基本的に当方の絵画における蒐集は肉筆作品に限っていますが、ときには版画に類する作品を入手してみたりしています。ただ版画は当方では苦手をする分野で時には印刷などの作品を見誤って入手することがあります。本日の作品もそのような作品ですが、そこでも一応作品についてはいろいろと調べてみることにしています。
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棟方志功の肉筆はそうたやすくは入手できないという教訓の作品・
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胸肩(むなかた)妃 棟方志功画 色紙(印刷)紙本淡彩 作品サイズ:色紙サイズ横240*縦270
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まずは「創刊20周年記念」と記されていることからですが、これは栃木新聞のことと推定されます。
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栃木新聞(とちぎしんぶん)は宇都宮市で発行されていた栃木県の地方新聞。1950年4月22日に創刊し、1996年1月に休刊しています。よって本作品は1970年(昭和45年)頃の作と推定されます。
下記のポスターは棟方志功自作手造りポスターとされるもので原画は肉筆とされ「浜田庄司自選展 同先生海外民芸コレクション出陳 栃木新聞20周記念」と題されるものです。
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次に「品川町鎮御座胸肩□ス天妃 志功のエ」と記されていることです。
青森県の弘前駅と富田の清水の中間あたり(青森県弘前市品川町)に胸肩神社があります。この神社の由来は、かつて坂上田村磨が大野という地に弁財天の建立を勧め、その後現在地に移転し、明治6年に胸肩神社と改称したと伝えられています。弘前市民からは「弁天様」の愛称で親しまれ、辰巳うまれの守護神としても崇敬されているようです。その神社の境内に弁天様のお水取り場があり、獅子の口から湧水が絶え間なく湧き出ており、この水は飲めば飲むほどに美人になるとも伝えられています。
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棟方志功が繰り返し描いたモチーフの一つに女人像があります。「裸体ハダカの、マッパダカの顔の額の上に丸い星をつければ、もう立派な佛様になって仕舞うんだから、ありがたく、忝かたじけないんですね。それが、ホトケさまというものなのです。その額の星がつくと付かないので、タダの素裸の女であったり、ホトケサマに成り切ったりするという大きな世界は、うれしいものです。」(『板画の肌』1956)と語る棟方は、生命エネルギーに溢れた女性を、ふくよかで包容力のある、母や妻のような、仏のような慈愛に満ちた姿で描きました。また、海や山、四季といった自然への畏敬の念や、尊敬、親愛など、さまざまなものへの祈りの想いも女人の姿で表しています。
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棟方の女人崇拝は、ムナカタ姓の起源への想いも関係があるでしょう。棟方は自らの姓のルーツが九州にあるとします。福岡県宗像市の宗像大社、この宗像の字は古事記や日本書紀において胸肩と記されます。後に宗形、宗像、牟奈加多などと表記を変え、九州から青森へ入るまでに棟方の字となったことから、棟方は「大きな祖流が、この神社とつながりある事かと何時も胸つまる想ひに手を拍つのだ」(『板愛染』1948)と、南方から北方へと繋がる先祖の血の流れを意識し、誇りにしていました。その宗像大社の祭神である三柱の女神様、宗像三女神は道主の貴とも呼ばれ、航海や交通安全の神として崇められています。棟方も1959年の初渡米時の船中、太平洋の真ん中で宗像女神を心ゆくまで彫ったそうです。中でも市杵島姫の神は神仏習合思想の本地垂迹説において弁財天と同一視され、棟方は弁財天を好んで描きました。
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棟方が己の起源に想いを馳せ、祈りを込めて生涯好んで描きつづけた、躍動し、天を舞い、大地に立つ、やわらかくも力強く美しい表情豊かな女人像・・・。
なお同図の作品が散見されることから本作品は印刷作品と推定されます。
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印刷ゆえ当然のごとく真印と印影は一致すると考えていいでしょう。
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郷里の胸肩神社、浜田庄司、そして弁天様といろいろと調べると棟方志功との関連が解ってきました。
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本作品は「教訓としての参考作品」としておきましょう。
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棟方志功の肉筆はそうたやすくは入手できないという教訓の作品・
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胸肩(むなかた)妃 棟方志功画 色紙(印刷)紙本淡彩 作品サイズ:色紙サイズ横240*縦270
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まずは「創刊20周年記念」と記されていることからですが、これは栃木新聞のことと推定されます。
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栃木新聞(とちぎしんぶん)は宇都宮市で発行されていた栃木県の地方新聞。1950年4月22日に創刊し、1996年1月に休刊しています。よって本作品は1970年(昭和45年)頃の作と推定されます。
下記のポスターは棟方志功自作手造りポスターとされるもので原画は肉筆とされ「浜田庄司自選展 同先生海外民芸コレクション出陳 栃木新聞20周記念」と題されるものです。
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次に「品川町鎮御座胸肩□ス天妃 志功のエ」と記されていることです。
青森県の弘前駅と富田の清水の中間あたり(青森県弘前市品川町)に胸肩神社があります。この神社の由来は、かつて坂上田村磨が大野という地に弁財天の建立を勧め、その後現在地に移転し、明治6年に胸肩神社と改称したと伝えられています。弘前市民からは「弁天様」の愛称で親しまれ、辰巳うまれの守護神としても崇敬されているようです。その神社の境内に弁天様のお水取り場があり、獅子の口から湧水が絶え間なく湧き出ており、この水は飲めば飲むほどに美人になるとも伝えられています。
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棟方志功が繰り返し描いたモチーフの一つに女人像があります。「裸体ハダカの、マッパダカの顔の額の上に丸い星をつければ、もう立派な佛様になって仕舞うんだから、ありがたく、忝かたじけないんですね。それが、ホトケさまというものなのです。その額の星がつくと付かないので、タダの素裸の女であったり、ホトケサマに成り切ったりするという大きな世界は、うれしいものです。」(『板画の肌』1956)と語る棟方は、生命エネルギーに溢れた女性を、ふくよかで包容力のある、母や妻のような、仏のような慈愛に満ちた姿で描きました。また、海や山、四季といった自然への畏敬の念や、尊敬、親愛など、さまざまなものへの祈りの想いも女人の姿で表しています。
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棟方の女人崇拝は、ムナカタ姓の起源への想いも関係があるでしょう。棟方は自らの姓のルーツが九州にあるとします。福岡県宗像市の宗像大社、この宗像の字は古事記や日本書紀において胸肩と記されます。後に宗形、宗像、牟奈加多などと表記を変え、九州から青森へ入るまでに棟方の字となったことから、棟方は「大きな祖流が、この神社とつながりある事かと何時も胸つまる想ひに手を拍つのだ」(『板愛染』1948)と、南方から北方へと繋がる先祖の血の流れを意識し、誇りにしていました。その宗像大社の祭神である三柱の女神様、宗像三女神は道主の貴とも呼ばれ、航海や交通安全の神として崇められています。棟方も1959年の初渡米時の船中、太平洋の真ん中で宗像女神を心ゆくまで彫ったそうです。中でも市杵島姫の神は神仏習合思想の本地垂迹説において弁財天と同一視され、棟方は弁財天を好んで描きました。
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棟方が己の起源に想いを馳せ、祈りを込めて生涯好んで描きつづけた、躍動し、天を舞い、大地に立つ、やわらかくも力強く美しい表情豊かな女人像・・・。
なお同図の作品が散見されることから本作品は印刷作品と推定されます。
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印刷ゆえ当然のごとく真印と印影は一致すると考えていいでしょう。
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郷里の胸肩神社、浜田庄司、そして弁天様といろいろと調べると棟方志功との関連が解ってきました。
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本作品は「教訓としての参考作品」としておきましょう。
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