先週のなんでも鑑定団に下記の作品が出品されていました。
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参考作品竹内栖鳳の屏風なんでも鑑定団出品作 2024年10月1日放送
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評価金額 300万円:なかなかこのような栖鳳の大作は出てこない。晩秋から冬に向かう寂寥感のようなものを表している。猿の手足、顔は非常に克明な線で描かれているのに比べて、毛並みは刷毛と筆で、薄墨で描いている。この表現は江戸時代後半に活躍した猿描きの名手・森狙仙の技法を勉強して描いたのではないか。桜の幹は、近寄ると抽象画のように大胆な筆致で、遠ざかるとかさかさとした質感が浮かび上がってくる。構図的に右向きになっている。普通屏風はセットで一双なので、おそらく右にもう一つ屏風があったのではないか。
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この作品を見て下記の当方の所蔵作品(ブログ投稿済)を思い出しました。
閑日 伝竹内栖鳳筆 明治30年頃紙本水墨軸装軸先象牙 鑑定箱入全体サイズ:縦1260*横560 画サイズ:縦310*横400
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「先考栖鳳先生壮年作 昭和三十四年三月題於東山艸堂邸(日本画家の竹内栖鳳が晩年にそのすべての才能を注ぎ込み作り上げた居住と画室を備えた旧私邸で、和4年に誕生した1300坪の邸宅)書」と箱書されています。竹内栖鳳の公定鑑定人である長男竹内四郎による題字?と思われますが詳細は不明です。
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栖鳳の猿の絵は兎と一緒に描かれた作品や猿のみ描かれた作品が存在し、それほど多くはないにしろ好んで描かれた題材と推察されます。自ら飼っていたと考えらえれており、栖鳳の時代の猿を題材とした作品と描き方はよく似ていますので、栖鳳の作品と断定してよいかと思います。ただし印章などの確認が未了であり、最終的な判断は後学としてます。題名「閑日」と題したのは猿の表情から言い得て妙です。棲鳳(せいほう)と号したのは明治14年(1880年)から明治34年(1901年)頃までであり、その頃の作品と推察されます。
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本画にもシミの発生があり、当方では放置していた作品ですが、これを機会に染み抜きしてみようかと思っています。
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作品中の印章(下記写真右)は前述のように資料からは確認できませんでしたが、若い頃の作品のせいかもしれません。明治30年頃の落款の書体(下記写真左)に近似しています。
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さて本日の作品紹介です。作品数の多い酒井三良の作品ですが、その中でもかなりの秀作と思います。
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山秋 酒井三良筆 その18古紙水墨淡彩額装(軸装から改装) 黄袋+タトウ F12号 全体サイズ:横825*縦720 画サイズ:横610*縦510
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酒井三良については本ブログでは「その18」となる投稿ですが、あらためて酒井三良の画歴は下記のとおりです。
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酒井三良(さかい-さんりょう):1897-1969 大正-昭和時代の日本画家。明治30年2月16日生まれ。
坂内青嵐に師事し,大正8年国画創作協会に初入選。小川芋銭(うせん)の勧めで10年「災神を焼く残雪の夜」を院展に出品し,入選。13年日本美術院同人となる。昭和37年院展で「かまくら」により文部大臣賞。
故郷である会津地方の風物を題材に、ぼかしを効果的に用いた幻想的な絵画世界は、今も高い人気を得ています。昭和44年6月8日死去。72歳。福島県出身。
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酒井三良は戦中は新潟県水原に疎開していたが、昭和20年11月、横山大観に五浦の大観別荘へ住むことを勧められ、同月三良夫妻は一人娘を連れて茨城県多賀郡大津町五浦に移り住み、以降8年間、太平洋に面した豊かな自然の中で暮らすこととなります。妻の郷里新潟から送られてくる僅かな米で一家は慎ましく暮らし、釣りと写生に明け暮れたそうです。
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酒井三良は農村や自然の風景をよく描きました。
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農村の何気ない日常が描かれた本作品からは素朴ですが、温かみがある人々が感じられますね。
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その淡く白みを基調とした作品はどこか繊細であり、緻密な表現力で描かれる日本人の琴線に触れるような作風が特徴であり、本作品はその真骨頂ともいうべき作品でしょう。
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素朴なところが酒井三良の魅力・・。
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額裏に穴が開いていたので銀杏の葉型にて当方にて補修しておきました。
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寺門泰清堂による額装になっています。寺門泰清堂は水戸市五軒町の寺門泰三(表具師)によるお店ですが、寺門氏は昭和53年より京都の岡崎清光堂で修業を積み、昭和60年には第70回表装競技展覧会で京都市長賞を受賞しています。昭和62年に地元である茨城県水戸市で独立し開店しています。本作品はもともと軸装でしたが、額装に改装されているようです。共箱であったで、共板があったようですが、現在は紛失されたようでありません。
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額の材料はヒノキかな? 額本体と見切縁の柾目がきれいな特殊な額装となっています。
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本作品の落款と印章は下記の写真のとおりですが、この印章を用いた作品はよく見かけますが、当方の所蔵作品では「朝寒」の落款と印章と同一です。
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晩秋の吹き抜ける展示室の2階の廊下に飾って愉しんでいます。
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いい作品でいい額装。茨木で描いた作品を茨木の額装にて・・。
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F12号とかなり大きめの作品ですので、見ごたえがありますね。
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タトウの破損部を補修し、額の裏面も整えておきます。このような簡易な直しは自分でできることは自分でするようにしています。
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参考作品竹内栖鳳の屏風なんでも鑑定団出品作 2024年10月1日放送
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評価金額 300万円:なかなかこのような栖鳳の大作は出てこない。晩秋から冬に向かう寂寥感のようなものを表している。猿の手足、顔は非常に克明な線で描かれているのに比べて、毛並みは刷毛と筆で、薄墨で描いている。この表現は江戸時代後半に活躍した猿描きの名手・森狙仙の技法を勉強して描いたのではないか。桜の幹は、近寄ると抽象画のように大胆な筆致で、遠ざかるとかさかさとした質感が浮かび上がってくる。構図的に右向きになっている。普通屏風はセットで一双なので、おそらく右にもう一つ屏風があったのではないか。
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この作品を見て下記の当方の所蔵作品(ブログ投稿済)を思い出しました。
閑日 伝竹内栖鳳筆 明治30年頃紙本水墨軸装軸先象牙 鑑定箱入全体サイズ:縦1260*横560 画サイズ:縦310*横400
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「先考栖鳳先生壮年作 昭和三十四年三月題於東山艸堂邸(日本画家の竹内栖鳳が晩年にそのすべての才能を注ぎ込み作り上げた居住と画室を備えた旧私邸で、和4年に誕生した1300坪の邸宅)書」と箱書されています。竹内栖鳳の公定鑑定人である長男竹内四郎による題字?と思われますが詳細は不明です。
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栖鳳の猿の絵は兎と一緒に描かれた作品や猿のみ描かれた作品が存在し、それほど多くはないにしろ好んで描かれた題材と推察されます。自ら飼っていたと考えらえれており、栖鳳の時代の猿を題材とした作品と描き方はよく似ていますので、栖鳳の作品と断定してよいかと思います。ただし印章などの確認が未了であり、最終的な判断は後学としてます。題名「閑日」と題したのは猿の表情から言い得て妙です。棲鳳(せいほう)と号したのは明治14年(1880年)から明治34年(1901年)頃までであり、その頃の作品と推察されます。
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作品中の印章(下記写真右)は前述のように資料からは確認できませんでしたが、若い頃の作品のせいかもしれません。明治30年頃の落款の書体(下記写真左)に近似しています。
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さて本日の作品紹介です。作品数の多い酒井三良の作品ですが、その中でもかなりの秀作と思います。
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山秋 酒井三良筆 その18古紙水墨淡彩額装(軸装から改装) 黄袋+タトウ F12号 全体サイズ:横825*縦720 画サイズ:横610*縦510
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酒井三良については本ブログでは「その18」となる投稿ですが、あらためて酒井三良の画歴は下記のとおりです。
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酒井三良(さかい-さんりょう):1897-1969 大正-昭和時代の日本画家。明治30年2月16日生まれ。
坂内青嵐に師事し,大正8年国画創作協会に初入選。小川芋銭(うせん)の勧めで10年「災神を焼く残雪の夜」を院展に出品し,入選。13年日本美術院同人となる。昭和37年院展で「かまくら」により文部大臣賞。
故郷である会津地方の風物を題材に、ぼかしを効果的に用いた幻想的な絵画世界は、今も高い人気を得ています。昭和44年6月8日死去。72歳。福島県出身。
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酒井三良は戦中は新潟県水原に疎開していたが、昭和20年11月、横山大観に五浦の大観別荘へ住むことを勧められ、同月三良夫妻は一人娘を連れて茨城県多賀郡大津町五浦に移り住み、以降8年間、太平洋に面した豊かな自然の中で暮らすこととなります。妻の郷里新潟から送られてくる僅かな米で一家は慎ましく暮らし、釣りと写生に明け暮れたそうです。
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額裏に穴が開いていたので銀杏の葉型にて当方にて補修しておきました。
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寺門泰清堂による額装になっています。寺門泰清堂は水戸市五軒町の寺門泰三(表具師)によるお店ですが、寺門氏は昭和53年より京都の岡崎清光堂で修業を積み、昭和60年には第70回表装競技展覧会で京都市長賞を受賞しています。昭和62年に地元である茨城県水戸市で独立し開店しています。本作品はもともと軸装でしたが、額装に改装されているようです。共箱であったで、共板があったようですが、現在は紛失されたようでありません。
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額の材料はヒノキかな? 額本体と見切縁の柾目がきれいな特殊な額装となっています。
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いい作品でいい額装。茨木で描いた作品を茨木の額装にて・・。
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F12号とかなり大きめの作品ですので、見ごたえがありますね。
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タトウの破損部を補修し、額の裏面も整えておきます。このような簡易な直しは自分でできることは自分でするようにしています。