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リメイク 鬼念佛図 和田三造筆 その1

蒐集を始めた間もない頃に入手した作品を再度撮影して本ブログに再投稿していますが、本日紹介する作品もそのような作品のひとつです。

鬼念佛図 和田三造筆 その1
絖本水墨軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:横488*縦1290 画サイズ:横397*縦356

なお本ブログで最近紹介し始めた「大日本魚類図集」(大野麥風 [画])の監修は和田三造です。これも何かの縁でしょうか?

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和田三造は明治16年生まれ、昭和42年没、享年85歳。洋画家、兵庫県出身。明治37年に東京美術学校を卒業し、黒田清輝に師事し、東京美術学校教授を経て芸術院会員。傍ら、日本標準色協会を作って色彩学の発達に努力した。代表作は「南風」。
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本作品は大阪府在住で和田三造と交友のあった人が、直接描いてもらった作品だそうです。

*同封された書付によると三本同じ家から出たとのことですが、当方で入手したのはそのうち二本の掛け軸です。

絖本に描かれた筆に勢いのあるいい作品であり、和田三造が日本画にも精通していたことを示すものでしょう。

**絹本と絖本:どちらも絹で作られたものですが、絹本は絹の「生糸」で「平織り」したもので、絖本は絹の「練糸」で「繻子織り」したものです。絹本のほうには光沢がありませんが、絖本のほうには光沢があります。絖本(こうほん)は、より上質で光沢のある絹糸を用いて、より光沢さを持たせる織り方で作られた絹の布地です。昔はかなり高価であったと推察されます。

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和田三造の日本画は人気があります。日本画、版画、工芸などに見せたその多才さが、かえって画家としての評価を上げていない点は特筆すべき点でしょう。本作品は確かな筆法による洒脱さがあることを示しています。

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落款に記された「41年」というのはおそらく昭和41年と察せられます。亡くなる前年の最晩年の佳作の一つといえましょう。

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本作品の画題は大津絵にもある「鬼念仏」ですね。鬼が僧衣をまとっている絵で、慈悲ある姿とは裏腹な偽善者を諷刺したものです。

鬼の住まいは人間の心の内にあるということで、描かれた鬼の角は、佛の教えである三毒(貧欲・瞋恚・愚痴)いわゆる人々の我見、我執であると言えます。人は自分の都合で考え、自分の目でものを見、自分にとって欲しいもの、利用できるもの、自分により良いものと、限りなく角を生やします。大津絵の鬼は、それを折る事を教え、鬼からの救いを示唆しているとも言われています。

大津絵では残忍な心を持った者が、うわべだけ慈悲深い態度をとったり優しい言葉を投げかけたりすることのたとえ。大津絵の画題の一で、鬼が法衣を着て、鉦(かね)と撞木(しゅもく)を持った姿を描く。これを室内に張っておくと、子供の夜泣きがなおるという言い伝えがあったそうです。

絵を観て何が描かれて、その絵は何を意味するか? 絵の鑑賞の基本ですが、最近の人は知ろうとしないし考えもしない・・・Image may be NSFW.
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