最近紹介しました志野焼の水指・・、家内から突然「どこにあるの?」という質問。茶道具置き場の棚にあると教えてあげると「ぴったりね」と喜んでいました。「ぴったり?」・・・。
どうも旅箪笥?というものに入れる水指に最近紹介しました志野焼の水指のサイズがあったらしい・・・。意外に合わないのが箱と作品。よく茶碗用の保存箱が売られていますが、持っている茶碗と箱ですらサイズが今一合わないものです。
たしかに既存の箱に持ち合わせの作品がぴったり合うのは奇跡に近いことです。「この水指を幾らで買うの?」とはしゃぐ家内に問いかけても返事はありませんでした。桃山期の作品だったら高く売れたのに・・・・
閑話休題、骨董市には掛け軸はほとんど出品されませんが、版画などを扱う骨董商の脇に現在もダンボール箱に積み上げられているのが、色紙の作品の束です。ほとんどに人が面倒なので見向きもしませんが、小生は他にめぼしいものがないときにはじっくりと見ることにしています。
ほとんどが無名の画家の作品であったり、名のある画家の作品の工芸品や印刷などまず掘り出し物はありませんが、ときおり面白い作品があることがあります。インターネットオークションでも色紙の作品にはアクセスが少なく、ねらい目でもありますが、当然共箱でもなく、共タトウでもないので、駄作を購入することもしばしばです。
そんな状況下でいくつか最近入手した作品を紹介します。
菅公図 伝菊池契月筆
金紙着色淡彩 タトウ
画サイズ:縦220*横235
良く描けています。菊池契月の作品にこのような落款はあまり見たことがありませんが、ないことはない落款です。ま~、天神様ということで・・・。
菊池契月は1892年(明治25年)、13歳で山ノ内町の渋温泉在住の南画家・児玉果亭に入門、「契月」の画号を与えられていますが、最初は南画からスタートしています。その後、南画家である内海吉堂に入門。しかしその画風を受け入れることができず、これを察して、契月の画力と性格を見抜いた吉堂は、契月に京都の日本画家・菊池芳文を紹介しています。
菊池芳文は幸野楳嶺門下で、同門の竹内栖鳳・谷口香嶠・都路華香とともに「門下の四天王」とも呼ばれた京都画壇正統の四条派の画法を会得していた画家ですが、契月は1906年(明治39年)27歳で芳文の娘・アキと結婚、菊池家の婿養子となり、以後菊池姓を名乗ることになります。この当時は歴史上の故事に取材した作品を多く描いています。この頃の作品?
樹下小禽図 伝下村観山筆
絹本水墨淡彩 タトウ
画サイズ:縦270*横240
これも著名な画家。普段、トイレなどの壁に飾るのには都合が良さそう・・。直感では良い作品のように思います。
輪郭線を描かない朦朧体の描き方の片鱗がうかがえる作風です。朦朧体というと菱田春草が著名で、菱田春草亡き後、横山大観が大成させましたが、もともとは橋本雅邦がその最初とされていることを知っている方は少ないかもしれません。
山中松林図 児玉希望筆
絹本水墨 タトウ
画サイズ:縦270*横240
巧い。
児玉希望は川合玉堂の高弟。師の筆法を継ぎ、山水、花鳥画をよくし、覇気に満ちた性格と共に、近代的な色彩感覚を風景花鳥画を数多く描いていますが、本作品は川合玉堂の影響がうかがえる作風です。
れんぎょう 鬼頭鍋三郎筆
紙本水彩 タトウ
画サイズ:縦270*横240
共タトウと思われますが、詳細は不明。鬼頭鍋三郎は洋画家で、一時銀行に勤務しますが、上京して岡田三郎助、のち辻永に師事しています。従軍画家として戦地に赴き、戦後は光風会展・日展を中心に制作発表し、バレリーナシリーズで著名になります。
本作品はいかにも洋画家らしい描き方です。
柿一意 芝田米三筆
紙本水彩 タトウ
画サイズ:縦270*横240
味わいのある作品。こちらも洋画家の作品で、芝田米三はキリスト教的な作風で知られれいます。
山茶花 伝高山辰雄筆
紙本淡彩 色紙 共タトウ
画サイズ:縦270*横240
巧い! 共タトウ・・、ただこれはあまりにも著名すぎる画家・・。ただこの作品は小生にお気に入り、色紙の真贋に目くじらを立てるほどのことはない
筍 川端龍子筆
葉書 タトウ
画サイズ:横90*縦142
これは葉書絵ながら巧いですね~。
龍子は息子を戦地で、妻を病で亡くしており、第二次大戦後の1950年(昭和25年)、65歳になっていた龍子は妻と息子の供養のため、四国八十八ヵ所巡礼を始めています。6年がかりで全札所を回り、各札所で淡彩のスケッチを残していますが、その当時の葉書絵です。
その背景を知っていたので、通常は購入しない葉書絵ですが入手しました。
季節に合わせて、気軽な値段で購入できる色紙などの作品です。玄関やトイレなど、ちょっと洒落た色紙額を見つけては架け替えるのは愉しいです。ただよく飾られる色紙の作品ですが、これはその人のセンスを如実に表しますのである意味で要注意です。色紙一枚でセンスのすべてを知られてしまいます
額は数個あれば、寸法は同じですのでいくつでも色紙の作品を飾り換えられます。
色紙もタトウに入れて、引き出しに収納すると保存にも場所はとりません。ぜひ色紙の作品にチャレンジを・・・、印刷や工芸ではない肉筆の作品をお勧めします。
ところで骨董蒐集する心得にひとつに「収納、片付け」があると思います。床の間や部屋に所狭しと陳列している御仁にいい蒐集はまずありません。良き蒐集の前提は「収納、片付け」ですね。
展示を生かした工夫するためには常に収納と整理が必要で、収納をオーバーするなら作品を整理処分し、所蔵作品の数ではなく、レベルを上げていくことが良き蒐集になるように思います。自戒を含めて・・・・。
どうも旅箪笥?というものに入れる水指に最近紹介しました志野焼の水指のサイズがあったらしい・・・。意外に合わないのが箱と作品。よく茶碗用の保存箱が売られていますが、持っている茶碗と箱ですらサイズが今一合わないものです。
たしかに既存の箱に持ち合わせの作品がぴったり合うのは奇跡に近いことです。「この水指を幾らで買うの?」とはしゃぐ家内に問いかけても返事はありませんでした。桃山期の作品だったら高く売れたのに・・・・
閑話休題、骨董市には掛け軸はほとんど出品されませんが、版画などを扱う骨董商の脇に現在もダンボール箱に積み上げられているのが、色紙の作品の束です。ほとんどに人が面倒なので見向きもしませんが、小生は他にめぼしいものがないときにはじっくりと見ることにしています。
ほとんどが無名の画家の作品であったり、名のある画家の作品の工芸品や印刷などまず掘り出し物はありませんが、ときおり面白い作品があることがあります。インターネットオークションでも色紙の作品にはアクセスが少なく、ねらい目でもありますが、当然共箱でもなく、共タトウでもないので、駄作を購入することもしばしばです。
そんな状況下でいくつか最近入手した作品を紹介します。
菅公図 伝菊池契月筆
金紙着色淡彩 タトウ
画サイズ:縦220*横235
良く描けています。菊池契月の作品にこのような落款はあまり見たことがありませんが、ないことはない落款です。ま~、天神様ということで・・・。
菊池契月は1892年(明治25年)、13歳で山ノ内町の渋温泉在住の南画家・児玉果亭に入門、「契月」の画号を与えられていますが、最初は南画からスタートしています。その後、南画家である内海吉堂に入門。しかしその画風を受け入れることができず、これを察して、契月の画力と性格を見抜いた吉堂は、契月に京都の日本画家・菊池芳文を紹介しています。
菊池芳文は幸野楳嶺門下で、同門の竹内栖鳳・谷口香嶠・都路華香とともに「門下の四天王」とも呼ばれた京都画壇正統の四条派の画法を会得していた画家ですが、契月は1906年(明治39年)27歳で芳文の娘・アキと結婚、菊池家の婿養子となり、以後菊池姓を名乗ることになります。この当時は歴史上の故事に取材した作品を多く描いています。この頃の作品?
樹下小禽図 伝下村観山筆
絹本水墨淡彩 タトウ
画サイズ:縦270*横240
これも著名な画家。普段、トイレなどの壁に飾るのには都合が良さそう・・。直感では良い作品のように思います。
輪郭線を描かない朦朧体の描き方の片鱗がうかがえる作風です。朦朧体というと菱田春草が著名で、菱田春草亡き後、横山大観が大成させましたが、もともとは橋本雅邦がその最初とされていることを知っている方は少ないかもしれません。
山中松林図 児玉希望筆
絹本水墨 タトウ
画サイズ:縦270*横240
巧い。
児玉希望は川合玉堂の高弟。師の筆法を継ぎ、山水、花鳥画をよくし、覇気に満ちた性格と共に、近代的な色彩感覚を風景花鳥画を数多く描いていますが、本作品は川合玉堂の影響がうかがえる作風です。
れんぎょう 鬼頭鍋三郎筆
紙本水彩 タトウ
画サイズ:縦270*横240
共タトウと思われますが、詳細は不明。鬼頭鍋三郎は洋画家で、一時銀行に勤務しますが、上京して岡田三郎助、のち辻永に師事しています。従軍画家として戦地に赴き、戦後は光風会展・日展を中心に制作発表し、バレリーナシリーズで著名になります。
本作品はいかにも洋画家らしい描き方です。
柿一意 芝田米三筆
紙本水彩 タトウ
画サイズ:縦270*横240
味わいのある作品。こちらも洋画家の作品で、芝田米三はキリスト教的な作風で知られれいます。
山茶花 伝高山辰雄筆
紙本淡彩 色紙 共タトウ
画サイズ:縦270*横240
巧い! 共タトウ・・、ただこれはあまりにも著名すぎる画家・・。ただこの作品は小生にお気に入り、色紙の真贋に目くじらを立てるほどのことはない
筍 川端龍子筆
葉書 タトウ
画サイズ:横90*縦142
これは葉書絵ながら巧いですね~。
龍子は息子を戦地で、妻を病で亡くしており、第二次大戦後の1950年(昭和25年)、65歳になっていた龍子は妻と息子の供養のため、四国八十八ヵ所巡礼を始めています。6年がかりで全札所を回り、各札所で淡彩のスケッチを残していますが、その当時の葉書絵です。
その背景を知っていたので、通常は購入しない葉書絵ですが入手しました。
季節に合わせて、気軽な値段で購入できる色紙などの作品です。玄関やトイレなど、ちょっと洒落た色紙額を見つけては架け替えるのは愉しいです。ただよく飾られる色紙の作品ですが、これはその人のセンスを如実に表しますのである意味で要注意です。色紙一枚でセンスのすべてを知られてしまいます
額は数個あれば、寸法は同じですのでいくつでも色紙の作品を飾り換えられます。
色紙もタトウに入れて、引き出しに収納すると保存にも場所はとりません。ぜひ色紙の作品にチャレンジを・・・、印刷や工芸ではない肉筆の作品をお勧めします。
ところで骨董蒐集する心得にひとつに「収納、片付け」があると思います。床の間や部屋に所狭しと陳列している御仁にいい蒐集はまずありません。良き蒐集の前提は「収納、片付け」ですね。
展示を生かした工夫するためには常に収納と整理が必要で、収納をオーバーするなら作品を整理処分し、所蔵作品の数ではなく、レベルを上げていくことが良き蒐集になるように思います。自戒を含めて・・・・。