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佳作 冬景山水 寺崎廣業筆 大正4年(1915年)頃 その6 全体の117

本ブログの投稿し始めておおよそ15年、作品数は3500ほどで、閲覧数が延べで1350万回、閲覧者は延べで200万人となったようです。317万ほどブログ数の中で500番目ほどの順位のアクセス数のようですが、これらがどの程度のものかは当方では解りません。当方の投稿目的は資料の蓄積なので、コメントや「いいね」などの数は少なく、これらには当方としては関心もなく、いつでも区切りにいいところで中断できるので気軽に投稿しています。文は稚拙で間違いも多く、作品自体もたいしたものでもないのですが、いつでもどこでも資料を参照できるし、内容も校正できるのがこのブログの利点となっています。
さて本日の作品紹介です。郷里出身の画家である寺崎廣業は今では注目を浴びなくなった画家のひとりですが、当方では黙々と蒐集を続けています。予算の関係上、少々表具の痛んでいる作品をも購入していますが、懐具合のタイミングによって表具を直しています。
下記の作品は中央付近で大きく折れていた作品を改装した作品です。
牡丹図 寺崎廣業筆絹本着色軸装 軸先骨 識箱?全体サイズ:縦2040*横380 画サイズ:縦1265*横300
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掛け軸は慎重に扱っていれば折れることはないのですが、矢筈から外れたり、紐が切れたり、巻く前に乱暴に扱うと簡単に折れてしまいます。
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この作品は折れが非常に気になっていた作品ですが、今回修復しました。
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折れた跡がよく見ると解りますね。寺崎廣業はこのような構図で牡丹を描いた作品を数多く遺しています。それほどの力作ではありませんが、のちの画家らが水墨画のボタンに数多く挑戦していることでも解るように、牡丹を墨を主体にして描き切ることの面白さが伝わってきます。
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さて本日は寺崎廣業の晩年に描かれたと推定される山水画の作品を紹介します。
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寺崎廣業の作品は当方のコレクションで100点をゆうに超えましたが、多作の画家であるゆえ、厳選して蒐集することを心がけています。本作品は寺崎廣業が晩年によく描いた山岳の新たな表現方法への試みをしていることを示す貴重な作品だと思います。
冬景山水 寺崎廣業筆 大正4年(1915年)頃 その6 全体の117絹本水墨軸装 軸先骨 共箱全体サイズ:縦1990*横560 画サイズ:縦1130*横420
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筆触を変えた点描や墨の濃淡により、量感や空気感を表現することに成功しているように思えます。寺崎廣業の晩年にあたる大正4年から5年にかけて信州をたびたび訪れ、長い期間滞在して制作活動をしています。大正3年から5年頃にかけての山水図において、このような筆致で寺崎廣業は幾つかの作品を描いています。本作品も落款の書体や印章からこの頃の作かと推定しています。
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水墨のメリハリの利いたいい作品だと思います。
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この頃の画家の多くが新南画という領域にチャレンジしていますが、それは古来の南画とは違い、新たな領域へのチャレンジだったのでしょう。平福百穂も昭和初期にこのような技法を試みています。現在ではNHKの美の壺でも紹介されているように基本的な筆の技法のオンパレード・・・。
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下記の写真にある落款の書体、印章は全く違和感がなく、描いたと推定される時期ともま相違はありません。
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寺崎廣業は努力によって画才を生み出した画家であり、それは同時期の横山大観も同じであったと小生は推測しています。ただ寺崎廣業はあまりにも多作で、そのせいで凡作が多いのが災いとなったと思います。豪奢な生活も災いしたのでしょう。残念ながらどうも同郷の人柄にはこういう傾向があるように思いますが、現在では評価が低いのがどうにも惜しい・・・。
































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