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Channel: 夜噺骨董談義
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源内焼 その57 三彩獅子香炉文硯屏

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まだ手をつながないと一人では歩けませんが散歩は大好きなようです。外に行こうとせがむのは獅子なみ・・もとい犬なみ。「お~い、それはパパのけり(秋田弁で靴のこと)だぞ。」



という下原稿を書いていて投稿する前に、昨日からわが息子は本格的に一人で歩き始めました。

さて、本日は変わった源内焼の紹介です。

源内焼は江戸中期18世紀に平賀源内の指導によって源内の故郷香川県志度(現さぬき)で焼かれた三彩のやきものですが、作品は大名家や幕府高官に収められたため、近年になるまであまり世に知られていません。それゆえに作品は実用よりも鑑賞を主眼に制作されており、実用性のある皿や鉢よりも装飾性のある作品に面白味のある作品が多いようです。

源内焼 その57 三彩獅子香炉文硯屏
合箱
幅125*高さ135*脚幅



緑釉を基調とした三彩の源内焼で、獅子と香炉をかたどった源内焼きの作品はいくつかの種類があり、中型の皿や鉢に用いられています。



「香気が立ち上がる香炉と獅子の図」ですが、釉薬以外の種類に獅子の右向きと左向きの作品が存在します。



周りの紋様に違いなどいくつかのパターンの数種類の作品がありますが、硯屏の本作品はとくに足元部分が人物や動物、本作品のように唐草紋様など多彩です。マニアックな蒐集の方にはお勧め??



ただしこの硯屏の作品は珍しく、またできの良い作品は少ないので蒐集はたいへんでしょう。幾つか市場で見かけるのですが、型や釉薬がきちんとしてる作品はなかなかありません。



さらには裏面の山水の図柄がきちんとしている作品はとくに希少なようです。本作品は緑釉だけすが、山水が色分けしている作品はさらに貴重です。



源内焼の硯屏はこのほかに鬼を描いた作(節分会図)が知られていますが、まだお目にかかったことはありません。明治時代に博覧会の企画で源内の子孫によって一時再興された源内焼ですが、質的にもデザイン的にもオリジナルには及びませんでした。精巧な贋作がほとんど存在しないのは製作が難しいからのようです。



源内は博物学者として長崎に遊学した折にオランダからもたらされた新しい釉薬の技術を学び、その技術を用いてふるさと讃岐・志度の産業を振興させるため、新しい三彩軟陶質のやきものを指導しましたが、江戸で親しかった浮世絵の鈴木春信の工房で木型を作らせ、それを志度に送って型をとって焼かせたと言われています。源内焼は型起こしによって制作されたもので、同笵の作品が見られますが、釉薬は真似できてもこの精巧な型が真似できないし、すっきりした型を焼成するのは至難の業です。やってみるとわかりますよ。



この作品は思いのほか小さめの作品で鵜、非常に薄くできており、手取りが軽いものです。ちょっと小粋な源内焼を入手して贅沢してみませんか?

参考作品
三彩獅子香炉文硯屏
五島美術館発刊「源内焼」に掲載(作品番号106・107)
幅137*高さ128*脚幅41



本作品を売却する側の方は源内焼とは自信がなかったようです。



まだまだ世に知られていない源内焼・・・

まだまだ世を知らない我が息子・・。



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