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Channel: 夜噺骨董談義
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呉須赤絵花鳥紋火入 伝奥田頴川作 その2

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明末の呉須赤絵を忠実に再現したのが奥田頴川です。土そのものも彼の地から取り寄せたとか。虫食い、絵の奔放さは本歌を超えた芸術性の高いものです。本作品は高台内に銘が入っているので一応「伝奥田頴川作」としておきますが、非常に贋作が多いので要注意の陶工の一人です。

呉須赤絵花鳥紋火入 伝奥田頴川作
合箱入 
全体サイズ:口径100*高台径65*高さ85



頴川の作品の特徴は、底には砂が着いていることが多く、なすりつけられたようなドロドロした釉薬であり、やや青灰色を帯びた白磁釉は厚めに掛けられ、たまりが見られ、また一部掛け外しが見られる。さらに一部ではカイラギになっていることもある。頴川特有の筆の走りはあたかもその人だけのサインのように他人には真似ができないようです。



頴川は作品には殆ど銘を入れず、よほどの力作でないかぎり落款はないというのが原則です。箱書は皆無であるとのこと。

ただし、その特徴を掴んだ贋作が存在することも忘れてはいけません。村田寿九郎や頴川の門人の楽只亭嘉助らがうまいそうですが、完全には摸作できていないとのことです。




頴川の火入れは真贋含めてよく市場にはあったらしいですが、現在では市場では少なくなったようです。呉須赤絵の奥田頴川の本物自体が明末の模倣品というところが面白いですね。真作はともかく小汚い・・。

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奥田頴川の明らかな贋作・・・・・・・・・・なんでも鑑定団より
本物は「頴」という字の偏の上側が、“ヒ”ではなくなぜか“止”という形になっています。これは頴川の自己主張と思われますが、概して頴川の作品には落款のないものが多い。依頼品は“頴川”という落款を入れてしまったためにかえって贋作とバレてしまっています。全体に絵が下手すぎる。頴川の筆はもっと滑らかに奔放に伸びている。

ただ白磁の部分はやや青みがかった不透明感があり、高台の脇には砂付きをつけてあるなど本家の呉須赤絵によく似せておりそのへんはよく出来ている。花生けではなく、茶道具の一つで杓立。おそらく京都の工芸品の茶道具セットから分かれたものだろう。

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とにもかくにも奥田頴川、青木木米、野々村仁清らの作品の所蔵者は贋作なのに本物と思い込んでいるきらいがあります。奥田頴川の本物を美術館以外で見たことは私はまだありません。

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奥田頴川:宝暦3年生まれ~文化8年に没している(1753年~1811年)。本名を頴川庸徳といい,通称茂右衛門。縁あって質商奥田家を継承。ちなみに頴川は自分の旧姓である。祖先は頴川郡(現中華人民共和国河南省)の出身。京都で代々質屋を営んだ。

頴川も三十代まで家業を営むが作陶を志し,建仁寺内に開窯。研究の末、青華白磁(天啓染付)呉須赤絵、交趾焼等の焼成に成功する。京都に於いて不可能だった磁器を開発した。その作行きは中国民窯の自由奔放、豪放磊落さを写しだし完成の域にした。門下や影響を与えた陶工は、木米、仁阿弥、周平、欽古堂亀祐、三文字屋嘉介と多岐にわたる。当然、煎茶趣味に合致するところから大いに受けた。

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本ブログでも他に一作品を取り上げましたが、こちらも「伝」とご理解願います。奥田頴川としなければ実にいい出来のものだとは思っていますが、負け惜しみかな





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