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鉄拐仙人図 寺崎廣業筆 その63

寺崎廣業の作品も「その63」となりました。寺崎廣業の作品は一言でいうと「作品数も多いが、贋作も多い」。ただ以前ほど高価な作品ではなくなったので目くじらを立てる必要もなくなったようですが・・・。

鉄拐仙人図 寺崎廣業筆 その63
絹本水墨軸装 軸先 共箱
全体サイズ:縦2010*横540 画サイズ:縦1110*横400

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蝦蟇仙人と対で描かることの多い鉄拐仙人を描いた作品。

本作品は下記の説明にある借「屍還魂鉄」の魂を出しているところを描いたもので、杖を胸元にたてかけた李鉄拐は、ちょうど魂を吹き出した所で、もとの体は脱けがらとなってすでに死色を帯び、硬直し始めている様子を描いた作品です。けっして孫悟空のように自分の分身をたくさん出す術ではありません。

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鉄拐仙人:李鉄拐(り てっかい)は、中国の代表的な仙人である。八仙の一人。鉄拐李とも呼ばれる。名は玄、凝陽、洪水、岳など諸説ある。鉄拐とは、彼の幼名であるとする説や、足が不自由で鉄の杖をついていたためという説がある。暗八仙は葫蘆(瓢箪)。

絵ではボロボロの服を着て足の不自由な物乞いの姿をしていることが多いが、もとはがっしりとした体格の道士であった。

二十歳の頃から仙道を志すようになり、ある日、太上老君に崋山で逢うことになり、魂を遊離させ、逢いに行くことにした。そこで、彼が帰ってくるまでの七日間の間、魂の抜けた身体を見守るよう弟子に言いつけ、もし七日経っても帰ってこなければ身体を焼くように言った。

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しかし、六日目に弟子の母が危篤との知らせを受けて、弟子は鉄拐の身体を焼き、母の元に行ってしまった。鉄拐が戻ってきてみると、自分の身体は既に焼かれていた。彼は近くに足の不自由な物乞いの死体を見つけ、その身体を借りて蘇った。兵法三十六計の一つ、借屍還魂は、この逸話をもとにした計略である。

また、西王母に師事して東華教主となり、漢鍾離を得道させたという説もある。

ほかにも岳寿という小役人が李屠という者の体を借りて李鉄拐になったという話もある。鄭州奉行所の都孔目(裁判官)である岳寿は、悪の限りを尽くし、私腹を肥やして地獄に落ちてしまったが、生前、一つだけいいことをしていたことから呂洞賓に地獄から助け出された。しかし、死体は既に焼かれており、仕方なく死んだばかりの鄭州東城門内の肉屋である李屠の息子の小李屠に乗り移ったところ、小李屠は足が悪かったところから、杖をつくようになった。

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共箱にきちんと収められている作品で、むろん真作です。

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下記の作品中の「三本廣業」の落款と印章、箱の印章は同一作品の多く、明治末の作品に多い。寺崎廣業は非常に贋作が多いのでき出来不出来や第一印象でちんと見極めことが肝要のようです。

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ところで鉄拐仙人と対で描かることの多い蝦蟇仙人の作品は寺崎廣業の作品では下記の作品が本ブログには投稿されています。

蝦蟇仙人 寺崎廣業筆 その10
紙本水墨軸装 軸先鹿本骨 合箱入 
全体サイズ:横420*縦1960 画サイズ:横320*縦1110

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また「伝」円山応挙の作品としては下記の作品が投稿されています。

*ちなみに落款の「挙」の字の最後が流す、跳ね上がるで真贋を判断するという資料の記述はどうも間違いであると最近確信しています。

蝦蟇仙人 伝円山応挙筆
絹本淡彩絹装軸 軸先木製 二重箱 
全体サイズ:横*縦 画サイズ:横305*縦765

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寺崎廣業、円山応挙にしても天性の画力では人物を描くことをおそらく苦手として画家でしょう。血の滲むような精進があって、人物画を描くことを克服した画家です。ですからどちらかというと人物画も含めて生真面目な作品という印象を受ける作品が多いと思います。

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ま~、どちらの仙人にしても人を食った作品・・・Image may be NSFW.
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 展示して愉しんでいます。


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