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Channel: 夜噺骨董談義
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贋作考 伊万里赤絵山水染付紋様尺皿

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古伊万里は恐ろしき分野となっているようです。当方では「普段使いとしての器」としての扱いですが、藍九谷や蛸唐草などコレクターにとっては高値で売買されている作品群です。普段使いの器が希少価値という作品に化けると怖い見本のような分野です。

伊万里赤絵山水染付紋様尺皿
合箱 
口径310*高台径*高さ40



本作品は伊万里の幕末頃から明治にかけての赤絵の尺皿と推察します。本作品が贋作ということではありません。



赤、緑、黄、紫、青のガラス質の透明上絵具で上絵付けをされており、中国の影響を受け、日本では天保年間(1644~1648)に柿右衛門が取り入れた様式に端を発しています。



幕末から明治にかけては伊万里焼も大量生産の時代となり、製作も緻密さより生産性を重んじて印判手やプリントといったものに移っていったようです。



本作品もまた窓絵のバランスなど細かい点は乱雑になっています。



本作品を古伊万里というには時代が下がった作品なので「古」という冠称は省略しました。この頃の器のほうが古伊万里よりも魅力的になってきていると感じるのは小生だけでしょうか?



ところで近年、古伊万里に中国を中心とした贋作が横行していることをご存知でしょうか?



中国はコピー商品ならなんでもござれの世界ですが、かなり精巧にできているようで素人では見分けできないようです。

当方では古伊万里は蒐集対象外ですが、これは贋作が多いことにも起因しています。

藍染付、初期伊万里、鍋島、柿右衛門様式となんにでも精巧な贋作ありの分野ですね。

普段使いの器が高い値段で売買されるようになったために起きた現象ですが、何事も需要と供給のバランスが崩れると脱法的なことや違法行為、仁義を省みない行為が横行するのは世の常ですね。

当方の伊万里焼にも混在している可能性があり、再チェックする必要がありそうです。疑わしきは破壊あるのみ・・。

むろん日本人が加担しているのでしょうが、古伊万里という日本古来の陶磁器に贋作を大量に持ち込んだ中国は油断できない国です。中国には道徳という観念がないのでどうしようもないです。ともかく古伊万里の分野は当分手を出さないほうがいいでしょう。

贋作により古伊万里という分野が侵食されて衰退していく事例です。掛け軸もほぼ同じことが起きました。浮世絵も同じですが、自然淘汰されるまではかなりの時間を要するようです。

かえって幕末から明治にかけての器のほうが面白い・・、ここにも贋作があるかもしれません。本作品は薄汚いので洗ってみました。



とくに裏面は綺麗になりました。



洗った古さがなくなるのでやめたほうがいいという方がいますが、それは違うと思います。



大きさが不均一な窓絵、なにを書いているのやらという稚拙さが実によく、明末赤絵に通じるものがあります。



蓬莱山・・??



とにもかくにも古伊万里の代表格で高値の藍九谷、柿右衛門様式、初期伊万里、鍋島、古九谷様式には要注意です。悪貨は良貨を駆逐する・・。

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悪貨は良貨を駆逐する
【読み】 あっかはりょうかをくちくする
【意味】 悪貨は良貨を駆逐するとは、一つの社会で名目上の価値が等しく、実質上の価値が異なる貨幣が同時に流通すると、良貨はしまい込まれて市場から姿を消し、悪貨だけが流通するという「グレシャムの法則」のこと。転じて、悪がはびこると善が滅びるというたとえにも使われる。

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中国の観光客がやたらと日本を駆逐しているようですが、その理由のひとつに日本の品は信用できる? 贋作はない? ということらしいです。

中国には染まらないことが大切・・・・。古伊万里・古鍋島の世界はまさにそのもののようです。昨日のなんでも鑑定団の官窯の贋作も然り・・、官窯は見分けできない。





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