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Channel: 夜噺骨董談義
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粉引手茶碗 鯉江良二作

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本日は本ブログに初登場の鯉江良二のお茶碗です。気に入っているお茶碗です・・・、といいながらいったい幾つの気に入った茶碗があるのか数えてみたことがありません。ただほかで気に入ったお茶碗にお目にかかった記憶があまりないので、小生の好みは特殊なのかもしれませんね。

粉引手茶碗 鯉江良二作
共布・栞付共箱
口径135〜140*高台径65*高さ80



本茶碗の特徴は釉薬と彫りの外見の面白さでしょうね。



奇をてらったものではなく、実に堂々としたフォルムがいいですね。粉引特有の三日月は釉薬を掻き落としています。このことは賛否両論があろうかと思います。本来であれば、自然に釉薬を掛ける時に生じさせるのがいいのでしょう。



見込みに旨く三日月?ができています。



高台周りの景色も良好ですね。茶碗というものは真贋、時代考証もさることながら物自体の良し悪しをみることが大切なように思います。



見込みの面白さも大切です。



この茶碗の最大の見所はどこでしょうか? それは胴部分にある釉薬を掛けるときにできた指の跡です。実際に持ってみると非常に不自然で指に結構な力が要ります。中学生時代に鯉江良二はアルバイトにより右手指二本の第一関節を失っていますが、そのことによる影響かもしれません。指の跡を見たときの違和感が自分で茶碗を持ってみさせる気にさせました。



そのようなことを考えながら茶碗を愉しむと味わいもひとしおですが、逆さに持ちますのでこれは自分で購入した自分の茶碗でないとできないことです。

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鯉江良二(こいえ りょうじ、1938年 - ):日本の陶芸家、現代美術家。愛知県常滑市出身。アルバイトにより右手指二本の第一関節を失うが、「制作に支障はないが、就職では心を傷つけられた。このハンディを背負ったことが、ぼくの今の底力になっている。」と鯉江自身が語る。



タイル工場を5年間勤めた後、常滑市立陶芸研究所に入所するが、1966年に退所し独立開窯する。陶芸の決まり事のような既成概念にとらわれず、従来の常識を越えた作陶を展開された先駆者。伝統陶芸、前衛陶芸という言葉にこだわらない作風が特徴である。「マスク」や「土に還る」シリーズのように必ずしも焼成にもこだわりを持たない土のままの作品もある。反核を題材とした「チェルノブイリシリーズ」等の代表作を持つ。


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茶碗を自分で作陶してみないと理解できないことがたくさんあります。習っても覚えませんよ。自ら作陶に没頭してはじめて身につくものだと思います。茶碗の良し悪しを見極めるこは意外に奥が深いようです。お茶を嗜む御仁は数多くあれど、茶碗の良し悪しを見れる人は何人いるでしょうか? 

仕事も趣味も何事も同じことで、熱くなって燃えるように学んだものはいろんな面で応用ができ、瞬時に理屈ではないひらめきを持つものです。そういう経験をした者でないと理解できません。今思うと仕事においてもそういう経験が出来ていることはとても良いことだったと思っています。

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