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気になる作品 花がたみ 寺崎廣業筆 明治40年(1907年)頃

日曜日には天気も良く、家族総出で芋掘りです。

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里芋に筍芋・・・。来年のための種イモも選別しならがらの収穫です。

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息子にはスコップの使い方の伝授・・。

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さて「花がたみ」という作品で有名なのは言わずと知れた上村松園の作品です。上村松園の「花がたみ」は1915年に描かれていますが、上村松園の作品は図集や展覧会などでご覧になって知っている人は多いと思います。

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この作品はその10年ほど前に寺崎廣業が描いたことになります。

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花がたみ 寺崎廣業筆 二本廣業時代 明治40年(1907年)頃
絹本着色軸装 軸先鹿骨 合箱入
全体サイズ:縦1710*横575 画サイズ:縦960*横418

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*表具は当時のままでしょう。当方では保存のために太巻き二重箱を誂えています。

この作品は能楽の「花筐」を題材にして描かれた作品です。「能楽 花筺(はながたみ)」については下記を参考にしてください。

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能楽 花筺(はながたみ)

あらすじ:越前国味真野におられた男大迹皇子(応神天皇の五世の孫)は、皇位を継承されることとなったのを機に、召し使っていた照日の前にお暇を出された。その際、照日の前に御文と御花筐(花摘みに用いる籠 花は桜)を賜ったので、照日の前はそれを抱いて故郷に帰った。扇には別れの文にあった歌「忘るなよ程は 雲居になりぬとも 空行く月のめぐり逢ふまで」が記されている。

その後のある日、継體天皇となられた皇子が行幸されるのを知った照日の前は、お慕いした余りに心が乱れて侍女とともに都へ向かった。天皇が紅葉狩りに出かけたとき、その途中でその行幸に行き逢い、御文と御花筐を持ってその前に進む。照日の前は、それが君の御花筐であることを告げ、恋慕の情を述べる。帝は花筐によって女が照日の前であることを知り、一緒に伴って還幸される。

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紅葉が舞い散る中、武烈天皇崩御による皇子との別れに「照日の前」が錯乱して舞い狂う姿を描いた作品です。 片手に持つのは、王子が贈った花筺(花籠)。上村松園の作品では足元に折れた扇が描かれ、そこには別れの文にあった歌が記されていました。

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寺崎廣業の作品は扇が描かれていませんが、上部にはその歌を意味するかのような雁の姿が描かれています。

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焦点の合わない瞳、めくれあがった口角、そして着物の着崩れ加減。明らかに女性の常ならぬ状態を描いた作品です。

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なお上村松園は、岩倉の精神病院での取材で、人間は精神のバランスを崩すと無表情になることを知り、スケッチを繰り返したという。この花籠を抱いた腕は、「腕をこう、にゅっと突然に出したらどうですやろ」という師の栖風からのアドバイスだったそうですが、すでに寺崎廣業の作品ではその構図を取り入れていますので、その信ぴょう性には疑問があります。

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顔の狂気の表情は寺崎廣業のほうが面白い? ただ狂気という点ではどちらの作品にも見所が満点ですね。

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このあたりの記述は2014年7月8日に投稿した本作品の記事と重複する部分が多いので以下は省略とさせていただきます。

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構図としては上村松園の作と右手の左手の違いがあるのが印象的です。

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上村松園のこの「花がたみ」についてはスケッチが遺っています。 実は反対側の手に籠を持つ構図案もあったようです。

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ま~、落ち着くところに落ち着いたという感じの構図かな? 上村松園の名作とは比べるつもりは毛頭ありませんが、この時期を代表する画家が同じ画題に取り組んだ背景があるように思われて興味深いです。

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なにはともあれ当方のコレクションとしては「遺しておく作品」に選択したので、胡粉など絵の具の剥落もみられるため、太巻きにて収納箱を誂えました。

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落款は「二本廣業」の書体であり、真作なら明治35年頃から42年頃までの7年くらいの間の落款の書体とされますので、上村松園の作より確実に前の作となります。

恋に狂った狂気、身近にもありそう・・。

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