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天龍青磁 双耳花入

政治の世界、もとい青磁の世界に立ち入ることは生半可なことではないようです。小生は外からちらりとのぞき見する程度ですので、あまり深く考えないで本ブログをお読みください。

さてよく聞く「天龍青磁」に属すると思われる作品の紹介です。家内に「天龍青磁を知っている?」ときたら「知らない1」だと・・・。「砧青磁」は知っているらしいが、「七官青磁は?」と聞いたら「聞いたことがる。」だと・・。世間一般は青磁に関する知識はその程度らしい。

天龍青磁 双耳花入
口縁金繕補修・底水割れ補修有 合箱
口径110*最大胴幅110*高さ240*底径

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天龍青磁とは中国龍泉窯で元から明時代にかけて作られた青磁で、釉色がやや沈んだ暗緑色の青磁のことです。

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その名は、京都の天竜寺にこの手の青磁の香炉があったからとも言われています。

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実際のところ明から清朝への青磁の見極めは難しいと思います。産地は龍泉窯から景徳鎮へ移り、陶工も移動していますのでその見極めは煩雑のように思います。

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日本に舶載された中国の青磁は、ほぼ時代順に砧青磁(南宋~元)、天竜寺青磁(元~明初)、七官青磁(それ以)の3種に区別されますが、砧青磁は青磁の一級品で数が少なく、むろん入手は極めて困難です。

*本作品の底は窯割れでしょうか傷の補修跡があります。水漏れがあったとすると発掘品の可能性が高くなります。

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七官青磁は最晩期の明代中期から後期に焼かれたもので、淡い青緑色を帯びた透明性の強い青磁釉がかかり、青磁としては粗製に属し、格調に乏しい作品群です。訳の分からない青磁を「七官青磁かな?」と判断していると害はありません。

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龍泉窯では明時代からは大型の作品が作られ、胎土が不足し作品が粗雑となり、陶磁器の主流は景徳鎮への移行し、陶工もまた景徳鎮への移り住んだようです。その移行期が天龍青磁のようです。

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その後の青磁が一括して七官青磁と称されますが。粗雑とはいえ江戸時代に茶人が用いた花生、香炉、香合などが伝存しています。なお七官の名称の由来は、これをもたらした中国人の名前、あるいは位階とする諸説がありますが、定説は不詳ということのようです。

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本作品は七官青磁ほど野暮ったくなく、とはいえ胎土と釉薬から一級品とは言えず、天龍青磁に分類してみました。窯割れなどがありますが、本来は破棄されたものかもしれません。前述のように発掘品を補修して花入れに用いたものと推定しています。「媚びた」作品とは言えず、味わいのある作品と判断しています。

他の所蔵作品より「七官青磁」 

七官青磁花入
口径76*胴径150*底高台径87*高さ347

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当方では「大砲の弾」と称している作品です。本ブログに投稿していますが、ずいぶん前に二束三文で入手した作品です。今ではそれなりのお値段らしい・・。

下記の作品も本ブログで紹介されている作品です。鎹で繕われているところが見どころにもなっています。

天龍青磁源氏香紋三足鉢 明時代
古箱入
口径215*胴径235*高さ70

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下記の作品は言わずと知れた静嘉堂文庫美術館蔵の利休所持青「磁鯱耳花入(千利休所持「砧花入」です。

青磁鯱耳花入(砧花入)
龍泉窯 南宋時代 13世紀
寸法高26.3cm 胴径11.6cm

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砧青磁は一級品ですが、天龍青磁として本作品も見劣りするものではありません。ともかく物の本質は製作年代、真贋ではなくものの良し悪しそのものということを忘れないようにしたいものです。政治、もとい青磁は正道そのもの、物の良し悪しを決めるのは真贋ではない。

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青磁のいい作品はなかなかないものです。

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手前味噌ですが、このような青磁作品を見つけるのは非常に困難です。

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七官青磁は別として、砧、天龍青磁はすきったして品の良いフォルムの作品がいいでしょう。

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