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Channel: 夜噺骨董談義
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叭々鳥二梅雪竹図  双幅 天龍道人筆 60歳頃

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年末の全国行脚も最終となってきました。今週は仙台、名古屋、そして横浜・・・。慌ただしい日々ですが、こういう時ほど落ち着いて対処する余裕が大事なようです。

本日は天龍道人の貴重な双幅の作品の紹介です。

叭々鳥二梅雪竹図 双幅 天龍道人筆 60歳頃
紙本水墨軸装 軸先塗木製 誂箱
全体サイズ:縦1890*横300 画サイズ:縦1340*横180



天龍道人の数少ない初期の頃の作と思われる非常に珍しい作品。



天龍道人の絵画学習については享和20年(1735)頃、18歳頃に「長崎で沈南蘋門人熊斐(神代繍江)に学ぶ」とされており、これは「信州仙人床」という史料を典拠とした推測のようです。

天龍道人が描き残した作品のうち、「鯉魚図」には熊斐に同じ題材の作品が知られており、また沈南蘋流に類似の鷹画が遺されています。さらに、天龍道人がよく描いた鷹以外の鳥でも「栗穂に叭々鳥図」(佐賀県立博物館蔵)はくちばしに付け根の毛が逆立った中国に生息する鳥、叭々鳥を描いた作品で、昆虫をくわえて悦に入っている姿ですが、熊斐の門人で南蘋派の画家である森蘭斎という画家の「蘭斎画譜」に一致する構図がみられます。

天龍道人の画風は、沈南蘋から熊斐にと推移し、さらに全国に広まる沈南蘋流の画家の系列に属していることが確認できます。ただし本当に熊斐に天龍道人が直接学んだのか、天龍道人の詳しい絵画学習については今後も検討が必要です。


 

なお絵画制作がはじまる54歳頃まで、20数年のブランクがあり、このブランクについて詳細は不明です。

天龍道人の絵画制作の開始時期は明和8年(1771)54歳頃で、かなり年をとってから、絵画制作を始めたことになります。最も早い年記作品が明和8年の「菊図」で、画面に「辛卯中夏初二/虚庵道人写」と年記と署名があります。もう1点、同じ年の作品として、静岡県立美術館所蔵の「葡萄に栗鼠りす図」が知られています。「辛卯初秋虚庵源義教」と、おなじ「辛卯」の年記があり、初秋は7月で、「虚庵」の署名につづけて「源義教」と署名されています。

 

本作品は右幅に「源義教□?王瑾寫 押印」と落款があり、右幅には「王瑾寫意」と落款があり、押印はともに「王」の白文朱印と「瑾」の朱文白印の累印が押印されています。遅くても60歳頃の作かと推察されますが。さらに若い頃の作かもしれません。

「源義教」の署名について:

天龍道人墓碑銘によると王を姓としが経緯が「昔、源平の」というくだりに記されています。源平合戦は壇ノ浦の戦いで平氏が敗れ、その時の安徳天皇が身を海中に投じて崩御されるという歴史ですが、異なることが墓碑に記されています。

源義経が策略を巡らせて、妾の子を安徳天皇の身代わりとして送り込み、実際に死んだのは義経の妾の子であったという説明です。生き延びた安徳天皇は、「肥後の間」と肥前、肥後、筑前、筑後のどこかは不明確ですが、都落ちして、それを実際に手配をしたのが義経の妾で、この妾は義経の子供を身ごもっていて、やがて男の子が生まれ、安徳天皇から千一丸という名前を賜ります。

千人に一人という豪傑という意味を込めた命名ということです。ある時、旗にその名前を書いたとき、「千一」は両文字を間隔なく縦書きすると「王」と間違えられ、やがて「王」と名乗るようになったということです。「王」を姓とする家は代々続きましたが、ついに男子が生まれず女性だけになり、この女性を妾にしたのが天龍道人の父親の「忠隆」で、生まれた子供が天龍道人であると記されています。

源義教の署名について、「天龍道人墓碑銘」には具体的には記されていませんが、源義経の妾の子を祖先とすることにちなんだものと考えられます。このように鎌足や義経などの人物と天龍道人との関係は、真偽はともかくとして、先祖の優秀さを表明することで、天龍道人が自分の意識を高めようとしたと推測されます。

 

着色された「長崎で沈南蘋門人熊斐(神代繍江)に学ぶ」とうかがわせる作品は、本ブログにて何点か紹介しましたが、墨絵一色で長崎派の影響をうかがわせる作品、もしくは違う龍はの影響を見せている作品は稀有です。



さて本ブログにて紹介されてきた天龍道人ですが、本ブログの読者にとって興味深い画家のひとりとなっていただけると幸いですね。

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