 湖図花瓶
合箱
幅120*奥行90*口径50*53*高さ200

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当方はデルフト焼は染付の資料の一環として蒐集した程度のもので、氏素性は解らぬものばかりです。ただ近代の作品よりもやはり時代を経た作品は魅力がありますね。

中学校以来の同級会、たかだか半世紀ですが、人間もそうありたい。

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