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源内焼 その129 三彩(陽刻)牡丹ニ鸚哥文鉢

本日紹介する作品は、当方で蒐集している源内焼の作品のひさかたぶりの紹介です。なかなかいい作品が市場に見当たらず、ようやくいい作品を探し出しての入手ですが、汚れがあり一部破損している作品ですが、この図柄は図集にも見当たらず、珍しい作品なので入手しました。

冒頭の写真や下記の写真にて作品の下に敷いてあるのは義母が不要になった着物の帯で幾つか作ってくれた敷布です。

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源内焼 三彩(陽刻)牡丹ニ鸚哥文鉢
口縁部補修跡有 誂箱
口径262*高台径175*高さ45 

下記の写真は入手時の写真です。

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源内焼は楽焼の胎土のように軟質で吸水率が高いので、破損や釉薬の剥離がしやすく、かつ汚れやすい作品群です。

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うまく洗浄するときれいになりますし、口縁の釉薬の剥離は黒漆で補修し、破損した部分は当方にて金繕いしておきます。そのままにしておくと釉薬の剥離が広がる恐れがありますので、この処置は保存には不可欠ですね。

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裏面の汚れはクレンザーなどできれいに落ちますが、あまり強くこすってはいけませんので、慎重に行う必要があります。

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源内焼の作品の蒐集は
1.25センチを超える大皿・鉢が貴重(ただし図柄や造形によって貴重なものも他にはあります。)
2.裏面などに「民」・「舜民」などの銘のある作品が貴重(ただし「鳩渓」の銘は再興源内焼で価値が格段に落ちます)
3.釉薬の剥離・欠損の少ない作品
が基本とされます。

本日の作品程度は蒐集対象としての源内焼としては合格と思われますが、汚れや破損部分の補修が可能かどうかにて判断する必要があります。

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金繕い部分の胎土の欠損の補修は車の修理のパテ材が素早くできますが、これは邪道という方もいます。ただし非常に丈夫でほとんど剥がれてきません。黒の漆は徐々に色合いは馴染んできます。

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中央の見込み部分の図柄は太鼓石に牡丹、鳥は鸚鵡でしょうか? 源内焼の図集には同図の作品が掲載されていません。

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ご存知のよう源内焼は平賀源内が興した窯の作品であり、そのデザインは当時の欧米などの海外からの影響がみられるなど斬新なものが取り入れられたようです。

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デザインは平賀源内の指導の影響が大きいとされ、欧米や中国における構図の影響が見られますが、源内焼はもともと当時に日本に中国からの交趾焼が日本への輸入が多く、外貨の流出を恐れた平賀源内が同等の作品における国内の内製化を図ったのが動機とされています。

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そのため売り先は交趾焼と同じ売り先の大名や庄屋、商人などの富裕層を的に絞り、大きな作品は主に鑑賞用に、小さな作品は揃いで作られたようです。これは古九谷や鍋島焼と共通しています。

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見込みをとりまく口縁の文様は精密で凝った作りになっています。これは型によるものですが、この型は精密に作るために当時の浮世絵師である鈴木春信と同じ工房の彫師に作らせたとされます。

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ただし同じ型からの製造は数に限りがあり、数によっては型の抜けが不鮮明な作品もあり、このような作品は蒐集から除外する必要があります。また同じ構図の作品が幾つかあり、人気のあった作品は型を新たに作って増産したとされます。

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この口縁の凝ったデザインは他の作品には見かけず、口縁は精密な鶴・唐草花文様が施された非常に珍しい作品であり、格調高く仕上がっています。

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ちなみに以上のような源内焼の記述は資料に掲載されている基本事項です。当方では各作品を資料に整理していますが、すでに150種ほどの源内焼の作品が揃ってきました。資料のデジタル化や本ブログのようなどこでも検索可能な資料の整理と共にアナログ的な資料も蒐集には必須となります。

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残念ながら保存箱はありませんので、当方にて誂え中であり、出来上がるまでしばし展示室に展示して愉しんでいます。

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時には皿立にではなく、センスの良い敷布において鑑賞するのも一興・・・。

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源内焼はまだマイナーな陶磁器群ですが、古九谷や鍋島焼に負けないような魅力がありますね。

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最近では家人のお茶席に菓子皿として使いました。菓子を取り上げていくうちに鳥の文様が解ってくるという趣向・・・Image may be NSFW.
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