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Channel: 夜噺骨董談義
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鐘馗之図 その2 寺崎廣業筆 その27

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3か月ごとの血液検査・・、今回も異常なしでオールクリアでした。検査結果を聞くまではハラハラドキドキ・・。医療費の精算待ちの席で前のご高齢の方がお二人で話されていましたが、「長生きは運が必要だね〜。」だと・・、思わず納得。

さて本日の作品の作者である寺崎廣業は本作品を描いてからのどの癌を発病し、1年を待つことなく亡くなっています。存命中は横山大観と並び称せられた画家でしたが、今少し長生きしていれば現在の評価も少しは高くなっていたかもしれません。

本ブログにて壮年期と最晩年期の「鐘馗之図」が揃ったことは幸運ですね。

鐘馗之図 その2 寺崎廣業筆
紙本水墨軸装 軸先鹿骨 共箱 
全体サイズ:横443*縦2255 画サイズ:横310*縦1334



落款部分には「大正七年四月 廣業 押印」とあり亡くなる前年の53歳の作品です。印章は「騰龍軒」の白文朱楕円印が押印されています。大正七年には有名な「杜甫」の作品が10月に描かれていますので、その落款と一致します。

 

この年には帝国技芸員に任命され、さらには菅子夫人との銀婚式を迎えたのですが、夏には咽頭癌により静養に入ります。

「杜甫」(第12回文展出品作)の作品は弟子である高橋万年の模写作品が本ブログに投稿されています。




他の所蔵作品
「鍾馗之図 寺崎廣業筆」紙本水墨軸装 軸先木製 合箱入 
全体サイズ:縦2000*横875 画サイズ:縦1480*横740の大幅



この作品は落款の「廣業」の「業」の字が二本線の俗に言う「二本廣業」で、明治35年頃から42年頃までの7年くらいの間に描かれた壮年期の作で、こちらは筆の勢いのある作品となっておりますが、本作品は落ち着いた熟練の域にある寺崎廣業の作品といえます。

壮年期と最晩年期の「鐘馗之図」が揃ったことは幸運ですね。



晩年期といっても53歳の作品です。5月の節句のために描かれた作品でしょう。



この年の夏に喉に痛みを感じて箱根、及び信州の別荘に静養します。10月には文展に「杜甫」を出品し、11月には美校教授および文展審査員を辞任して、療養に専念します。

  

翌年の2月には咽頭癌で亡くなっています。あまりにも早すぎる死ですね。

2020年には没後100年となります。そのときにはきっと記念展が開催されるでしょうね、どんな作品が揃うのかが愉しみです。

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