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Channel: 夜噺骨董談義
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釧雲泉 その後 寛政浅絳山水図 釧雲泉筆 その11

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猛暑のお盆でしたが引越しの段取りの合間に息子とお遊び・・、合間というより息子と遊んでばかりで、さっぱり引越しの準備ができないので時には犬にも息子のお相手をお願いしました。



茶室では息子とかくれんぼ・・。



夏障子は息子のお気に入り・・。ともかく息子は元気で何にでも興味を示す好奇心の塊である。

本日は釧雲泉の比較的若い頃の作品と思われる作品です。「釧雲泉 その後」の第2回目の投稿です。

贋作に悩まされる釧雲泉の作品であり、真作を入手するのはなかなか難しく蒐集した半数は処分となりましたが、「まともそうな作品」がこれで11作品目となります。
若い頃の作品となるとまったくや縁遠いものと思っていましたが、本作品は比較的若い頃の作品と思われます。

寛政浅絳山水図 釧雲泉筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製加工 合箱
全体サイズ:縦1850*横568 画サイズ:縦1413*横461



賛には「癸丑(みずのとうし、きちゅう)仲冬写於黄微之寓齏 雲泉樵者 押印(「仙?」、「就」の朱文白累印)」とあり、釧雲泉の生存年代から1793年(寛政5年)陰暦11月(新暦では11月下旬から1月上旬ごろに当たる)、雲泉が35歳頃と推察されます。

「寓」は仮住まい、「齋」は読書などをする部屋という意味でしょうか?「黄微」については確証がありませんが、地理学者であった古川古松軒のことのようです。

この時期、雲泉にとって画風確立の模索期と思われますが、浦上玉堂の影響のみられる本作品のような独創的で大胆な表現は他には類例を見ないもので、若書の貴重な作品と判断しています。



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古川古松軒(ふるかわ‐こしょうけん):1726~1807。備中の人。名は正辰。諸国を旅行し、交通・風俗・物産・史跡などを調査し、「東遊雑記」「西遊雑記」などを著す。幕命で「武蔵五郡の図」などを作成。江戸中期の地理学者。

備中国下道郡新本村(岡山県総社市)の薬種業兼医師の家に生まれる。名は正辰(まさとき)または辰と略す。字(あざな)は子曜、通称平次兵衛。号は古松軒のほか黄微山人、竹亭ともいう。少年期から地理学に親しみ、各地を旅行し、生涯を通じて全国を歩いた。

1783年(天明3)山陽道から九州を一巡し、瀬戸内を航行した旅行記『西遊雑記』と、1788年奥州から蝦夷(えぞ)地に渡った旅行記『東遊雑記』は当代紀行文学として名高い。1793年(寛政5)老中松平定信(さだのぶ)に招かれて出府、下問にこたえ、著書や地図を献じた。翌1794年武蔵(むさし)国の地理調査を命ぜられ、半年余の調査結果を『四神地名録』『武蔵国御府外之地図』にまとめて奉呈した。紀行誌にはほかに『帰郷信濃噺(しなのばなし)』『都の塵』『八丈島筆記』などがあり、『備中国全図』『蝦夷全図』などの地図も作成している。『地勢論並に軍勢人数論』『御用諸事留書』『古川反故(ほご)』などには経世家としての一面もうかがえる。

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*「親交のあった備中庭瀬藩江戸家老海野蠖斎の計らいで、蠖斎の実兄で同藩家老森岡延璋(松蔭)に紹介され、備中に赴き森岡邸に身を寄せる。同年、脱藩前の浦上玉堂や淵上旭江、梶原藍渠、後藤漆谷、長町竹石らと松林寺で賀宴を催して交流した。その後、約3年間は倉敷を中心に旺盛な創作活動を行う。備中長尾の小野泉蔵とも交流をもった。寛政4年(1792年)頃から、備州と京都、大坂をたびたび往来し、儒学者の頼山陽、菅茶山、皆川淇園、画家の浦上春琴、浜田杏堂らと交流。同年6月には再び蒹葭堂を訪ねている。寛政8年以降は主に備前東部を拠点としたとみられる。」と来歴に記載のあるように、本作品の作成時期には備中に居たことがあり、その時に古川古松軒と縁があったように推察されます。

ただし、古川古松軒その人は「1793年(寛政5)老中松平定信に招かれて出府、下問にこたえ、著書や地図を献じた.」とあり、備中には居なかった可能性があります。

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雲泉は中国南宗画を志向し続けて山水画に名品が多く、比較的若描きの作品が評価が高く、晩年の作は妙な重苦しさがあると評されています。評価には個人差があるようです。



比較的若い頃の作品は珍しいものだと思います。たたみの上から描いたのか山の部分の上部には線状の跡があります。



「甲子重陽山水図」とともに痛んだ紙表具のままの作品です。

さて本作品は如何に






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