義父と義母が息子を連れ立って、畑で取れた果実で作ったジャムを持って叔母の処へ出かけました。そうすると乗用車がなくなり、自転車はパンクしてるので使えない。さて家内と息子が居ないので、外で昼食をと、自転車を修理にだすこともあり、軽トラックで出かけることにしました。
![]()
なんとクーラーは効かない、大きな音は出る。自転車を積んで猛暑の中、窓を全開にして出かけました。
帰宅後、ゆっくりと展示している作品を撮影・・。
![]()
![]()
![]()
さて、本日の紹介するこの作品は近代南画、というよりも近代日本絵画の秀作と言えると自負していますが・・・。
梅花高士図 幸松春浦筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:縦2090*横535 画サイズ:縦1470*横395
![]()
手前は秋田市保戸野窯で作陶している平野庫太郎氏作の辰砂の大皿です。
![]()
箱書に「戊辰□季」とあり、昭和3年(1928年)1月、幸松春浦が31歳の頃の作。帝展に連続して特選受賞した直後の作となります。
![]()
*************************************
幸松春浦:日本画家。大分県生。名は猪六。大分で佐久間竹浦や秦米陽に南画を学ぶ。1915(大正4)年、大阪に出て、姫島竹外に入門。1920(大正9)年、第2回帝展に初入選。1926・27(昭和元・2)年、連続して特選受賞。以後、無鑑査、推薦となる。官展系展覧会を中心に活躍し、戦後も日展に出品を続けた。中国、朝鮮等を巡迴し、主な作品に「秋思」「雪路」「老子」「旅愁」等がある。昭和37年(1962)歿、享年65才。
![]()
************************************
南画家でありながら近代画家としても画業を成した画家ですが、文人としての矜持を持っていた画家です。
![]()
漢詩が賛として記されています。
![]()
「衆芳揺落独嬋妍 占尽風情向小園 疎影横斜水清浅 暗香浮動月黄昏 霜禽欲下先偸眼
粉蝶如知合断魂 幸有微吟可相狎 不須檀板共金樽
昭和戊辰夏日寓於春□軒□窗六清 風徐□□並疎林逋々□春浦釣史 押印」
![]()
衆芳揺落して独り嬋妍たり 小園にて風情を占め尽くす 疎影横斜して水清浅
暗香浮動して月黄昏 霜禽下らんと欲して先ず眼を偸む粉蝶
如し知らば合に魂を断つべし 幸に微吟の相い狎るべき有り 須いず檀板と金樽とを
![]()
************************************
○衆芳 百花をさす。
○揺落 零落。
○嬋妍 色彩が明るく、あざやか。ここでは梅の花を形容する。
○「占断」句 小園の中の美しい風光は、すべて梅の花によって独占されてしまった。
○風情 風光。
○「疎影」句 梅の花の疏朗で横斜な枝の影は、清く浅い池の水にさかさに映っている。この句は梅の姿態を書き、視覚を用いている。
○「暗香」句 梅の花の清くかすかな香気は、黄昏の月色の中にただよっている。この句は 梅の花の香味を書いており、嗅覚を用いている。
○霜禽 白い鳥。ここでは白鶴をさす。「霜」は、白い色をたとえる。
○偸眼 盗み見る。
○粉蝶 白い蝶。
○合 「応」に同じ。
○断魂 消魂。ここでは、快活・神往の意味。
○微吟 小声で詩句を吟誦する。
○相狎 互いに慣れ親しむ。
○檀板 拍子木。音楽を演奏する時に、拍子を打つ役目をする。ここではそれによって歌をさす。
○金樽 貴重な酒杯。ここではそれによって酒を飲むことをさす。「檀板金樽」は、ここでは世俗の人が好む音楽と酒宴をたとえる。
![]()
************************************
この漢詩は「林逋」によるものを引用しています。「林逋」すなわち有名な「林和靖」のことです。
![]()
************************************
林逋: Lin Bu (北宋):林逋(りんぽ 967~1028)、字は君復。杭州銭塘(浙江省杭州)の人。北宋初期の代表的な隠逸詩人。若くして身寄りがなく貧乏で、苦学した。一生仕官せず、杭州西湖のほとりの孤山に隠居し、詩と書画を愛した。20年間町に足を踏みいれることがなかったという。生涯独身で過ごし、梅と鶴を伴侶とする生活を送り、当時の人々はこれを「梅妻鶴子」(梅は妻、鶴は子)と称した。その人柄を愛した仁宗が没後に和靖という諡をおくり、世に林和靖、和靖先生という。詩の多くは散佚したが、梅花と西湖の美しさをうたった繊細な作品で知られる。『林和靖先生詩集』がある。
![]()
************************************
意味は下記のようになります。
《孤山の庭園の小梅》
いろいろな花が散ってしまった後で、梅だけがあでやかに咲き誇り、
ささやかな庭の風情を独り占めしている。
咲き初めて葉もまばらな枝の影を、清く浅い水の上に横に斜めに落とし、
月もおぼろな黄昏時になると、香りがどことも知れず、ほのかにただよう。
![]()
霜夜の小鳥が降り立とうとして、まずそっと流し目を向ける。
白い蝶がもしこの花のことを知れば、きっと魂を奪われてうっとりするに違いない。
幸いに、私の小声の詩吟を梅はかねがね好いてくれているから、
いまさら歌舞音曲も宴会もいりはしない。
印章や落款は下記の写真のとおりです。
![]()
遊印が下部の左右に押印されています。
![]()
状態、表具も上々です。
![]()
暑苦しい日々に清涼の一幅ですね。ともかく軽トラックの中は暑かった!

なんとクーラーは効かない、大きな音は出る。自転車を積んで猛暑の中、窓を全開にして出かけました。
帰宅後、ゆっくりと展示している作品を撮影・・。



さて、本日の紹介するこの作品は近代南画、というよりも近代日本絵画の秀作と言えると自負していますが・・・。
梅花高士図 幸松春浦筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:縦2090*横535 画サイズ:縦1470*横395

手前は秋田市保戸野窯で作陶している平野庫太郎氏作の辰砂の大皿です。

箱書に「戊辰□季」とあり、昭和3年(1928年)1月、幸松春浦が31歳の頃の作。帝展に連続して特選受賞した直後の作となります。


*************************************
幸松春浦:日本画家。大分県生。名は猪六。大分で佐久間竹浦や秦米陽に南画を学ぶ。1915(大正4)年、大阪に出て、姫島竹外に入門。1920(大正9)年、第2回帝展に初入選。1926・27(昭和元・2)年、連続して特選受賞。以後、無鑑査、推薦となる。官展系展覧会を中心に活躍し、戦後も日展に出品を続けた。中国、朝鮮等を巡迴し、主な作品に「秋思」「雪路」「老子」「旅愁」等がある。昭和37年(1962)歿、享年65才。

************************************
南画家でありながら近代画家としても画業を成した画家ですが、文人としての矜持を持っていた画家です。

漢詩が賛として記されています。

「衆芳揺落独嬋妍 占尽風情向小園 疎影横斜水清浅 暗香浮動月黄昏 霜禽欲下先偸眼
粉蝶如知合断魂 幸有微吟可相狎 不須檀板共金樽
昭和戊辰夏日寓於春□軒□窗六清 風徐□□並疎林逋々□春浦釣史 押印」


衆芳揺落して独り嬋妍たり 小園にて風情を占め尽くす 疎影横斜して水清浅
暗香浮動して月黄昏 霜禽下らんと欲して先ず眼を偸む粉蝶
如し知らば合に魂を断つべし 幸に微吟の相い狎るべき有り 須いず檀板と金樽とを

************************************
○衆芳 百花をさす。
○揺落 零落。
○嬋妍 色彩が明るく、あざやか。ここでは梅の花を形容する。
○「占断」句 小園の中の美しい風光は、すべて梅の花によって独占されてしまった。
○風情 風光。
○「疎影」句 梅の花の疏朗で横斜な枝の影は、清く浅い池の水にさかさに映っている。この句は梅の姿態を書き、視覚を用いている。
○「暗香」句 梅の花の清くかすかな香気は、黄昏の月色の中にただよっている。この句は 梅の花の香味を書いており、嗅覚を用いている。
○霜禽 白い鳥。ここでは白鶴をさす。「霜」は、白い色をたとえる。
○偸眼 盗み見る。
○粉蝶 白い蝶。
○合 「応」に同じ。
○断魂 消魂。ここでは、快活・神往の意味。
○微吟 小声で詩句を吟誦する。
○相狎 互いに慣れ親しむ。
○檀板 拍子木。音楽を演奏する時に、拍子を打つ役目をする。ここではそれによって歌をさす。
○金樽 貴重な酒杯。ここではそれによって酒を飲むことをさす。「檀板金樽」は、ここでは世俗の人が好む音楽と酒宴をたとえる。

************************************
この漢詩は「林逋」によるものを引用しています。「林逋」すなわち有名な「林和靖」のことです。

************************************
林逋: Lin Bu (北宋):林逋(りんぽ 967~1028)、字は君復。杭州銭塘(浙江省杭州)の人。北宋初期の代表的な隠逸詩人。若くして身寄りがなく貧乏で、苦学した。一生仕官せず、杭州西湖のほとりの孤山に隠居し、詩と書画を愛した。20年間町に足を踏みいれることがなかったという。生涯独身で過ごし、梅と鶴を伴侶とする生活を送り、当時の人々はこれを「梅妻鶴子」(梅は妻、鶴は子)と称した。その人柄を愛した仁宗が没後に和靖という諡をおくり、世に林和靖、和靖先生という。詩の多くは散佚したが、梅花と西湖の美しさをうたった繊細な作品で知られる。『林和靖先生詩集』がある。

************************************
意味は下記のようになります。
《孤山の庭園の小梅》
いろいろな花が散ってしまった後で、梅だけがあでやかに咲き誇り、
ささやかな庭の風情を独り占めしている。
咲き初めて葉もまばらな枝の影を、清く浅い水の上に横に斜めに落とし、
月もおぼろな黄昏時になると、香りがどことも知れず、ほのかにただよう。

霜夜の小鳥が降り立とうとして、まずそっと流し目を向ける。
白い蝶がもしこの花のことを知れば、きっと魂を奪われてうっとりするに違いない。
幸いに、私の小声の詩吟を梅はかねがね好いてくれているから、
いまさら歌舞音曲も宴会もいりはしない。
印章や落款は下記の写真のとおりです。


遊印が下部の左右に押印されています。


状態、表具も上々です。

暑苦しい日々に清涼の一幅ですね。ともかく軽トラックの中は暑かった!