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松 平福百穂筆 大正14年(1925年)頃

義父の葬儀を終えて、休む間もなく母の一周忌で郷里へ。夜遅くの帰京の羽田空港ではさすがに疲れた親子・・・。

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でも意外に息子は元気、頼もしくなってきた。

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極力自分でやらせるようにしている。

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さて本日の作品の紹介です。

資料を整理してみて真贋の判断が最も難しい画家の一人が平福百穂でしょう。まず肉筆と区別が難しい工藝作品がたくさんあります。落款と印章が真作と同じですから、どのような工芸品が出回っているかを知らないと肉筆の真作と思い込んでしまいます。またかなり似た筆致の作品で鑑定があり、印章もかなり似せた作品が数多くありますので、慎重な判断を要します。

松 平福百穂筆 大正14年(1925年)頃
絹本着色軸装 軸先 島田柏樹鑑定箱 二重箱
全体サイズ:横480*縦2220 画サイズ:横335*縦1290

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平福百穂の作品においては目の粗い絹本に描かれた作品は精巧な工藝作品を疑ってかかって方が無難です。明らかな紙本の印刷作品は解りやすいのですが、絹本の工藝作品は印刷か否かは非常に解りにくいです。むろん紙本でも精巧な作品があります。ただ真印と印章の大きさが違うようです。よって印章の大きさまで比較する必要があります。当方でも二作品ほど工芸品が入り混じっていました。印章の大きさが違うことや印章に若干の違いがあり判断がつきました。肉筆か否かは素人では判らないくらいよくできています。

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鑑定箱のある平福百穂の作品でも鑑定を信用しないことです。また共箱でも怪しく、共箱ではないものはもっと怪しいと思ってください。当方では再整理した段階で5作品ほど真作とは断定できない作品がありました。真贋藍半ばというものまであります。贋作に使われる印章は朱文白方印「百穂」が多い傾向がみられます。

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この朱文白方印「百穂」には幾つかの種類がありますので、年代との照合や印影の確認が不可欠です。ただあくまでも作行が真贋のポイントです。贋作には怪しい?雰囲気というものがありますが、筆致はよく似ていますので、ちょっと見た感じでは真作と判断しがちです。

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以上の経験から踏まえて本作品はきちんとした真作に相違ありません。こういう筋の通った作品は一目で真贋が解るものです。

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真作はその箱の誂えですぐ解ることがあります。

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記述したくても書いたのでは理解できないと思いますが、まず箱の作りが違います。

ところで防虫剤いれるところまで作っている箱は意外に少ないです。これは防虫剤を入れるところに防虫剤をいれると意外に効能が少なくなるからでしょう。

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表具もまったく出来が違います。当時はいい作品は箱や表具の誂えをきちんとした指物師や表具師に依頼したのでしょう。

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ところで本作品を購入した理由は「奇跡の一本松(岩手県陸前高田市気仙町の高田松原跡地にある)」にそっくりだからです。

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津波被害において松原の7万本の木の中で一本松だけが唯一生き残った松です。下左の写真が震災後ですが、この木を保護する活動が続けられたものの、根が腐り枯死と判断された状況が下右の写真です。

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小生も震災直後の陸前高田を訪れており、この作品を観るたびに「奇跡の一本松」を思い出します。

作品には門下生の島田柏樹の鑑定があり、しっかりした鑑定です。平福一郎、舟山三郎の鑑定が一般的ですが、こちらもよく似せた鑑定書きや箱書きがあります。

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下右の1925年(大正14年)作の「青岱」(図集掲載)の落款と印章と本作品は一致します。この印章が押印された作品は意外に数が少ないです。

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虚実に惑わされず、きちんとした方向に震災復興は向いていくべきでしょう。骨董蒐集も同じで、日々のお努力と研鑽が必要なのでしょう。

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すっきりと立った古備前の壺を手前に置きました。人生はこの一本松のようにひとりで強く生きていかないくてはならない局面が多い。息子にはそういう生き方ができるようになってほしい。

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