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Channel: 夜噺骨董談義
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秋渓 福田豊四郎筆 昭和6年頃 その181

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福田豊四郎の戦前の作品には出身地である秋田県小坂町中心の渓谷を題材にした作品が数多くあります。京都での修業時代にも渓谷を描いた作品もあるのでしょうが、基本的ノスタルジア溢れるその作風は郷里を思い描いたものと推察されます。
下記の作品は古くから実家にて所蔵していた作品で、母が玄関に長く飾っていました。本人から父に譲られ、さらに母から当方に譲られたものですが、福田豊四郎の原点と言っていい作品でしょう。
秋渓之図 福田豊四郎筆 絹本着色額装 旧蔵 全体サイズ:横700*縦768 画サイズ:横416*縦440


父と福田豊四郎とは家族ぐるみの付き合いであったので、幼い頃からの当方には思い出のある作品の多い福田豊四郎の作品です。
同じ頃の作品で豊四郎氏の出身地である小坂町に近い大館市の百貨店「竹内デパート」に展示してあった大きな屏風に描いた作品がありました。幼い頃は無論、社会人になってからも絵に興味がない時は、全くといっていい関心がなかったものですから、何度もその絵の前を通りすぎながら、細かい記憶がありません。いまになってもっといろいろ見ておけばよかったと後悔しています。当時は学生や就職したばかりでそんな余裕もなく、後悔をすることが多々あり、特に本家にあった作品は殆ど覚えでいません。今では百貨店も本家の家もとうになく、当然所蔵していた作品も散逸していますので、人づてに聞くだけで、惜しいことをしたものです。
その反動から蒐集に熱が入るのかもしれませんね。
秋渓 福田豊四郎筆 昭和6年頃 その181絹本着色軸装 箱軸先本象牙 合箱全体サイズ:横456*縦2100 画サイズ:横329*縦1191
 










作品中の落款と印章は下記の写真のとおりですが、昭和初期は修行時代としてとらえていたようで、落款の下に「生」の一文字を入れている作品が数多くあり、本作品も「豊四郎生」という落款が記されています。


福田豊四郎の昭和初期の印章はいろんな種類があり、詳細の特定は煩雑ですが、下記の資料のように整理された貴重な資料があります。
「福田豊四郎資料 小坂町立総合博物館郷土館作成」より
*朱文白丸印「豊之印」の印章は似通ったものが昭和初期に3種類が存在するようで、さらに時を経てもう1種類がある。朱文白方印「豊之印」も2種類存在します。
**なお戦後の作品には印章の煩雑さ(種類の多さ)はなくるようです。


この資料から本作品は福田豊四郎が27歳の頃(昭和6年頃)の作品であろうと推測されます。


この資料をもとに当方の作品も再度詳細に整理しようかと思っています。








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