帰省した際は男の隠れ家にて愉しみながら整理していた漆の器。明治期はあろうかという器で、しかもここ50年以上は使われていなかった器ですから、痛んだものもあれば不揃いのものもあり、使えそうにないものは処分し、使えそうないいもの作品だけを選んでいます。この作業を愉しいと思う人か、苦痛かと思う人かで、その人が骨董蒐集に向いているか否かの違いだろうと思います。ほとんどの人が面倒くさがるのでしょうね。
帰省先では時間がないのでなかなかうまくメンテや整理ができないので、男の隠れ家から持ち出して再度整理しています。もともと男の隠れ家の蔵に散在していた作品ですが、今回は朱塗の碗類だけ持ち出しました。そう「黒塗」の碗類もあります。これは朱塗の碗だけですが、しかも朱塗の碗の全部ではありません。出所が同じ椀だけの持ち込みですが、その時々で作品を補填していたりして、どの碗にどの蓋かがわかりづらくなっています。再度きちんと解りやすいように本格的に整理することにした次第です。
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平椀にはこの蓋、坪碗にはこの蓋、飯碗にはこの蓋、汁椀にはこの蓋・・・・微妙に大きさの違う作品を合わせていきます。
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上記の写真二つで作品の光沢が違うと思いますが、しつこい漆器の汚れを落とす最後の手段を知っていますか? サラダオイルと歯磨き粉を混ぜて磨くという方法です。ただし傷つけないように研磨することに気を付けなくてはいけません。
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数が数だけに家内が手伝ってくれましたが、家内が手伝うと息子も手伝いだしました。
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最初の写真より光沢が出たのが解りますか? 作品は明治30年頃からの作品ですので、味もありますが、だいぶ光沢に陰りがあります。磨くことでこの中古感が全くと言っていいほどなくなりますね。これが日本製の漆を使った漆器の魅力です。
漆器にそこまで手間をかける必要があるのか? 新しい漆器を揃えたほうがいい? ネットオークションか骨董市で古い揃いものを買ったらどうか? と思う方がいるでしょうが、まず近代作の漆器は質の良い日本製の漆ではないこと、木の材質が良く、出来の良い作品はもはや市場には少ないことから、本作品のような作品は手入れする価値があると思っています。
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さて傷ついた作品と無傷の作品と仕分けて五客ずつ分けて収納します。しかも当時の箱を利用して・・・、それはまた後日紹介します。痛んだ作品の修理もあり、ともかく長丁場の仕事です
さて本日は珍しいらしい青備前らしい作品を紹介します。
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青古備前鶴香合
誂箱
幅95*奥行43*高さ65
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昔は、「青備前」は匣鉢の中や、入れ子になっていた品が、燃料の松の熾(おき)に覆われ 還元焼成にて偶然出来ていたと言われています。
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現在では意図的に匣鉢に入れ、焼成終了直前に「炭」を投入して作ります。素地中の鉄分量、焼成温度、冷却還元雰囲気の濃度などによって水灰色から黒に近い濃灰色まで様々な色が出るとのことです。
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窯の中で空気があたらない箇所、還元(酸欠状態)で焼かれると青になります。その反対で、酸化になると酸化焼成でオレンジ色になります。酸化焼成では緋襷(ヒダスキ)が分かりやすい例です。
また、この方法とは別に、塩窯による青備前「塩青焼」というのがありますが、この場合は藁の跡がくっきりと発色しなかったり、色の風合いが全く異なります。電気窯など焼成温度の調整ができるようになってからはいろんな焼成が意図的にできるようになってきています。
*備前以外で浜田庄司が考案した塩釉というのがありますが、同じ方法かどうかは不明です。
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たしかに焼成温度の調整もたやすくなり、還元焼成も簡単になりましたが、ただコストがかかるため現在では作る窯元も少なく、ご存じない方が多いのが「青備前」です。
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この青備前は、必ず意図したとおりの発色になるとは限らず、また、釜の中でも還元状態になる場所が少なく、生産が非常に困難なことから、大変珍重されてきたようです。この涼しげで神秘的な色の備前にはファンも多く、備前焼の中でも青備前をコレクションされている方も多いのですが、本来の酸化焼成が好きな人には抵抗があるかもしれませんね。
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徳利や細工物の古備前ではよく見かける青古備前ですが、茶道具では稀な作品群ではないかと思います。
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裏には鶴の脚も細工され、推測域を出ませんが、幕末から明治期において備前の細工物を作る窯元にて作られた作品ではないでしょうか? 「古備前」と呼べるほどの時代があるかどうかは定かでありません。
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考えてみると当方では備前の香合はなかったように思います。本作品は備前が細工物を盛んに作っていた頃の作品ではなかろうかと推察していますが、備前は細工物が得意な時期があったことを知らないことが多いように思えます。
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備前に限らず鶴形の香合は多いのですが、ともかく愉しい作品ですね。香合は朱肉入れに使っても面白いと思います。
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ひょうきんな眼の表情がいいですね。本日の記事の紹介は古いものか、貴重なものかという観点はさておいて、還元焼成のよる「青備前」という作品の紹介です。
帰省先では時間がないのでなかなかうまくメンテや整理ができないので、男の隠れ家から持ち出して再度整理しています。もともと男の隠れ家の蔵に散在していた作品ですが、今回は朱塗の碗類だけ持ち出しました。そう「黒塗」の碗類もあります。これは朱塗の碗だけですが、しかも朱塗の碗の全部ではありません。出所が同じ椀だけの持ち込みですが、その時々で作品を補填していたりして、どの碗にどの蓋かがわかりづらくなっています。再度きちんと解りやすいように本格的に整理することにした次第です。

平椀にはこの蓋、坪碗にはこの蓋、飯碗にはこの蓋、汁椀にはこの蓋・・・・微妙に大きさの違う作品を合わせていきます。

上記の写真二つで作品の光沢が違うと思いますが、しつこい漆器の汚れを落とす最後の手段を知っていますか? サラダオイルと歯磨き粉を混ぜて磨くという方法です。ただし傷つけないように研磨することに気を付けなくてはいけません。

数が数だけに家内が手伝ってくれましたが、家内が手伝うと息子も手伝いだしました。

最初の写真より光沢が出たのが解りますか? 作品は明治30年頃からの作品ですので、味もありますが、だいぶ光沢に陰りがあります。磨くことでこの中古感が全くと言っていいほどなくなりますね。これが日本製の漆を使った漆器の魅力です。
漆器にそこまで手間をかける必要があるのか? 新しい漆器を揃えたほうがいい? ネットオークションか骨董市で古い揃いものを買ったらどうか? と思う方がいるでしょうが、まず近代作の漆器は質の良い日本製の漆ではないこと、木の材質が良く、出来の良い作品はもはや市場には少ないことから、本作品のような作品は手入れする価値があると思っています。

さて傷ついた作品と無傷の作品と仕分けて五客ずつ分けて収納します。しかも当時の箱を利用して・・・、それはまた後日紹介します。痛んだ作品の修理もあり、ともかく長丁場の仕事です
さて本日は珍しいらしい青備前らしい作品を紹介します。

青古備前鶴香合
誂箱
幅95*奥行43*高さ65

昔は、「青備前」は匣鉢の中や、入れ子になっていた品が、燃料の松の熾(おき)に覆われ 還元焼成にて偶然出来ていたと言われています。

現在では意図的に匣鉢に入れ、焼成終了直前に「炭」を投入して作ります。素地中の鉄分量、焼成温度、冷却還元雰囲気の濃度などによって水灰色から黒に近い濃灰色まで様々な色が出るとのことです。

窯の中で空気があたらない箇所、還元(酸欠状態)で焼かれると青になります。その反対で、酸化になると酸化焼成でオレンジ色になります。酸化焼成では緋襷(ヒダスキ)が分かりやすい例です。
また、この方法とは別に、塩窯による青備前「塩青焼」というのがありますが、この場合は藁の跡がくっきりと発色しなかったり、色の風合いが全く異なります。電気窯など焼成温度の調整ができるようになってからはいろんな焼成が意図的にできるようになってきています。
*備前以外で浜田庄司が考案した塩釉というのがありますが、同じ方法かどうかは不明です。

たしかに焼成温度の調整もたやすくなり、還元焼成も簡単になりましたが、ただコストがかかるため現在では作る窯元も少なく、ご存じない方が多いのが「青備前」です。

この青備前は、必ず意図したとおりの発色になるとは限らず、また、釜の中でも還元状態になる場所が少なく、生産が非常に困難なことから、大変珍重されてきたようです。この涼しげで神秘的な色の備前にはファンも多く、備前焼の中でも青備前をコレクションされている方も多いのですが、本来の酸化焼成が好きな人には抵抗があるかもしれませんね。

徳利や細工物の古備前ではよく見かける青古備前ですが、茶道具では稀な作品群ではないかと思います。

裏には鶴の脚も細工され、推測域を出ませんが、幕末から明治期において備前の細工物を作る窯元にて作られた作品ではないでしょうか? 「古備前」と呼べるほどの時代があるかどうかは定かでありません。

考えてみると当方では備前の香合はなかったように思います。本作品は備前が細工物を盛んに作っていた頃の作品ではなかろうかと推察していますが、備前は細工物が得意な時期があったことを知らないことが多いように思えます。

備前に限らず鶴形の香合は多いのですが、ともかく愉しい作品ですね。香合は朱肉入れに使っても面白いと思います。

ひょうきんな眼の表情がいいですね。本日の記事の紹介は古いものか、貴重なものかという観点はさておいて、還元焼成のよる「青備前」という作品の紹介です。