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Channel: 夜噺骨董談義
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贋作考 1000円で入手した作品 薔薇 伝三岸節子画 1998年作?

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三岸好太郎・節子の夫妻の作品はともに油彩画ファンからは垂涎の作品でしょう。当方も欲しいのですが、高値でありそう簡単には入手できません。このたび三岸節子らしき怪しげな作品を1000円で入手しましたので、その作品を基に三岸節子の画歴を辿ってみました。

恥ずかしながら廉価で作品を入手することはよくありますが、たいていの場合は不当たりですね

贋作考 1000円で入手した作品 薔薇 伝三岸節子画 1998年作?
油彩額装 左下サイン 裏記「平成十年(1998年)四月十日 三岸節子」 誂タトウ+黄袋 
F2号 全体サイズ:縦365*横462 画サイズ:縦190*横240



本作品が真作なら亡くなる前年の93歳の作となるのですが、晩年になるにつれてだんだん明るい色合い、あるいは花とはわからないくらい肉厚な作風で、抽象的な画風のはず・・。この作品はちょっとまだ具象的すぎないかな?



1989年に帰国して以後は神奈川県中郡大磯町の自宅兼アトリエにて制作を続けており、この作品も真作なら自宅で描かれたことになります。





サインなどの書体はよさそうに見えますが・・・。

 

下記は三岸節子の経歴となります。

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三岸節子:1905年1月3日~1999年4月18日。日本の女性洋画家で、新制作協会会員。

愛知県中島郡起町(現・一宮市小信中島)の織物工場を営む裕福な家の十人兄弟の6番目(4女)に生まれています。父は吉田永三郎、母は菊。母の菊は、安政の大獄で死罪となった水戸藩士・鵜飼吉左衛門(幼名は菊三郎)の一族であった(節子生家近くの頓聴寺住職も鵜飼家の人物であった)そうです。

その後に吉田家は不況のあおりで倒産し、さらに先天性股関節脱臼(現・発育性股関節形成不全)を患っており、両親に抑圧されて育った節子は、この大きなショックから当時興味を抱いていた絵の道へと向かっていくことになります。戦前・戦後の画壇における女性画家の地位向上に努め、その生涯を通じてたくましい精神力で生命を賛歌する作品を描き続けした。

名古屋市の淑徳高等女学校(現・愛知淑徳高等学校)卒業後、日本画をすすめる両親を説得したうえで洋画を学ぶために上京し、本郷洋画研究所で岡田三郎助に師事しています。女子美術学校(現・女子美術大学)の2年次に編入学し首席で卒業しています。

1924年に三岸好太郎と結婚し、1930年に長男黄太郎を出産するも、1934年に夫と死別。生活は苦しかったが、太平洋戦争中も疎開せず、明るい色調の静物画を多数描いています。1946年、女流画家協会を創立しています。さらに1948年から菅野圭介と事実上の婚約関係にありましたが、1953年に破局しています。



1954年、黄太郎が留学していたフランスに渡り、1968年には南フランスのカーニュに、1974年にはブルゴーニュ地方の農村ヴェロン(英語版)に定住しました。黄太郎とともにヨーロッパの各地を巡って風景画の傑作を生み出し、言葉の通じない異国での孤独感や老化による体の衰えと闘いながら絵を描き続けています。



1989年に帰国した時、節子は84歳になっており、以後は神奈川県中郡大磯町の自宅兼アトリエにて制作を続けていた。

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三岸節子が描いた薔薇の作品は「なんでも鑑定団」に下記の3点が出品されています。

なんでも鑑定団出品作 2015年9月8日放送
薔薇



評:500万円 1950年頃、節子40代の作品。この時代の作品はあまり市場に出てこないので、非常に貴重なもの。節子にとって花を描くというのはある意味自画像。その時々の自分自身の想いや人生や生活というものを花にぶつけ、それを表現していく。節子の良さは色。色でデッサンをし、色で造形・構築をしていった。

依頼品は若干くすんでおり、描かれた当時はもっと鮮やかだったろうが、


なんでも鑑定団出品作  2018年1月30日放送
薔薇



評:200万円 サインから見ると1950年代後半ぐらいの作品。花瓶に花が描かれているが、非常に迫力のある厚塗り。重厚なマチエールで画面全体を埋め尽くすような描き方。花というものを単純化することで、内面にある生命力といったものを描ききるという志がよく見える。問題は状態で、劣化がひど過ぎる。綺麗な状態であれば300万円。

なんでも鑑定団出品作  2019年5月14日放送
薔薇



評:200万円 三岸が50歳頃の作品と思われる。晩年になるにつれてだんだん明るい色合い、あるいは花とはわからないくらい肉厚な作風に変わっていく。この時代はまだ若干おとなしめの作品だが、三岸の色が出ている。経年変化がところどころに見られ、カビが出ていたり、割れが目立ってしまっている。おそらく額も当時のまま。メンテナンスすればもう少し高くなる。

いずれの作品も40代から50代の作品のようです。



いずれにしろ三岸節子の40代〜50代の雰囲気は出ているかもしれませんがダメでしょうね・・・ 

さて今回の作品は次回の作品への序章ということで・・・。

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