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Channel: 夜噺骨董談義
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霧降之瀧 山元櫻月筆 その3

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家内の初釜は女性が多い・・。息子と小生は緊張気味・・。



食事から開始・・。お茶席の会席を開くに必要なことは料理人、手伝い、そして器、大事なのは集まってくれる人。

むろん、主催者の体力も・・、最近は皆、高齢でこのようなことが難しくなっているし、自宅にはスペースが確保できない点もあろうと思う。外の会場にて催すことが多くなっているがどうも興ざめしそうである。



お茶の先生のご主人が大の料理好き・・。これはうまい! 中耳炎に罹患していなければ、大いに一献といきたかったところ・・。



最後はお濃茶・お薄でお開き・・。



本年もよろしくお願いします。

本日紹介する作品は、叔父である山元春挙、そして風景画の中でとくに富士山に名が秀でた山元桜月の作品の紹介です。この両者は「根底にある実写による風景画という点」では著しく近似ている画家でしょう。



両画家の風景画の作品を並べて展示室に展示してみました。左が本日紹介する下記の作品で、右は以前に紹介した山元春挙の「保津川}という作品です。

霧降之瀧 山元櫻月筆 その3
絹本着色軸装 軸先骨欠損 共箱(初号春汀銘)
全体サイズ:横550*縦1960 画サイズ:横420*横1290

 

霧降之瀧:古くから華厳ノ滝、裏見ノ滝とともに日光三名瀑の一つに数えられている。霧降川にかかる滝は上下2段になっていて、上段が25メートル、下段が26メートル、高さは75メートルある。下段の滝が、まるで霧を振られるかのように水が岩に当たり、飛び散って流れ落ちる。その様子からこの名がついたといわれています。



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山元桜月:山元桜月は、明治22年(1889年)に滋賀県滋賀郡膳所町(現滋賀県大津市)で山元治三郎と庄子夫妻の三男として誕生した。父治三郎は山元家の入婿で、母庄子の末弟は近代京都画壇を代表する画家の一人山元春挙である。治三郎夫妻は子宝に恵まれ、六男二女の子をもうけ、桜月は四番目三男として生まれ三郎を名付けられ、叔父である春挙は幼ない桜月の画才を見抜き、明治33年(1900年)桜月の入門を許し春汀の名を与え、以降厳しく実写の道を教えたと伝えられる。

  

桜月は才能を遺憾なく発揮し、大正3年(1914年)第8回文展において『奔流』が初入選し、以降文展・その後の帝展に連続入選を果たし、昭和3年(1928年)には帝展で推薦(無鑑査)と順調に地位を固めていった。その後、昭和8年(1933年)師であり叔父でもある春挙が亡くなると、昭和10年(1935年)には名を春汀から桜月に改め、帝展を退会し画壇から一歩身を引くと共に画商とのつき合いも断った。



桜月が描く対象も一般風景から山岳画へと変わり、昭和14年(1939年)改組文展に『早春の芙蓉峰』を出品し、以降富士山を描き続け、翌15年(1940年)には山梨県の山中湖村に移住し、富士山の観察とスケッチに没頭した。



桜月が描く富士山の絵について、横山大観は「富士の真の姿を描いて行くのは桜月君が最もふさわしい画家」と評し、昭和30年(1955年)東京で開かれた桜月個展において川合玉堂は、多くの期待を持って個展を楽しんだと伝えられる。



桜月は自著『神韻』の中で富士山を描くことに対して「芙蓉峰と雲の調和は他の高山に比類なき美の極地」、「先変万化の景観は、宇宙の無限大と等しく意義を示す世界無比の神秘」と称し、また後年「富士山を見ていたらその崇高な姿に魅入られ、誰も戦争など思い寄らないだろう。そして心から平和のためには力を合わすようになる。」との信念から、富士を描いた作品を世界の指導者に対して数多く寄贈した。昭和60年(1985年)に死去した。享年97才。

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本作品は著名な富士山を描いた作品ではなく、しかも前期に位置する「桜汀」の落款の時代の作品ですが、山元桜月の渾身の佳作とえるでしょう。



山元桜月時代の富士山を好むか、その前の風景画を好むかは人によって好みの分かれるところです。



猛夏に似合う涼しげない作品には相違ないでしょう。



山元春挙に山元春汀の叔父と甥との関係の作品・・。



両者並べて鑑賞するのもたしかに一興です。これはコレクターならではの贅沢。

当方では決して作品は一般公開せず、男の隠れ家における増築計画では己のためだけの展示スペースを計画中・・・・

 

山元春挙、桜月の作品を改めて作品を並べて鑑賞していますが、明治人の気骨が伝わる画家の作品群です。

息子に「またお茶会に行こうね?」と言ったら、「お庭での食事がいい!」だと・・。茶本来の風情が解っているのかも・・。

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