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Channel: 夜噺骨董談義
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菅公図 平福百穂筆 その10

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十和田湖周辺にキリストのお墓やピラミッドのある?ことをご存知でしょうか? 家内と初めて十和田湖をドライブした時に「このあたりにキリストのお墓があるわよね?」だと・・

家内はマニアックなことを知っていてびっくりすることがあります。地元出身である私もそのときに知ったのですが、キリスト教の墓やピラミッドが十和田湖周辺にあるとでっち上げた?張本人のひとりが本作品を鑑定している鳥谷幡山とのことです。


ときおり兎も角いろんなことがいろんなようにつながっているということが、骨董を趣味としていることで。人物の資料を紐解くと解ってきます。


菅公図 平福百穂筆 その10(真作整理番号)
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 鳥谷幡山鑑定箱
全体サイズ:横325*縦1570 画サイズ:横225*横705



箱書きには「菅公図」と署され、裏には「昭和戊寅秋□ 幡山道人恭題 押印」とあり、鳥谷幡山の昭和13年(1938年)の鑑定です。なお平福百穂は昭和10年に亡くなっています。

鳥谷幡山の鑑定は意外と?まともです。意外ということは、中には「鳥谷幡山」の鑑定そのものが贋作、もしくは鑑定に間違いがあるということを含んでいます。100%信用してはいけませんね。橋本雅邦、寺崎廣業、平福穂庵、平福百穂など鑑定する対象画家は何人もいます。

  

印章や正式な印章でないのは即興で描かれたことや神格化された菅原道真に対する敬意の為と考えられます。画家が貴き対象(神仏や身分の高い人物など)を描くときにはよくあることです。

平福百穂はマークのように書いている印章を時折使います。手書きの印章だから贋作と判断するのは早計、というより大きな間違いです。

「菅公」というのは説明するまでもなく「菅原道真公」のことです。



本作品を平福百穂の真作と認めるのは私だけではないように思います。

百穂の人物画は「田沢湖伝説」、「高麗献馬」、「豫譲」、「王詳」、「聖徳太子」、「法然上人」、「堅田の一休」などほとんどすべてが歴史上の人物となっています。

対象に迫ってものの本質を捉えようとすることは、人物画においてもその姿勢は変わらず、本作品は「菅原道真」というより天神様としての神格化された「菅公」の表情を描こうとしてるようにうかがえますね。

鳥谷幡山は日本画家としてのほかに十和田湖を観光地として盛り上げた人物として著名ですが、その中にはピラミッドやキリストのお墓というのまであります

キリスト様のお墓をでっち上げた?人物が天神様の作品の鑑定???  そういう観点から作品を観るのも面白い


鳥谷幡山:(とや-ばんざん) 1876−1966。明治-昭和時代の日本画家。明治9年1月18日生まれ。寺崎広業,橋本雅邦にまなぶ。明治35年美術研精会の創立に加わり,のち独立絵画会主幹をつとめる。十和田湖を好んで描いた。昭和41年2月20日死去。90歳。青森県出身。東京美術学校(現東京芸大)卒。作品に「十和田湖大観」など。

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