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三社祭 杉本健吉筆 その12

秋の夜長はのんびりと展示品を眺めて過ごします。

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心地よい夜風と虫の鳴き声に過ぎゆく季節を感じます。

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だんだん残り少なくなる時間というものも感じざる得ませんね。

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さて本日の作品である杉本健吉の肉筆画は市場には非常に少ないですが、その理由は肉筆の作品は売りにだ出されることはなく、亡くなった後に油彩の作品はほとんどが美術館に寄贈されているためです。そのため市場に出回る作品は売るために以外に記念で描いたとか、寄贈のために描いて手放されたなどの作品のため実に僅かとなっています。本作品はその少ない中でも肉筆画でもときおり見かける小作品の日本画です。

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三社祭 杉本健吉筆 その12
紙本水彩額装 左下印のみ 共シール 為書あり
F4号 画サイズ:縦300*横232 額サイズ:縦440*横365

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三社祭とはご存知のように浅草神社の氏子四十四ヶ町を中心に五月の第三金・土・日曜日に行われ、江戸風情を残しつつ勇壮且つ華やかな神輿渡御を主として、三日間に亘り約百八十万人の人出を数える日本を代表する祭礼の一つです。

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本作品は三社祭の「舟祭」を描いていますが、三社祭の「舟祭」とは御神輿三基が「お堂下げ」にて本堂外陣から降ろされると、一之宮を先頭に浅草御門(現在の浅草橋際)の舟乗り場迄担ぎ運ばれ、そして待機している大森(品川)在住の漁師によって供奉される舟に各御神輿が乗せられ、浅草川(現隅田川)を漕ぎ上がって駒形岸或いは花川戸岸から上陸の後、浅草神社に担ぎ帰ったという行事です。

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作品中は印章のみですが、共シールから真作と判断されます。

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杉本健吉にしては珍しい題材の作品ですね。なおこの作品が収められているタトウには為書があり、為書には字体から自筆と推定される「贈長谷川栄一兄」とあります。

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おそらく「長谷川栄一兄」とは下記の人物だろうと推定されます。

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長谷川栄一:1910-1992 昭和時代後期の劇場経営者。明治43年5月25日生まれ。長谷川太兵衛の孫。

昭和21年祖父が名古屋市に創立した劇場御園座(みそのざ)の支配人となり、36年社長、58年会長に就任しています。焼失した劇場を御園座会館として38年再建し、歌舞伎の顔見世興行を実現しました。平成4年6月4日死去。82歳。愛知県出身。名古屋高商(現名大)卒。

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古い御園座の緞帳は3つありますが、その一つには杉本健吉の絵を原画にした「天人奏楽」があります。昭和38年の柿葺落興行の番付には杉本健吉の天女の表紙が付いていました。現在の新たな「御園座」については当方も仕事で関わりましたが、名古屋出身の杉本健吉とは長谷川栄一氏とは親交があったと推測されます。ただしその詳細は不明であり、後学とさせていただきます。

*このように杉本健吉の肉筆画は売買目的以外で手元を離れた作品しか市場にないようです。

他に当方で入手した下記の作品(本ブログにて投稿済)も建物の竣工記念に寄贈用として描かれた作品でした。

アルハンブラ宮の丘 伝杉本健吉画
油彩額装 右上サイン 誂タトウ+黄袋 
昭和46年(1971年)12月吉日 
日本経営新聞社本社ビル竣工に際し、株式会社産報、産報印刷株式会社より寄贈した作品
全体サイズ:縦620*横520 画サイズ:縦460*横380 F8号

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本日の作品は入手時の額装が貧弱でしたので、額やタトウを新調しました。

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調べた書付類は額の収納箱(タトウ)に収まるようにして作品と一緒に保存しておきます。



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