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デルフト 草花文振出(茶入)

4連休は展示室の棚追追加工事が進行しました。

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いろいろと協議した挙句、棚の天板は杉の板目が中心の意匠となりました。

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こちらで用意した材料は一部欄間用の屋久杉、他は天井材の杉の板目の板でしたが、材料が数が足りることを前提に施工しています。

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極力板目を合わせて貼り付けています。見切縁と扉も杉材の予定です。

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屋久杉は反ってこないように内側からビス止め、他の材料は上から見えないような点釘にて止めています。はてさて「仕上げを御覧じあれ!」かな??

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本日はデルフト焼と思われる作品の紹介です。

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デルフト 草花文振出(茶入)
合箱 
口径*幅62*奥行62*高さ95

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デルフト焼はオランダのデルフトおよびその近辺で、16世紀から生産されている陶器で、白色の釉薬を下地にして、スズ釉薬を用いて彩色、絵付けされる。陶都デルフトでは、高価な舶来品である東洋磁器の形や装飾を陶器で模倣することに着目した。中国明時代の染付や柿右衛門などを模倣した陶器は、ヨーロッパ各地で絶大な人気を博し、近隣の他の窯でもこれを実践するようになると、以後オランダで焼かれる陶器はすべてデルフト焼と呼ばれるようになる。デルフト焼は、1640年~1740年に生産がもっとも盛んだった。

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17世紀初頭の中国磁器をはじめとした東洋陶磁器がオランダ東インド会社によってオランダに大量に輸入され、オランダの貴族は大いに魅了されて、それまで裏面に施釉されていなかったマジョリカスタイルの陶器を買わなくなり、その結果、デルフトの職人は東洋磁器を真似て前面に白釉を塗り、当時東洋で作られていた明、明末、清朝、古伊万里、柿右衛門のデザインを模倣した作品を製作することになります。

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1620年に明の万暦帝が死去すると、中国磁器のヨーロッパへの輸入が途絶えたため、オランダでは中国磁器の優れた品質と精密な絵付けを模倣します。1654年のデルフトで、弾薬庫に保管されていた火薬が大爆発を起こし、多数の醸造所が甚大な被害を被り、これによりデルフトの醸造産業は衰退し、広い醸造所跡地を広い工房が必要だった陶芸職人が買い取っています。

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1750年以降のデルフト陶器は衰退しますが、その原因は「巧妙だが繊弱な絵付けがなされていることや、風合いにも独創性にも欠けている」とされ、18世紀終わりからのデルフト陶器産業は、残念なことに衰退の一途をたどることになります。

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本作品はデルフト焼が衰弱期に入った頃の18世紀から19世紀にかけての作品と推定されます。

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絵付けが雑然となり、最盛期のような本歌と見違えるような精密さは影を潜めてしまっています。

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ただこれはこれで小ぶりな器なゆえに趣を醸し出しているともいえます。

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振出(ふりだし)とは茶箱に仕組んで、金平糖や砂糖豆・霰・甘納豆など小粒の菓子を入れる小形の菓子器のことです。 振出は、中に入っている菓子を振り出して用いることからその名があります。

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振出は、茶会の趣向で、惣菓子器代わりに用いるようなこともあります。また、寄付の汲出し盆に、香煎を入れて用意するのにも用いられます。 振出は、陶磁器が多く、青磁・祥瑞・染付・織部・唐津・備前など各種ありますが、とりわけ染付物が好まれています。

デルフト焼には本ブログにて下記の作品が紹介されています。

デルフト 染付唐草文瓢形瓶
合箱 
口径*胴最大幅103*底径*高さ207

窯印で時代が判るらしいのですが、高台内にある「JV」の書き銘について不明です。サントリー美術館蔵の「染付花卉文瓢形瓶」(18世紀)より時代が古い作行となるようで、購入時には17世紀のデルフト窯との紹介でした。。

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デルフト 湖図花瓶
合箱
幅120*奥行90*口径50*53*高さ200

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デルフト 染付花鳥文壺
合箱 
口径*胴最大幅160*底径*高さ223

アムステルダムのショップからの購入という触れ込みで売られていた作品です。

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デルフト焼 楼閣文牛型香炉
合箱
幅160*奥行*高さ125

趣向の変わった作品ですね。

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和蘭デルフト藍画花瓶手皿
古杉箱 
口径231*底径*高さ40

箱に在中の「大」という商号の札には「第二号 和蘭デルフト藍画花瓶手皿 十八世紀 代金六拾円也」とあります。札は大丸のもので1913年(大正2年)に、縁起のよい七五三の髭文字を商標登録しました。六拾円は現在の5万程度? 伏せて焼かれたものか口縁には虫喰のような釉薬の剥がれがあります。花瓶をあしらった西洋風と中国風が混合したような染付皿です。

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当方はデルフト焼については蒐集対象としていることではないので、分類や製作時期にについてなどの詳細は不明です。

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花入れなどにも楽しめそうな作品ですね。いろんなものをいろんな試し方をしてみたくなるのが小生の悪い癖のようです。
 

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