浪に千鳥の図柄の漆器類として、以前は大小の高坏膳を紹介しましたが、収蔵作品を物色したら、「煙草盆」が4客揃いで見つかりました。
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昭和24年頃に輪島から入手した作品のようです。
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膳よりも出来は稚拙かな・・。
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それなりに可愛らしく味のある絵柄ですね。
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脇にも描かれています。
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立派な秋田杉の収納箱です。実家が営んでいのは材木業なので自前で作った可能性もあります。
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輪島の徳野なにがしという漆器店は祖父の依頼で福田豊四郎原画の「鮎」の漆盆を作ったところです。
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全部で4客しか遺っていません。
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さて本日は当方の所蔵している渡辺省亭の作品のリバイバルです。
余計な作品を排除していい作品だけを選択して遺そうと思っている渡辺省亭の作品ですが、この作品は遺そうとしているお気に入りの作品です。
*渡辺省亭の再評価として、2021年東京芸術大学で展覧会を開催し、さらにNHKの日曜美術館にて特集として放映された画家です。
「わが友よ……君が尋ねていたあの宝物は、あれほど君が憧れていたあの宝物は、ここにあったのか!」(サン=テグジュペリ・堀口大學訳『南方郵便機』第三部7)という表現がされていますね。
本作品は何度か本ブログに投稿している作品ですが、細かい部分が写真の撮れていなかたので再度投稿します。
本日のテーマは可愛らしい小鳥の作品・・・。
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お気に入りの作品 リバイバル 寒牡丹図 渡辺省亭筆絹本水墨着色軸装 軸先象牙 大木豊平鑑定箱全体サイズ:縦2200*横660 画サイズ:縦1210*横505
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細かいシミがあるので、表具師と染み抜きなどの改装の是非を相談したのですが、とりあえず今のままでベストとしました。シミがとりにくいので、今より全体によくなるとは確証は持てないことからです。
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渡辺省亭はよくこの画題を作品にしていて、構図がよく似ている作品が複数ありますが、絹本でこれでけ大きな作品は見たことはありません。
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飛翔する津辺目の描きは一流・・。そして雪の雰囲気がよく出ている。
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静と動の雀の対比を描いています。
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囲いに囲まれた全体を描いていない寒牡丹がいい・・。
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そこにまた雀・・。
鏑木清方は省亭歿後直後の『中央美術』に画家としては唯一の追悼文を寄せていますが、鏑木清方は渡辺省亭の芸術と人生の機微をよく知るものであったと人物とされています。
その追悼文には「省亭先生は現今の画壇に於て全く特殊な地位を占めて来た幸福な方で、中央画壇に風が吹かうが雨が降らうが、他人は他人自分は自分といつたやうに超然として小面倒な批評家や画かきの蝉噪蛙鳴に取り囲まれる煩ひもなく、一生自分の描きたい画を描いて、厄介な社交を避け好きな微吟浅酌の趣味に活き、趣味生活を其のまゝの芸術を楽しんで終つた先生の一生は、現代ばなれのした名人らしい生涯であつた。」と記されています。
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素人の推察ですが、渡辺省亭の作品の真贋を落款と印章から判断することはできないと思います。まずは印章の種類は多いのですが、印章や落款を含めて模倣しやすいものです。あくまでも出来から真贋を見極める見識がないと贋作を入手してしまいます。なお本作品は大木豊平による鑑定箱に収まっています。
鑑賞者にとっては作品にのみ集中することでしょう。創作と作品に向き合うことがすべての原点のようです。
制作における純粋な「芸術性」が、渡辺省亭にはあると思います。鑑賞者の側から省亭の作品に迫るためには、まず作品に向かい合い、作品をよく見ることから始めなければなりません。私のように感性の鈍い人間は美術館のガラス越しではなく、手元に作品を置いて鑑賞することが必要なようです。そうした鑑賞が本質を理解し、良き作品の蒐集の近道のようです。
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一時的なブームかと思いますが、渡辺省亭の人気はまだ衰えないようです。それにしても下記の作品の落札金額は80万円というのは高いかな?
参考作品 インターネットオークション出品作(落札金額80万円)寒牡牡丹図絹本水墨着色軸装 軸先象牙 共箱(明治30年 丁酉1897年 47歳)全体サイズ:縦1980*横555 画サイズ:縦1070*横430
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同じく雀を描いていますが、あまりうまくないし、これ一羽だけ・・・。作行きがまだ若いし、未熟。
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牡丹はよく描けていますが、やはり囲いの中から覗いている牡丹、上記の作の趣の方が数段上です。
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上記の参考作品も本作品と同格の作品と言えるでしょうが、趣の点でやはりちょっと評価は下がるのでしょう。ひとつだけの作品ではそう感じないことが比較すると分かることがあります。どうも当方は呑み込みが悪く、堂々巡りしながら蒐集を続けていくしかないようです。

昭和24年頃に輪島から入手した作品のようです。

膳よりも出来は稚拙かな・・。

それなりに可愛らしく味のある絵柄ですね。

脇にも描かれています。

立派な秋田杉の収納箱です。実家が営んでいのは材木業なので自前で作った可能性もあります。

輪島の徳野なにがしという漆器店は祖父の依頼で福田豊四郎原画の「鮎」の漆盆を作ったところです。

全部で4客しか遺っていません。

さて本日は当方の所蔵している渡辺省亭の作品のリバイバルです。
余計な作品を排除していい作品だけを選択して遺そうと思っている渡辺省亭の作品ですが、この作品は遺そうとしているお気に入りの作品です。
*渡辺省亭の再評価として、2021年東京芸術大学で展覧会を開催し、さらにNHKの日曜美術館にて特集として放映された画家です。
「わが友よ……君が尋ねていたあの宝物は、あれほど君が憧れていたあの宝物は、ここにあったのか!」(サン=テグジュペリ・堀口大學訳『南方郵便機』第三部7)という表現がされていますね。
本作品は何度か本ブログに投稿している作品ですが、細かい部分が写真の撮れていなかたので再度投稿します。
本日のテーマは可愛らしい小鳥の作品・・・。

お気に入りの作品 リバイバル 寒牡丹図 渡辺省亭筆絹本水墨着色軸装 軸先象牙 大木豊平鑑定箱全体サイズ:縦2200*横660 画サイズ:縦1210*横505


細かいシミがあるので、表具師と染み抜きなどの改装の是非を相談したのですが、とりあえず今のままでベストとしました。シミがとりにくいので、今より全体によくなるとは確証は持てないことからです。

渡辺省亭はよくこの画題を作品にしていて、構図がよく似ている作品が複数ありますが、絹本でこれでけ大きな作品は見たことはありません。

飛翔する津辺目の描きは一流・・。そして雪の雰囲気がよく出ている。

静と動の雀の対比を描いています。

囲いに囲まれた全体を描いていない寒牡丹がいい・・。

そこにまた雀・・。
鏑木清方は省亭歿後直後の『中央美術』に画家としては唯一の追悼文を寄せていますが、鏑木清方は渡辺省亭の芸術と人生の機微をよく知るものであったと人物とされています。
その追悼文には「省亭先生は現今の画壇に於て全く特殊な地位を占めて来た幸福な方で、中央画壇に風が吹かうが雨が降らうが、他人は他人自分は自分といつたやうに超然として小面倒な批評家や画かきの蝉噪蛙鳴に取り囲まれる煩ひもなく、一生自分の描きたい画を描いて、厄介な社交を避け好きな微吟浅酌の趣味に活き、趣味生活を其のまゝの芸術を楽しんで終つた先生の一生は、現代ばなれのした名人らしい生涯であつた。」と記されています。

素人の推察ですが、渡辺省亭の作品の真贋を落款と印章から判断することはできないと思います。まずは印章の種類は多いのですが、印章や落款を含めて模倣しやすいものです。あくまでも出来から真贋を見極める見識がないと贋作を入手してしまいます。なお本作品は大木豊平による鑑定箱に収まっています。
鑑賞者にとっては作品にのみ集中することでしょう。創作と作品に向き合うことがすべての原点のようです。
制作における純粋な「芸術性」が、渡辺省亭にはあると思います。鑑賞者の側から省亭の作品に迫るためには、まず作品に向かい合い、作品をよく見ることから始めなければなりません。私のように感性の鈍い人間は美術館のガラス越しではなく、手元に作品を置いて鑑賞することが必要なようです。そうした鑑賞が本質を理解し、良き作品の蒐集の近道のようです。

一時的なブームかと思いますが、渡辺省亭の人気はまだ衰えないようです。それにしても下記の作品の落札金額は80万円というのは高いかな?
参考作品 インターネットオークション出品作(落札金額80万円)寒牡牡丹図絹本水墨着色軸装 軸先象牙 共箱(明治30年 丁酉1897年 47歳)全体サイズ:縦1980*横555 画サイズ:縦1070*横430



同じく雀を描いていますが、あまりうまくないし、これ一羽だけ・・・。作行きがまだ若いし、未熟。

牡丹はよく描けていますが、やはり囲いの中から覗いている牡丹、上記の作の趣の方が数段上です。

上記の参考作品も本作品と同格の作品と言えるでしょうが、趣の点でやはりちょっと評価は下がるのでしょう。ひとつだけの作品ではそう感じないことが比較すると分かることがあります。どうも当方は呑み込みが悪く、堂々巡りしながら蒐集を続けていくしかないようです。