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遼三彩 草花文皿

郷里の車庫には昨年に捕り損ねたオニヤンマの標本が・・・。要は車庫に迷い込んで標本のようになったらしい。息子と「今年は絶対に捕ろうね!」と小生はカマキリ先生気分Image may be NSFW.
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本日は当方の源内焼の蒐集から派生している三彩の作品の中から遼三彩の作品の紹介となります。

遼三彩 草花文皿
誂箱
口径170*高台径*高さ28

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遼三彩とは中国の東北部に建国した契丹族の遼で焼造された三彩陶器です。北宋王朝と北方の領土を巡って激しく争ったことで知られる契丹族の国・遼の三彩です。

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遊牧民族である契丹族は,むろん製陶業はもたなかったのですが,国家意識に目覚めて916年に建国すると中国文化の摂取につとめ,文化向上につとめ華北の陶工を領内に拉致して窯を築かせています。

遼寧省赤峰市に近い乾瓦窯はその代表的な窯であり,ここで遼三彩は焼造されたようです。資料ではその創始は遼後期の1060年代からでありますがが,単色の緑釉陶と褐釉陶はすでに10世紀に焼造していると考えれています。

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遼三彩は唐三彩と同様すべて副葬品であり、遼三彩の起こりは遼代中期に政府が厚葬(手厚い埋葬)を禁じたことと関わりがあります。遼は北部に位置し自然資源はもちろん、献上される貢ぎ物にも限りがあったので、貴族たちの厚葬の風潮は社会財源にとってきわめて大きな浪費でした。

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そこで政府は金銀器の副葬を禁じ、代わりに金銀器の効果にならった三彩釉の陶器や金メッキした銅器を用いました。唐三彩とは違って、朔北の草原に生まれたこの三彩はある程度の粗放さに裏打ちされた力強い野性味に満ちているといえましょう。

*同じ皿の作品でも高台のあるものと盤のように高台のないものとがあるようです。

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赤い素地に白化粧をして低温釉の三彩釉を施すことに変わりはありませんが、地肌に付けられる刻花文や印花文が唐三彩のそれのように整然としておらず、その上の三彩釉も規矩にこだわらず自由奔放に掛けられますので、かなり印象は違ったものになります。

遼三彩は唐三彩ほどの繊細さはない作品ですが、素朴な雰囲気が日本のわびさびの精神に通ずるところから人気があります。重ねて焼成するのでそのため三点の目あとがついていることがあります。

文献資料には下記のものがあります。

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2018-07-21 ブログ投稿作品にはこの資料と同図の作品です。

遼三彩 石榴文盤
箱入
口径207*高台径105*高さ44

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この作品は遼三彩の典型的な作例で石榴の図を彫文で表し、緑釉と褐釉を掛けており、遼三彩らしい素朴さとエキゾティシズムに溢れています。形や文様にきびきびとした印象が強い宋時代の陶磁器と比べると明るくおおらかであり、むしろ唐時代の中国陶磁の作風に通じます。

11世紀後半になると、乾瓦窯はひときわ優れた三彩を生み出しました。轆轤成形した器面に、型で文様を浮彫りする技を得意とし、三彩の色彩も鮮やかさを増した。

三彩という陶磁器には主流として唐三彩・遼三彩・ペルシャ三彩・奈良三彩・明三彩、そして源内焼などがあります。

当方の所蔵作品での源内焼の例では「2017-01-25 」の投稿された下記の作品を掲載します。

源内焼 その89 三彩軍配形脚付鉢(菊文)
高さ40*縦278*横223

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ペルシャ三彩では下記の作品などを投稿しています。

波斯花卉文大鉢
合箱
口径293*高台径116*高さ87

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三彩の作品ひとつでもその作例は多岐にわたり、その全容を取られることは至難の業ですが、少しずつの積み重ねで徐々に判別できるようになってきました。

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何気ない色絵の皿、古い桐の茶箪笥などに何気なく飾ってい置くのも粋かもしれません。さて本日は朝一番の飛行機で四国へ日帰りの旅です。


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