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リメイク再投稿 その4 贋作考 鍾馗之図

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リメイク再投稿 贋作考 2010年5月16日掲載

リメイクしていくことによって最初に投稿された原稿は非公開となっていくものが多くあります。このブログは作品の整理という目的でスタートしていますので、あまりにも拙い作品は処分していきますし、逆にある程度評価のあるものも非公開となります。

本日の画題の「鐘馗様」の掛け軸ですが、「鐘馗様」の作品は盛岡の骨董店で初めて購入しました。描いた画家も不明で、表具がボロボロでしたが迫力ある作品でしたので、額装に改装して現場事務所に飾りました。魔除けのご利益によってか、おかげで大きな事故やトラブルなく工事をいくつか終了することができました。最後の現場終了時に欲しいという方がいて、その方に作品を差し上げました。自宅の玄関ホールに飾っているそうですが、孫が「怖い」というので困っているそうです。

本ブログにて、その後の「鐘馗様」の蒐集作品を投稿してきましたが、その最初が本投稿でした。

鍾馗図 伝横山大観筆
絹本着色軸装合箱(署名有)二重箱軸先鹿骨 
全体サイズ:横505*縦2050 画サイズ:横373*縦1167


鍾馗之図 寺崎廣業筆
紙本水墨軸装 軸先木製 合箱入
全体サイズ:縦2000*横875 画サイズ:縦1480*横740


今までに鍾馗さんの絵は福田豊四郎、伝横山大観、寺崎廣業などを手にしましたが、なかなか面白いですね。愛嬌のあるお顔が厄除け・・・。

寺崎廣業や福田豊四郎(後日、縁があれば・・)の鐘馗様の作品は真作と判断していますが、当然ながら横山大観は贋作と判断しています。出来がいいのと落款・印章まで近似していていますので、欲にかられて購入したのですが、「絵の具が安っぽい」のと「筆遣いが荒っぽい」ことをで贋作と判断しています。鐘馗様の作品としては面白い

横山大観の作品は「大観記念館の鑑定番号」が軸の裏面付近にあって、それが登録されていないと真作とは認められません。鑑定のない作品は基本的には贋作扱いとなります。

本箱書から贈答に使われようになっていますが、作品は共箱ではありません。

       


寺崎廣業は私の郷里の秋田県出身の画家です。贋作も多く、落款の字体もいろいろと変化しており、判定の難しい画家の一人といえるでしょうが、私は本作品については真作と判断しています。

    


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鐘馗:中国で広く信仰された厄除けの神。
唐の玄宗皇帝が病床に伏せっていたとき、夢のなかに小さな鬼の虚耗(きょこう)が現れた。玄宗が兵士をよんで追い払おうとすると、突然大きな鬼が現れて、その小鬼を退治した。そしてその大きな鬼は、「自分は鍾馗といって役人の採用試験に落弟して自殺した者だが、もし自分を手厚く葬ってくれるならば、天下の害悪を除いてやろう」といった。目が覚めるとすっかり病気が治っていたので、玄宗は画士に命じて鍾馗の姿を描かせ、以来、鍾馗の図を門にはり出して邪鬼悪病除けにするようになったという。
初めは年の暮れの習俗であったが、のちに5月5日に移り、図柄としては鍾馗が刀を振るってコウモリ(蝙蝠)を打ち落としているものが好まれた。これは蝠の字が福に通じることから、これによって福を得たいという気持ちを表現したものである。この鍾馗の信仰は、日本にも伝わって室町時代ごろから行われ、端午の節供を通してなじみが深い。

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寺崎廣業:1866年〜1919年。日本画家。秋田生まれ。幼名忠太郎。秋田藩家老で七百石取りの家に生まれ、父が維新後、資産を蕩尽し、氷の行商まで経験している。
小室秀俊、平福穂庵に学び、のちに上京。絵画叢誌に古画の縮図や口絵を描き、山田敬中、邨田丹陵らと研究会をもちながら苦学。波瀾に富んだ修業生活を送りながらも、血筋のせいか豪快な性格は失なわず、ついに明治画壇のトップに立っている。
1897年(明治30)東京美術学校助教授となるが、翌年の美術学校騒動で岡倉天心らとともに辞職し、日本美術院の創設に参加。1901年(明治34)には、美術院正員のまま美術学校に復職し、教授となった。07年の第1回文展から第7回展まで審査員を務め、17年(大正6)帝室技芸員となった。代表作は『秋苑』『大仏開眼』『高山清秋』など。門下に野田九浦、中村岳陵、町田曲江らがある。大正8(1919)年、のどの癌が原因にて53歳で世を去った。

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寺崎廣業の「鐘馗様」の作品は大枚を出して改装し、家内の実家の床の間に飾っておいたら息子が誕生しました。

信じない方がおられるでしょうが、「骨董品を大切にしていると宝くじがあったようなことが起きる。」そういうことがときおりあるのです。

なになに本作品が欲しいという方がいる??? それではご利益はないでしょうね。前述の玄関に飾った「鐘馗様」もご利益がなかったのではないかと心配しています。

お願いされて人に骨董を差し上げることは何度かありましたが、後味があまりよくないので今はしないことにしました。自分で一番欲しいものを人様に差し上げなくてはならないのですが、それは蒐集している人には無理です。この程度でいいだろうという作品はやはり中途半端なものになり、失礼であったと後悔しることしきりです。

また一緒に骨董を購入するときに他人とはいかないことにしています。骨董市に連れてほしいという方がいますが、いいものはこちらも欲しいので、どちらかがいいものを見つけるとどちらかが地団駄を踏むことになります。骨董を買うときに一緒に行くのは家内だけと決めています。




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