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Channel: 夜噺骨董談義
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松絵紋二彩唐津水甕 古弓野焼 その2

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飼育していたメダカの稚魚が多くなり、食品スーパーから調達していた発砲スチロールの補充が必要になってきましたが、どうも発砲スチロールでは趣がないと思い、大きめの甕がないものかと・・。口が狭いと鑑賞しずらいので弓野焼の甕いいかと入手した次第です。


この系統の作品は大皿、徳利、さらには水指に転用した作品はあるのですが、大甕としては本作品で2作品目です。


メダカの飼育に使う前に鑑賞・・。



松絵紋二彩唐津水甕 古弓野焼 その2口縁補修跡有 誂箱口径*胴径340*高台径*高さ300

この古弓野焼の水甕には絵の力強さ、刷毛目も充分で、大きさ・造形美の魅力を備えています。下部の刷毛目の文様は波のようにも見え、弓野焼や二川窯などの松絵甕の作品群の中でもこの作品は優品といえます。弓野焼との双方の判別は非常に難しく、時代の特定も難しい作品群でありますが、出来の良さなどから江戸期の弓野焼と思われます。
*「弓野焼」、「二川焼」、「二彩唐津」、「武雄唐津」を総称して「古武雄(コダケオ)」と称しています。


江戸時代前期に作られた古武雄の水甕などは、かつては民藝陶器の分野に入れられていたものですが、当地の陶芸家で人間国宝の中島宏氏がこれを収集・研究して肥前陶磁史上に古武雄として確立ました。
*佐賀県西部の武雄市に住み、弓野に窯を築いている人間国宝の青磁陶芸家・中島宏氏が最大のコレクターです。2002年に根津美術館が、「知られざる唐津」と銘打ち、中島さんのコレクションを中心に、大きな展覧会を開いています。


鉄分を含んだ赤い土をろくろの上で立ち上げ、回して形を作る。そして回しながら水に溶かした白泥を刷毛目で塗っていくため、白い部分に濃淡が出て、絵が浮き上がります。鉄絵具で一気呵成に松を描き、裏には岩を描いています。その鉄釉と緑釉が適当に胴に付着して無作為の趣を醸し出しています。


この力強さに棟方志功も感動して半日口をきかなかったといい、またピカソはこれこそ本物の芸術だとうなったといわれています。


弓野焼:佐賀県武雄市弓野弓野焼(肥前国杵島郡西川登村大字小田志字弓野:佐賀県武雄市西川登町小田志字弓野)で焼かれた陶磁器。江戸の中期頃(寛永年間)から焼かれたと言われ、陶器は1532年(天文2年)より淵小七が興したと伝えられます。1694年(元禄7年)になり江口林平が初めて磁器製造を開始し、その子福田林平が有田焼に倣って改良、さらに1839年(天保10年)頃再び改良して日用諸種の器を製造しました。明治の中期になり朝鮮向けの磁器または博多大形の模造をなす者がありました。この窯は1897年(明治30年)頃まで松の絵の水飯洞・提鉢をつくっていました。


唐津焼のひとつに分類され、鉄分を多く含んだ赤茶色の胎土のため白化粧土を施し、その上に銅緑釉と飴釉で松絵を流し描き(この技法から二彩と呼ばれる)、薄くかけられた透明釉の意匠のものが多く、これを松紋甕と称し、今では古武雄と正式な名称が与えられています。

胎土が柔らかく焼成も甘い(低温で長時間焼いているからヒビが入りやすい)ことから、殆どの残っている品に破損やひび割れが見られますが、その柔らかな見た目とおおらかな松絵の筆致で今では人気が高い作品です。弓野焼の作品は棟方志巧によって見出され、民芸ブランドとして認知されています。柳宗悦意らの民藝運動にて紹介されたことによって注目されたようですが、すでに戦前の山中商会の古民藝売立目録などにも紹介されています。その美しさに気が付いて昔から収集された方も多くいたと思われます。


大量生産され、まるで定められていたかのように文様は似ていて陶工の画力に差はあるものの意匠的には殆んどのものが表は松絵を描き裏は草の絵を描いています。のちに福岡県の二川で、弓野から陶工を招き同じような意匠のものが焼かれたためその判別は難しいとされています。


 二川窯:筑後国(現、福岡県)三池郡二川で焼かれた陶磁器。江戸時代末期頃に陶土の原料が発見され、弓野焼の職人を招いて製作された。刷毛目地に、鉄、銅で松などの絵付けをしたものが多い。


はてさてメダカ用の飼育用としてはもったいない・・???


大きな壺類の作品は保管に困るものですが、費用が多少かさんでも保存箱を誂えることをお勧めします。


調べた資料と共に、保管箱にクッション材と綿を積めて多少の衝撃では破損しないようにしておくといいでしょう。中身は解るように表示しいないと探すのが大変ですよ。




このようにしておくと積み上げて置くことも可能ですのでスペースを取らなくなります。無造作に多くの作品を所狭しと置いておくのは破損防止の上でもよくありませんね。たとえメダカ飼育用の甕でも・・・。






















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