表具の美

表具には時として驚くような美しさがあるものです。整理しながら作品を鑑賞してみるとときおり表具に関心してしまうことがあります。
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晩秋　平福百穂筆　絹本水墨淡彩軸装　軸先水晶　共箱全体サイズ：縦2200＊横550　画サイズ：縦1200＊横410
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すでに紹介している作品なので、詳細は省きますが、「晩秋」という絵の題材にふさわしい表具となっています。
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共箱の誂えとなっています。
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改装して不要になった表具材はいろんなところで使用しています。
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またこんな作品もあったのかと思い出すこともしばしばです。
湖上燈明　福田豊四郎筆　昭和11年頃
絹本水墨着色軸装　共箱塗紐付二重箱
全体サイズ：横652＊縦2367　画サイズ：横507＊縦1417
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この作品は重ね蓋の二重箱に誂えられています。箱の誂え、表具材、軸先と掛け軸の鑑賞の見どころは多岐にわたりますね。
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なぜ現代はこれほど掛け軸は人気がないのでしょうか？
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居住空間に余裕がなくなり、床の間などの飾る空間が乏しくなったのが大きな原因でしょうが、近代絵画の潮流から掛け軸が外れてしまったことのあるようです。
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最近海外では「金繕い」というのが人気のようです。修繕してなお美がさらに重なるというのが人気の焦点のようです。日本の古来の文化が美として評価されているようです。表具もそのうちそうならなかと・・。
鮎　福田豊四郎筆紙本着色軸装　合箱全体サイズ：横425＊縦1270　画サイズ：横267＊縦237
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金繕いもそうですが、一般的な掛け軸についても表具師などそろそろ技術の後継者不足となっています。これはそこかしこの伝統技術の中で起こっている共通の現象です。
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指物師、塗師なども後継者がいない、さらには仕事がないという苦情が相次いでいます。相乗的に減少傾向が著しく、輪島の危機のように天災も絡むと危機的状況に陥りますね。
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掛け軸は日本固有の文化です、中国のような粗雑な表具とはまったくレベルが違いますが、掛け軸を文化や芸術としてとらえている方は残念ながら日本でも稀有な状態です。
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当方のコレクションがガラクタ化しているように、どんどん掛け軸は打ち捨てられています。
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ガラス越しではない直接の美、表具と一体となった美、誂えによる美が風前の灯・・・。稀少価値で評価される時はすでに遅いとこととなるのでしょう。