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高麗三島鉢

仙台に住んでいる友人が会社まで尋ねてきました。現役はほぼ引退しているのですが、体調を崩しときおり東京にある病院まで通院しており、時間が空くとときおり訪ねてきてくれる友人です。健康を害したせいか、「現役を引退して思うのは、人生で一番幸福なのは家庭の団欒だね。」と神妙な顔つきで話していました。小生曰く「なんだい、今頃気ついたのかい。」と毒づいておきました。短い時間の会話でしたが、最後は「気を付けて帰れよ。」と・・・。体調はだいぶ良くなっているようでした。

本日の作品は茶碗としては大きいので菓子鉢などによい三島手の作品です。この手の作品は良く見かけますが、実物は作りが雑なものも多いようです。

高麗三島鉢
合箱
口径184*高さ85*高台径55

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三島手は高麗焼の一種で、李朝初期15~16世紀の慶尚南道で焼かれたとされ、茶碗では雲鶴に次いで古いと考えられています。

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鉄分が多い鼠色の素地に、印や箆(へら)や櫛(くし)で紋様をつけ、白土の化粧土を塗った後、削り又は拭き取り仕上げをし、長石釉や木灰釉を掛けて焼成した白象嵌の陶器で、「暦手(こよみで)」とも呼ばれます。

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三島の名前は、その文様が、伊豆国三嶋明神(現三嶋大社)で版行された摺暦(すりこよみ;木版印刷)である「三島暦」の仮名の崩し文字に似ていることから「みしま」「こよみ」などと呼ばれたというのが通説となっています。三島手には、「礼賓(らいひん)三島」、「古三島」、「三作(さんさく)三島」、「彫三島」、「御本三島」などがあります。

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三島手の種類

「礼賓三島」は、見込みに「礼賓」の字が白象嵌で書いてあることが名前の由来とされます。礼賓は、礼賓寺という外国使臣を接待する役所のことで、ほかに長興寺・内資寺・内膳・司膳・仁寿府などの文字のあるものも礼賓と呼ばれます。この手は官用品として上納されたもので、三島の中でも上品が多く、器の素地自体も薄く、三島文が端整で細やかで、時に高台脇まで象嵌があるものがあります。

「古三島」は、来賓に続いて16世紀前半から中期へかけての物が多く、象嵌の手法が来賓ほど緻密ではないものです。

「三作三島」は、内面は三島象嵌で、外側は胴まで粉引で、高台脇に刷毛目のあるものです。刷毛目のないものは二作三島といいます。

「彫三島」は、慶長年間(1596-1615)初めに始ったとされる古田織部の意匠による日本からの注文品で、見込みだけに花紋の押し型を用い、見込み周辺や外側は箆で略紋を施してあります。

「御本三島」は、17~18世紀にかけて、日本で作られた手本(茶碗の下絵や切り形)をもとに朝鮮で焼かれたものです。

その他、技法により、「彫三島」のほかに、「釘彫三島」、「刷毛三島」、「絵三島」など、装飾により、「花三島」、「檜垣三島」、「渦三島」、「角三島」など、さまざまな呼び名がつけられています。

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さて本作品がいつ頃焼成され、生産地がどこであるかの詳細は不明です。

人生はなにがあるかわからない。だから今という時間を大切にしなくてはいけませんね。冒頭の彼の帰り際の一言「仕事オンリーでは現役引退後、家族から持てあまされるのがオチ。」だそうな。彼のために弁護しておくと彼は決してそういう境遇ではありません。会社を興して仕事をやりぬいた男の一言は重い。サラリーマンの経験では計り知れないものがあるようです。

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