本作品は平櫛田中作のよる鏡獅子(かがみじし) の試作とされる作品ですが、共箱等はなく詳細は不明です。
試作? 鏡獅子(かがみじし) 伝平櫛田中作
誂箱
高さ320*台座:幅382*奥行219
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鏡獅子はご存知のように新歌舞伎十八番のひとつです。
鏡獅子:歌舞伎舞踊「春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」の略称。正月の鏡開きの余興に手鏡を持って腰元が踊ると、その獅子の精にひかれて花道へ引っ込む。そして後段、能衣装に歌舞伎式隈取りの顔で獅子が花道から出る、という趣向の前、後段緩急自在の変化をもった新歌舞伎十八番の一つです。九代目市川団十郎によって創案され、六代目尾上菊五郎によって、絢爛たる出し物に完成されました。
昭和12年、歌舞伎座に鏡獅子がかかった時、平櫛田中は25日間通い続け、たえず場所を変えて観察し、六代目尾上菊五郎と相談してこのポーズを決めたそうです。そして1958年(昭和33年)、大作「鏡獅子」を戦中のブランクを経て、20年をかけて完成しました。完成時にはモデルの6代目尾上菊五郎はすでに故人となっていたようです。平櫛田中の代表作であり、全長2mの彩色が施された木彫の像は、圧倒的な存在感を誇り、現在は国立劇場のロビーに置かれています。
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衣装の上から見たままの鏡獅子では、本物を彫れないとし、それで菊五郎に裸になってもらっています。菊五郎は先代がいた頃から自分が稽古する時も、弟子に稽古をつける時も、常に裸体であり、裸体であることによって、歌舞伎を演じる時の筋肉の動きや四肢のバランス、頭の位置や腰つきがわかるそうです。幾重もの分厚い衣装の上からでは、微妙な筋肉の動きまではわからないので裸になってもらったようです。
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この裸形像を見ていると、顔もそうですが、身体つきがあまりに実物に近い。さらに裸形像のモデルとして立つ時、菊五郎は
「裸体であるなら、顔の隈取りまでは必要ないだろう」と田中に言った。
「それがなければ、だめなのです」と、即座に田中は返したという。
「そういうものか」、
「そういうものです」
菊五郎も、田中の迫力にその覚悟を悟ったようです。
かくして裸体で顔を隈取りした、異様な「鏡獅子」の原型が出来上がっていくのですが、「鏡獅子」の実物像が完成するのは、戦争の影響もあり、衣装を着けた試作像ができてから22年もかかり、それが今、国立劇場に展示されています。色は、専門の彩色家「平野富山」が色付けし、まことに眩く、美しく、力強い。そこには魂が宿っている。
*本作「鏡獅子」の彩色を手掛けたのが、本ブログにて幾つかの作品を紹介している彩色木彫家、平野富山です。平野富山は最初の頃はブロンズ像を中心に制作していましたが、その後彩色木彫も行ない、昭和33年には平櫛田中作「鏡獅子」の彩色を担当していますが、試作段階で関わったどうかは不明であり、平櫛田中の作品にいつ頃から彩色したかは詳細は不明であり、本日紹介した作品は平野富山の彩色ではない可能性があります。
幾つかの試作品が製作されたり、完成後にもスケールが小さな作品が製作されたようです。下記の作品は平櫛田中彫刻美術館蔵の作品で4分の1のスケールです。
鏡獅子(かがみじし) 平櫛田中作
小平市平櫛田中彫刻美術館蔵
木彫彩色 昭和40年 高 58.0cm
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この作品は等身大の本作以降の作品ですので平野富山による彩色だろうと推察されます。本日紹介される作品は本体が完成する前の作??
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彩色が丁寧でない? 姿に緊張が少ない?? などが当方で推察する理由ですが、むろん模作という可能性も大いにあります。
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ともかく飾って置くには華やかでいいでしょう。
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平櫛田中の大黒天と違って、あまりこの作品は市場ではみかけませんね。
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白と金彩が印象的な作品です。
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台の底には彫銘があります。
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見栄をきる?にはいい作品・・・。
試作? 鏡獅子(かがみじし) 伝平櫛田中作
誂箱
高さ320*台座:幅382*奥行219
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鏡獅子はご存知のように新歌舞伎十八番のひとつです。
鏡獅子:歌舞伎舞踊「春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」の略称。正月の鏡開きの余興に手鏡を持って腰元が踊ると、その獅子の精にひかれて花道へ引っ込む。そして後段、能衣装に歌舞伎式隈取りの顔で獅子が花道から出る、という趣向の前、後段緩急自在の変化をもった新歌舞伎十八番の一つです。九代目市川団十郎によって創案され、六代目尾上菊五郎によって、絢爛たる出し物に完成されました。
昭和12年、歌舞伎座に鏡獅子がかかった時、平櫛田中は25日間通い続け、たえず場所を変えて観察し、六代目尾上菊五郎と相談してこのポーズを決めたそうです。そして1958年(昭和33年)、大作「鏡獅子」を戦中のブランクを経て、20年をかけて完成しました。完成時にはモデルの6代目尾上菊五郎はすでに故人となっていたようです。平櫛田中の代表作であり、全長2mの彩色が施された木彫の像は、圧倒的な存在感を誇り、現在は国立劇場のロビーに置かれています。
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衣装の上から見たままの鏡獅子では、本物を彫れないとし、それで菊五郎に裸になってもらっています。菊五郎は先代がいた頃から自分が稽古する時も、弟子に稽古をつける時も、常に裸体であり、裸体であることによって、歌舞伎を演じる時の筋肉の動きや四肢のバランス、頭の位置や腰つきがわかるそうです。幾重もの分厚い衣装の上からでは、微妙な筋肉の動きまではわからないので裸になってもらったようです。
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この裸形像を見ていると、顔もそうですが、身体つきがあまりに実物に近い。さらに裸形像のモデルとして立つ時、菊五郎は
「裸体であるなら、顔の隈取りまでは必要ないだろう」と田中に言った。
「それがなければ、だめなのです」と、即座に田中は返したという。
「そういうものか」、
「そういうものです」
菊五郎も、田中の迫力にその覚悟を悟ったようです。
かくして裸体で顔を隈取りした、異様な「鏡獅子」の原型が出来上がっていくのですが、「鏡獅子」の実物像が完成するのは、戦争の影響もあり、衣装を着けた試作像ができてから22年もかかり、それが今、国立劇場に展示されています。色は、専門の彩色家「平野富山」が色付けし、まことに眩く、美しく、力強い。そこには魂が宿っている。
*本作「鏡獅子」の彩色を手掛けたのが、本ブログにて幾つかの作品を紹介している彩色木彫家、平野富山です。平野富山は最初の頃はブロンズ像を中心に制作していましたが、その後彩色木彫も行ない、昭和33年には平櫛田中作「鏡獅子」の彩色を担当していますが、試作段階で関わったどうかは不明であり、平櫛田中の作品にいつ頃から彩色したかは詳細は不明であり、本日紹介した作品は平野富山の彩色ではない可能性があります。
幾つかの試作品が製作されたり、完成後にもスケールが小さな作品が製作されたようです。下記の作品は平櫛田中彫刻美術館蔵の作品で4分の1のスケールです。
鏡獅子(かがみじし) 平櫛田中作
小平市平櫛田中彫刻美術館蔵
木彫彩色 昭和40年 高 58.0cm
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この作品は等身大の本作以降の作品ですので平野富山による彩色だろうと推察されます。本日紹介される作品は本体が完成する前の作??
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彩色が丁寧でない? 姿に緊張が少ない?? などが当方で推察する理由ですが、むろん模作という可能性も大いにあります。
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ともかく飾って置くには華やかでいいでしょう。
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平櫛田中の大黒天と違って、あまりこの作品は市場ではみかけませんね。
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白と金彩が印象的な作品です。
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台の底には彫銘があります。
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見栄をきる?にはいい作品・・・。