陶磁器の歴史において、中国陶磁器に比して日本の陶磁器が敵わない点はいくつかありますが、その中で最たるものは青磁の分野でしょう。
*下の写真は青磁の輪花茶碗。製作された時代は当方の知識では不明としか言いようがありません。
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近代作の模倣品と思われる作品においても青磁の中国の技術の高さには驚かされます。やはり磁器の轆轤の技術が高いのでしょう。
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さて青磁に分類されるのでしょうが、本日は影青についての考察です。影青の宋時代の作品は「北宋時代がいい」という人と「南宋時代がいい」という人がいるようです。文献でも意見は多様のようです。本当かどうか分かりませんが、発掘によって多くの作品が出回ることで北宋時代の希少価値が下がったことという記事もあります。影青の作品において北宋時代の作を崇めた時代は過ぎたのかもしれません。
そもそも影青の語源は、白磁に印花や刻花で文様を表し、その上から薄青色の釉薬を施した際に凹んだ”影”の部分に釉薬が深く溜まり、澄んだ深みのある美しい”青”色を呈することから付けられたようです。
文献には「影青の技法は北宋時代に生まれ、南宋時代に完成します。北宋時代は胎も釉も薄く、まるで紙のように軽く、触ると手が切れそうなほどシャープです。南宋時代になると、胎も釉も少し厚みが出て、優しさと艶やかさと瑞々しさが出ます。時代の好みと、技術の向上により影青は南宋時代に最盛期を迎えました。」という記事があります。
本日の作品は北宋時代の特徴を模倣したおそらく近代作かもしれませんが、そういう前提で本ブログは参考資料としてお読みください。
影青刻花碗 宋(北宋?)時代 その8
合箱
口径175*高さ63*高台径
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宋代の影青というと「なんでも鑑定団」に出品された下記の作品が思い浮かびますね。
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参考資料
なんでも鑑定団より
2017年10月17日放送
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評価金額40万円
評:13世紀、中国南宋時代の後期に江西省景徳鎮窯で焼成された青白磁。これより古い12世紀前半までの北宋時代の影青が市場にでれば最低でも500万円、高ければ2000万円。ただ、それは数が少ない。南宋の時代になると大量生産をした。
時代がわかるのは、本作品は横から見ると形がはんなりとふっくらしている。また、高台がわりと大きく、すべすべしているところ。北宋時代の青白磁は窯道具の台に乗せて、鞘に入れてひとつずつ焼成するため、高台の裏に窯道具の鉄色の跡がある。
本作品の見込みを見ると、箆か櫛でささっと雲とも水の流れともつかない文様を描いている。勢いが出て、実に良い文様。薄作なので割れてしまうため、依頼品のような状態の良い青白磁が出るのは極めて少ない。
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北宋時代の影青が市場にでれば最低でも500万円、高ければ2000万円・・・・????? 北宋時代の希少価値が南宋時代の作を上回るという評価です。
一方で下記ような興味深い記事があります。
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北宋影青の作品だが、これほど数多く優品がマーケットに出回るとは思いもよらなかった。35年ほど前、フィリピンのマニラで素晴らしい影青の鉢を見つけた。値段を聞くと350万くらいだった。その頃そこそこの家が1軒買えるような値だったように思う。粘って250万くらいにネゴをした。
現金の持ち合わせがなかったので、会社の代理店から金を出してもらおうと交渉に行った。セキュリティー上の理由で手持ちのキャッシュがないのでちょっと待ってくれと言われた。半日ほどかかってキャッシュを集め、段ボール箱に入れた。当時フィリピンペソは高額紙幣がなく、かなり大きな箱に金を詰め込んだのを覚えている。
ガードマンを雇って骨董屋へ引き返したら、シンガポールのローさんという業者に先に買われてしまっていた。ワーワー言っていると、「アンタ売り先があるの?」とローさんに聞かれ「こんな高価なもの売り先もないのに仕入をしたらだめだよ。」と逆に説教食らったことが昨日のように思い出される。
その時の青白磁の鉢と殆ど同じものが今10~20万くらいで入手できるのだ。しかし香港ではもうそろそろ値上がり気味だ。「日本でいい物があれば買いますよ」と香港の親しいディーラーが、時々言うようになった。今この種の中国陶磁が世界で一番安いのが日本のようです。
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いつの頃の記事かは不明ですが、北宋の作品が現在数多く出回っていることは事実のようで、「なんでも鑑定団」の値段はとんでもなく高いと思っている御仁は多いようです。
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南宋の作品となる数万円、目くじら立てる価格ではなくなっているようです。
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たしかに徐々に出回る作品が少なくなってきている気配があります。これは明末赤絵、天龍道人、蓑虫山人らの作品と同じで、インターネットオークションで出回り尽くした感が出始めているのかもしれません。
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紛い物も多いので要注意ですが、今回はそのような考察はさておきましょう。
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ただ影青、定窯を模様した近代作は一般に「これは近代作だよ!」と明らかに解るものが多いです。
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模倣作品でいつも感心するのが、透き通るようなその薄さです。本歌よりおそらく薄いでしょう。近代中国の薄く作る轆轤の技術は素晴らしいものがありましたが、行き過ぎた薄さ、それが近代作の特徴でもあります。
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発掘品は時間経過による黄ばみのような色もあり、かせたところのある作品が多いようです。
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一般に北宋時代は大きさが小さいかな? 真作ならこのような南宋時代のような大きさの作品は珍しいかもしれません。
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はてさて・・・・。
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朝日生命と記された風呂敷に包んでおきました・・・・。この手の作品がいいものも怪しいものも含めて8作品となりましたので、なにはともあれあと2作品で10客揃いの食器として使えそうです。
*下の写真は青磁の輪花茶碗。製作された時代は当方の知識では不明としか言いようがありません。
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近代作の模倣品と思われる作品においても青磁の中国の技術の高さには驚かされます。やはり磁器の轆轤の技術が高いのでしょう。
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さて青磁に分類されるのでしょうが、本日は影青についての考察です。影青の宋時代の作品は「北宋時代がいい」という人と「南宋時代がいい」という人がいるようです。文献でも意見は多様のようです。本当かどうか分かりませんが、発掘によって多くの作品が出回ることで北宋時代の希少価値が下がったことという記事もあります。影青の作品において北宋時代の作を崇めた時代は過ぎたのかもしれません。
そもそも影青の語源は、白磁に印花や刻花で文様を表し、その上から薄青色の釉薬を施した際に凹んだ”影”の部分に釉薬が深く溜まり、澄んだ深みのある美しい”青”色を呈することから付けられたようです。
文献には「影青の技法は北宋時代に生まれ、南宋時代に完成します。北宋時代は胎も釉も薄く、まるで紙のように軽く、触ると手が切れそうなほどシャープです。南宋時代になると、胎も釉も少し厚みが出て、優しさと艶やかさと瑞々しさが出ます。時代の好みと、技術の向上により影青は南宋時代に最盛期を迎えました。」という記事があります。
本日の作品は北宋時代の特徴を模倣したおそらく近代作かもしれませんが、そういう前提で本ブログは参考資料としてお読みください。
影青刻花碗 宋(北宋?)時代 その8
合箱
口径175*高さ63*高台径
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宋代の影青というと「なんでも鑑定団」に出品された下記の作品が思い浮かびますね。
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参考資料
なんでも鑑定団より
2017年10月17日放送
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評価金額40万円
評:13世紀、中国南宋時代の後期に江西省景徳鎮窯で焼成された青白磁。これより古い12世紀前半までの北宋時代の影青が市場にでれば最低でも500万円、高ければ2000万円。ただ、それは数が少ない。南宋の時代になると大量生産をした。
時代がわかるのは、本作品は横から見ると形がはんなりとふっくらしている。また、高台がわりと大きく、すべすべしているところ。北宋時代の青白磁は窯道具の台に乗せて、鞘に入れてひとつずつ焼成するため、高台の裏に窯道具の鉄色の跡がある。
本作品の見込みを見ると、箆か櫛でささっと雲とも水の流れともつかない文様を描いている。勢いが出て、実に良い文様。薄作なので割れてしまうため、依頼品のような状態の良い青白磁が出るのは極めて少ない。
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北宋時代の影青が市場にでれば最低でも500万円、高ければ2000万円・・・・????? 北宋時代の希少価値が南宋時代の作を上回るという評価です。
一方で下記ような興味深い記事があります。
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北宋影青の作品だが、これほど数多く優品がマーケットに出回るとは思いもよらなかった。35年ほど前、フィリピンのマニラで素晴らしい影青の鉢を見つけた。値段を聞くと350万くらいだった。その頃そこそこの家が1軒買えるような値だったように思う。粘って250万くらいにネゴをした。
現金の持ち合わせがなかったので、会社の代理店から金を出してもらおうと交渉に行った。セキュリティー上の理由で手持ちのキャッシュがないのでちょっと待ってくれと言われた。半日ほどかかってキャッシュを集め、段ボール箱に入れた。当時フィリピンペソは高額紙幣がなく、かなり大きな箱に金を詰め込んだのを覚えている。
ガードマンを雇って骨董屋へ引き返したら、シンガポールのローさんという業者に先に買われてしまっていた。ワーワー言っていると、「アンタ売り先があるの?」とローさんに聞かれ「こんな高価なもの売り先もないのに仕入をしたらだめだよ。」と逆に説教食らったことが昨日のように思い出される。
その時の青白磁の鉢と殆ど同じものが今10~20万くらいで入手できるのだ。しかし香港ではもうそろそろ値上がり気味だ。「日本でいい物があれば買いますよ」と香港の親しいディーラーが、時々言うようになった。今この種の中国陶磁が世界で一番安いのが日本のようです。
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いつの頃の記事かは不明ですが、北宋の作品が現在数多く出回っていることは事実のようで、「なんでも鑑定団」の値段はとんでもなく高いと思っている御仁は多いようです。
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南宋の作品となる数万円、目くじら立てる価格ではなくなっているようです。
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たしかに徐々に出回る作品が少なくなってきている気配があります。これは明末赤絵、天龍道人、蓑虫山人らの作品と同じで、インターネットオークションで出回り尽くした感が出始めているのかもしれません。
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紛い物も多いので要注意ですが、今回はそのような考察はさておきましょう。
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ただ影青、定窯を模様した近代作は一般に「これは近代作だよ!」と明らかに解るものが多いです。
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模倣作品でいつも感心するのが、透き通るようなその薄さです。本歌よりおそらく薄いでしょう。近代中国の薄く作る轆轤の技術は素晴らしいものがありましたが、行き過ぎた薄さ、それが近代作の特徴でもあります。
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発掘品は時間経過による黄ばみのような色もあり、かせたところのある作品が多いようです。
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一般に北宋時代は大きさが小さいかな? 真作ならこのような南宋時代のような大きさの作品は珍しいかもしれません。
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はてさて・・・・。
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