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Channel: 夜噺骨董談義
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古伊賀焼・古信楽? 煎餅壺

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古い煎餅餅と称される作品への二度目のチャレンジです。最初の作品の入手はどうやら失敗らしいですが、一度の失敗くらいで懲りないのが当方の性分のようです。



ブログで紹介したようにひと作品目は大いなる惨敗、ひと作品目下記の作品ですが、現在は屋根裏行・・。

古伊賀焼 煎餅壺→贋作(近代作)
合箱入
口径113*胴径*底径*高さ285



本作品には次のようなコメントも頂きました。「良い物をお持ちですね。ですが、この伊賀は「いけません」贋作ですね。口造りや造り込み、高台等全てダメです。」というコメント・・・

ま~、煎餅壺というよりも「壺」なる作品に挑戦し始めてばかりの頃の入手でしたので詳しい方から見ると失敗作のひとつなのでしょう。今でも見識はそれほど向上していませんが、現在の見識では「姿が悪い、釉薬の発色も汚い、高台は低すぎ」ということなのでしょう。

*この手の壺はネズミなどが入らぬように高台は明確に高めの作られるらしい。



さて本日紹介する作品です。失敗してもチャレンジあるのみ・・。

古伊賀焼・古信楽? 煎餅壺
合箱入
口径*胴径*底径*高さ275



再度若干「煎餅壺」なる作品の復習をしてみます。

まずは煎餅壺の名の由来

1.土肌がぷくぷくっと焼けて膨らんだような感じが煎餅が焼けたところのように見えるという説で、元来は茶葉を入れる器だったが、茶葉を入れて蔵に置いたとき、ネズミが後ろ脚をかけられない、いわゆる“鼠返し”の形となっている。
2.銭壺(せんつぼ)からだんだんと音読みから煎餅壺に変わっていったという説。
銭を入れる器に使われたという説。
3.本当の煎餅を入れたという説

結局「煎餅壺」という名の由来は明確には解らないようです。

煎餅壺として実用性を重んじた作行がメインですが、その姿の良さから茶人が珍重したようですね。



自然釉薬の垂れ、火面・火裏のはっきりしたものが良く、何と言ってもすっきりした形の良いものが珍重されたようです。



主だった粘土は信楽も伊賀も同じものを使っていため、焼き上がりの肌だけで信楽か伊賀かを見極めるのは難しいようです。強いて言うなら土肌にちょっとぷつぷつと白い粒が吹き出しているのが信楽の大きな特徴としか言いようがないのでしょう。これは陶土を水で漉して細かいものだけを残す、という処理を信楽では行なわないためのようです。

「伊賀焼は基本的に無釉で、自然発生した釉薬、ビードロという緑色の釉薬が掛かったり、灰かぶりという、まきの灰がかかり黒っぽい釉薬となって自然発生します。全体には素朴で、無骨な感じがします。また伊賀の土は鉄分が少なく、耐火度が非常に高いので硬く焼けます。灰のかからない所は土味が緋色になって赤く出ます。さらには粘土の中に含まれる長石が浮き上がって白い点になり、珪石は石はぜになる。」と言われていますが、これも焼成具合では信楽焼にも当てはまる事項ですね。



本作品は肌の様子から古信楽と思われますが、当方では正直なところ判断がつきかねています。ところで古信楽では釉薬が掛かった面白さと胎土のかせた感じの面白さと両方の魅力のある作品が存在します。贋作は一般に自然釉が掛かったものが多く、かせた感じの贋作は作るのが難しいのかあまりないように思われます。



本作品の底にはいわゆる下駄印が見られます。器物の底に下駄歯のように二条の痕のあるものです。凹んだものを「入り下駄」、凸のものを「出下駄」といいます。

これは作品をロクロ引きするさいに、中心がずれないよう固定した跡といわれます。こうするとロクロからの離れもよく、焼成しても底に隙間ができるのでくっつきにくくなります。伊賀の下駄起こし、信楽の足駄焼は有名です。いずれも継櫨台が不完全だったためにできたものらしいです。



なお下駄痕は古丹波・常滑にもあります。丹波のものは時代の降った信楽の下駄痕のように形が正しく、長く、間遠であろと言われています。常滑のはやや安土・桃山時代の信楽に似ており、出下駄もあり入り下駄もあるようです。なお常滑には平安時代末から下駄印が一部分にみられています。なお古備前で下駄印があるのは極めて珍しいと言われていますが、意外に多いかもしれません。



なにはともあれ庭に置いてたり、庭に咲いていた牡丹を活けてみては、作品の良否をうかがっています。



要は古信楽としなければ、花入れとして使えるか否か・・・

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