Quantcast
Channel: 夜噺骨董談義
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2934

蓬莱図 無落款

$
0
0
今回の引越しで家内の実家の掛け軸もまた整理対象です。処分を任された小生は「これで何度目だろう、家の骨董の整理を任されたのは・・・。」

たまに宝物もあるがそれ以上にガラクタや贋作が多いのがこの作業の常・・。あらかじめガラクタを捨てるために用意したダンボールに息子が入った



本日はその整理の中で残った作品の紹介です。

蓬莱図 無落款
絹本水墨着色軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦*横 画サイズ:縦*横



押入れにあった掛け軸・・・、昭和初期頃の作ではないかと推察され、無落款であることは神や仏を描いた作品にはよくあることでです。

題材は描かれることの多い蓬莱山と霊亀・・・。

蓬萊山は古代中国で東の海上(海中)にある仙人が住むといわれていた仙境のひとつです。

道教の流れを汲む神仙思想のなかで説かれるもので、熱田神宮は蓬莱山の上にあるとの伝説があります。熱田神宮の南に円福寺という時宗の寺があり、ここで井戸を掘りすすんだところ堅い岩盤に突き当たり、それが亀の甲羅に似ていて熱田神宮蓬莱山説を裏づけたとの話・・・、「本当かな~」。



さらには熱田神宮には楊貴妃の墓が伝わり、「熱田大明神は楊貴妃なり」との話さえ生まれたそうです。楊貴妃が不老不死を求めて蓬莱山に入ったというのですが・・。ところで亀と鶴が長寿瑞祥の仙禽とされたのは相当古い時代からだそうです。



霊亀(れいき)は古代中国神話等に登場する怪物の一種とされ、四霊(麒麟 - 鳳凰 - 霊亀 - 応竜)の瑞獣の一つにあげられています。



中国神話等では、背中の甲羅の上に「蓬莱山(ほうらいざん)」と呼ばれる山を背負った巨大な亀の姿をしています。



霊亀は四霊の中で、硬い殻や甲羅を持つ動物の王だとされます。東洋の神話等においては、亀は千年以上生きると強大な霊力を発揮し、未来の吉凶を予知出来たのではないかと言われており、霊亀もまた千年以上を生きた亀が強大な霊力を得た事で変異・巨大化したのではないかと言われています。

亀が百歳になると一尾が生じ、千歳にして十尾となる。また二百歳の亀を一総亀、千歳の亀を五総亀と呼ぶとか。



瑞獣はなにかの吉兆として現れる動物のことで、霊亀は治水の才を持った王が誕生すると現れるとされます。



なお見た目は亀そのものですが、尾部から長い毛が生えています。亀甲占い(亀の甲羅にできた亀裂の形で物事をみる占い)に使われる亀の甲羅のことも「霊亀」と呼びます。

インターネットで「霊亀」で検索すると下記のような写真が出てきます。

  

アニメになるとこうなるのか

今回の整理で捨てた掛け軸は十数本・・・。遺す掛け軸はひとつひとつ丹念に調べていくだけでなく、自分で修復できるものは直していきます。何十年も放置された掛け軸の痛みは意外にひどいものです。簡単な修理は自分で直すことをしないとそのたびに専門職に依頼しているといくら費用がかかるかわからなくなります。



剥がれ始めた表具に糊をさして元に戻すくらいは素人でもできますが、材料や直しのこつなど一応ノウハウがあります。

糊をつけての重しを乗せて表具を安定させます。

気を使い、工夫をし、丁寧に・・、子供の教育と同じ

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2934

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>