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Channel: 夜噺骨董談義
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雪中山水図 寺崎廣業筆 その38

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今週初めは仙台から石巻へ現場訪問、着実に石巻は復興が進んでいるようです。そこから以南、以北はまだまだ難題が山積みのようですが・。

小生が留守の間に買い物に出かけたスーパーで息子は試食コーナーで立ち止まり、爪楊枝入の蓋を開け両手に爪楊枝を持って「ない!」と大きな声・・



家内の買い物を尻目に小生が息子と「ウメ~」と言いながら試食荒らしをしていたことを覚えていたようで・・ 
なんでも真似をしてすぐ覚えるから迂闊な行動は慎まなくては・・。でも試食コーナーで「ない!」と言う息子は偉い!

さて骨董というと非常に広範囲な分野ですが、現在一番人気のないのが「掛け軸」という分野でしょう。

掛け軸の扱いは多少厄介でさらに保存に多少の気遣いは必要ですが、現在は人気がいゆえに廉価で出来のよい作品が入手できますから、日本の文化、技術を保存する意図からも関心のある方は掛け軸を見直してみたらいかがでしょうか?

贋作が多いと敬遠する方が多いようですが、著名な画家や肉筆浮世絵以外の作品は心配するほど贋作は多くありません。額に入れてある作品のほうが扱いは気安いという意見もあるでしょうが、掛け軸は表装、風鎮、誂えた箱などすべてが鑑賞の対象となる稀有な骨董品です。また、直接作品を見たり触ったり出来るのも慣れるとそれほど神経質になる必要はあなくなり、かえって面白味が増すものです。

本日は確かに贋作の多い寺崎廣業の作品ですが、本ブログを参考にすると真贋がたいていは判断できるかと思います。

雪中山水図 寺崎廣業筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先木製加工 鳥谷播山鑑定 野田九甫鑑定箱入
全体サイズ:縦2065*横585 画サイズ:縦1430*横445



巻き止めには鳥谷播山の鑑定があり、箱は野田九甫鑑定箱という念の入った誂えで、当時から贋作が多かったということでしょう。

 

鑑定と落款、印章がしっかりしています。

 

野田九甫の箱書きのあるニ重箱に収められています。前の所蔵者が大切にしていたことがうかがえます。当時は横山大観と並び称せられた画家でしたから・・。

 

出来はなかなかいいと思います。



秋田県でも忘れ去られる画家となりつつあります。



筆遣いは努力の画家である寺崎廣業の修練の賜物です。



さ~、掛け軸を見直してみませんか?



表具、軸先、風鎮、誂えの箱・・、すべてが現代では新鮮なものです。掛け軸の扱い方を教えてくる人は稀有になってきましたが、茶道などを習うと必要最低限のことは学べます。
物を大切するということはものづくりの原点ですね。

復興もその大半がものづくりですが、もっとも大切なのはなぜつくるかという直接的な動機ですね。国立競技場にしても、町づくりにしてもそれをおろそかにしては頓挫します。比べるのもおこがましいのですが、当方の倉庫改修も同じ。立派なものを作ろうと過去のものを真似ることも大切なのですが、現代の状況に応じてどう作りこむか、その必然性はなになのかということがものづくりの動議づけとなります。

茶室は過去のものはこうだ、という定義は大切ですが、にじり口にしてもお手前する空間にしても、現代人の体格も変わり、材料も変わり、過去のままの必然性は全くなく、そこには現代の必然性が引き起こす将来に向けての提案がなくてはならないものです。



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