初釜と席披めにおいて当方は慣れぬ袴の着物姿にて・・。着物は親戚や先々代からのもの。
小生は慣れない袴の着物を着て「どうやってトイレにいくの?」という野暮な質問をして家内から失笑・・・。「大」の用事は袴を脱がなくてはいけません。
ま~、袴は裾が乱れないからまだ動きやすいようです。家で作った梅酒を一献・・、手が震える・・・。席の詳細はこちらのブログにて・・。
最初は皆さんも緊張気味らしい。
次第に長火鉢の話題になどで和んできました。
本日のブログは茶席での置物の作品のひとつを紹介します。
前回記述のように初釜と席お披露目の茶席での道具類は吉祥を主体にしました。ともに平安時代から吉祥として扱われた「鶴と亀」、「松竹梅」です。
まずは「松竹梅」は席では水指に弓野焼の「松」、花入には畑に芽吹く「梅」(ちなみに料理の食前酒は畑で採れた梅の実で作った梅酒)、置物のひとつは「竹に蛙」の緑釉の香筒で、「松竹梅」です。
掛け軸は「鶴図」(橋本雅邦筆)、そして置物に本作品です。
源内焼 その73 三彩親子亀香炉
合箱
幅230*奥行170*高さ65
亀について
「亀」は浦島太郎の話では龍宮城の使いとされていますが、古い中国では仙人が住む不老長寿の地として信じられた逢莱山の使いとされ、たいへんめでたい動物とされていたようです。日本でも「鶴は千年、亀は万年」と言われており、長寿を象徴するめでたい動物です。よってお席は「鶴と亀」・・・。
昔から家の中で亀を飼育すれば、家族の長が十分長生きできると信じられています。そして、亀は長寿の象徴だけでなく、守備が堅い(身を守る)ことの象徴とも云われています。それは亀が甲羅を持っていることに意味があるようです。
亀の甲羅は、外側が多数の六角形紋様のうろこで作られ、内側が骨で形成され、両方が堅固に合わさっています。中国では、亀は背中の上に「天地」を乗せて運ぶ生き物とたとえられています。つまり上側の甲羅はあたかも天のように円形にカーブしていて、下側の甲羅は地のように平らになっているからです。球形は宇宙からのエネルギーをより多く吸収しやすいと言われています。
これが亀の持つ不思議な力(長寿や堅固な守り)の源になっているのかもしれません。日本では、亀の置物は結婚式のような、おめでたいセレモニーには欠かせない贈り物として用いられています。そして、亀の置物を家の中に飾るときには、家の北側に置けば幸運がもたらされれるとされています。
本茶室は家全体の敷地の北側に位置していますので、飾りは「亀」となりました。
風水的に。亀は昔から、中国でも日本でも長寿・守護・支援・権力の維持・財運などの吉兆で、あらゆる幸運を招いてくれる神聖な動物とされています。
裏にある印のように見えるのは明確ではありません。
風水では、亀の置物は、亀の甲羅が邪気のエネルギーを跳ね返すと考えられており、化殺アイテムとしても使われています。どのように化殺効果があるかというと、亀の甲羅は凸面鏡のように弧になっているため、邪気をはじき返すという力があるとのことです。
他に、北は職業運を支配する方位なので、仕事場の北に亀を置くと出世運をもたらしてくれるそうです。
風水での亀には、主に財運アップ、厄払いの効果があります。また、亀の動きは緩慢ですが、根気よく前進することから、事業運、開業運のアップに利用されます。親子亀の香炉は、長寿と子孫繁栄の願いが込められています。
以上より吉祥に欠かせないのが「亀」でして、本作品の購入は初釜にぎりぎり間に合うことのなりました。
ちなみに松竹梅については、縁側に飾った油壷の「梅」と食前酒の「梅酒」が前哨戦・・。
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松竹梅(しょうちくばい):慶事・吉祥のシンボルとして松・竹・梅の3点を組み合わせたもののことで、日本では祝い事の席で謡われたり、引出物などの意匠にも使われてきた。もともとは中国の「歳寒三友」が日本に伝わったものである。松・竹・梅を3種類の等級名として使うことがある。 松を最上級とし、次いで竹、梅とする場合が多いが、梅を最上級とする場合もある。もともと瑞祥としての松竹梅には明確な優劣があるわけではない。江戸時代、京・嶋原や大坂・新町の遊廓においては、遊女の格付けにも使われた。 松は太夫(たゆう)、梅は天神、竹は囲(かこい、鹿恋とも。また単に鹿とも呼ばれた)である。
「歳寒三友」とは・・・。
歳寒三友(さいかんのさんゆう):宋代より始まった、中国の文人画で好まれる画題のひとつであり、具体的には松・竹・梅の三つをさす。三つ一緒に描かれることも多いが、単体でも好んで描かれる。日本では「松竹梅(しょうちくばい)」と呼ばれる。松と竹は寒中にも色褪せず、また梅は寒中に花開く。これらは「清廉潔白・節操」という、文人の理想を表現したものと認識された。日本に伝わったのは平安時代であり、江戸時代以降に民間でも流行するが、「松竹梅」といえば「目出度い」ことの象徴と考えられており、本来の、中国の認識とは大きく異なっている。
始原と考えられているのは、中国の宋代において、文同、蘇軾等が竹を水墨画の主題として描き始め、後、梅・蘭・菊・松と画題の広がりを見せていく。その中でも、松・竹・梅の三者が前記理由で特に頻繁に取り上げられていくのである。元・明代には、陶磁器に描かれる主題としても好まれるようになる。日本においては、主に陶磁器・漆器・染織に描かれることが多い。また、門松・雛飾りそして婚礼・出産等の慶事に用いられる主題として民間に定着し、「鶴亀」等の主題と組み合わせて用いられることもある。
「鶴亀」とは・・・。
鶴亀:鶴と亀。「鶴は千年,亀は万年」といって,長寿でめでたいものとして,お祝いの飾りなどに用いる。鶴と亀はいずれも寿命の長い、めでたい動物とされ、縁起物としてさまざまな装飾に用いられた。鶴・亀を瑞祥(ずいしょう)の動物とし、これを装飾のモチーフに用いたのは平安時代からで、『栄花物語』の「けぶりの後」の条に「女房の装束例の心々にいどみたり。すぢをき、鶴亀松竹など、心々にし尽くしたり」とあり、すでにこの時期に、鶴亀松竹の模様が用いられていたことがわかる。なお遺品としては、藤原時代の重要文化財「蓬莱山蒔絵袈裟箱(ほうらいさんまきえけさばこ)」(法隆寺献納宝物、東京国立博物館蔵)がもっとも古いものの一つであろう。
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さて我が家の北の守りはこの亀の置物となります。
「亀は長寿の象徴だけでなく、守備が堅い(身を守る)ことの象徴。」、「長寿・守護・支援・権力の維持・財運などの吉兆で、あらゆる幸運を招いてくれる神聖な動物とされています。」「事業運、開業運のアップ」、「長寿と子孫繁栄の願いが込められています。」・・・、骨董というのは本来は吉祥、願いの産物という側面があります。
人間の力の及ばぬところでこの世界は満ちています。努力のひとつひとつを積み重ねることが人生の王道ですが、それでも及ばぬところを知るものは祈りと願いを託するものをもつものです。
小生は慣れない袴の着物を着て「どうやってトイレにいくの?」という野暮な質問をして家内から失笑・・・。「大」の用事は袴を脱がなくてはいけません。
ま~、袴は裾が乱れないからまだ動きやすいようです。家で作った梅酒を一献・・、手が震える・・・。席の詳細はこちらのブログにて・・。
最初は皆さんも緊張気味らしい。
次第に長火鉢の話題になどで和んできました。
本日のブログは茶席での置物の作品のひとつを紹介します。
前回記述のように初釜と席お披露目の茶席での道具類は吉祥を主体にしました。ともに平安時代から吉祥として扱われた「鶴と亀」、「松竹梅」です。
まずは「松竹梅」は席では水指に弓野焼の「松」、花入には畑に芽吹く「梅」(ちなみに料理の食前酒は畑で採れた梅の実で作った梅酒)、置物のひとつは「竹に蛙」の緑釉の香筒で、「松竹梅」です。
掛け軸は「鶴図」(橋本雅邦筆)、そして置物に本作品です。
源内焼 その73 三彩親子亀香炉
合箱
幅230*奥行170*高さ65
亀について
「亀」は浦島太郎の話では龍宮城の使いとされていますが、古い中国では仙人が住む不老長寿の地として信じられた逢莱山の使いとされ、たいへんめでたい動物とされていたようです。日本でも「鶴は千年、亀は万年」と言われており、長寿を象徴するめでたい動物です。よってお席は「鶴と亀」・・・。
昔から家の中で亀を飼育すれば、家族の長が十分長生きできると信じられています。そして、亀は長寿の象徴だけでなく、守備が堅い(身を守る)ことの象徴とも云われています。それは亀が甲羅を持っていることに意味があるようです。
亀の甲羅は、外側が多数の六角形紋様のうろこで作られ、内側が骨で形成され、両方が堅固に合わさっています。中国では、亀は背中の上に「天地」を乗せて運ぶ生き物とたとえられています。つまり上側の甲羅はあたかも天のように円形にカーブしていて、下側の甲羅は地のように平らになっているからです。球形は宇宙からのエネルギーをより多く吸収しやすいと言われています。
これが亀の持つ不思議な力(長寿や堅固な守り)の源になっているのかもしれません。日本では、亀の置物は結婚式のような、おめでたいセレモニーには欠かせない贈り物として用いられています。そして、亀の置物を家の中に飾るときには、家の北側に置けば幸運がもたらされれるとされています。
本茶室は家全体の敷地の北側に位置していますので、飾りは「亀」となりました。
風水的に。亀は昔から、中国でも日本でも長寿・守護・支援・権力の維持・財運などの吉兆で、あらゆる幸運を招いてくれる神聖な動物とされています。
裏にある印のように見えるのは明確ではありません。
風水では、亀の置物は、亀の甲羅が邪気のエネルギーを跳ね返すと考えられており、化殺アイテムとしても使われています。どのように化殺効果があるかというと、亀の甲羅は凸面鏡のように弧になっているため、邪気をはじき返すという力があるとのことです。
他に、北は職業運を支配する方位なので、仕事場の北に亀を置くと出世運をもたらしてくれるそうです。
風水での亀には、主に財運アップ、厄払いの効果があります。また、亀の動きは緩慢ですが、根気よく前進することから、事業運、開業運のアップに利用されます。親子亀の香炉は、長寿と子孫繁栄の願いが込められています。
以上より吉祥に欠かせないのが「亀」でして、本作品の購入は初釜にぎりぎり間に合うことのなりました。
ちなみに松竹梅については、縁側に飾った油壷の「梅」と食前酒の「梅酒」が前哨戦・・。
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松竹梅(しょうちくばい):慶事・吉祥のシンボルとして松・竹・梅の3点を組み合わせたもののことで、日本では祝い事の席で謡われたり、引出物などの意匠にも使われてきた。もともとは中国の「歳寒三友」が日本に伝わったものである。松・竹・梅を3種類の等級名として使うことがある。 松を最上級とし、次いで竹、梅とする場合が多いが、梅を最上級とする場合もある。もともと瑞祥としての松竹梅には明確な優劣があるわけではない。江戸時代、京・嶋原や大坂・新町の遊廓においては、遊女の格付けにも使われた。 松は太夫(たゆう)、梅は天神、竹は囲(かこい、鹿恋とも。また単に鹿とも呼ばれた)である。
「歳寒三友」とは・・・。
歳寒三友(さいかんのさんゆう):宋代より始まった、中国の文人画で好まれる画題のひとつであり、具体的には松・竹・梅の三つをさす。三つ一緒に描かれることも多いが、単体でも好んで描かれる。日本では「松竹梅(しょうちくばい)」と呼ばれる。松と竹は寒中にも色褪せず、また梅は寒中に花開く。これらは「清廉潔白・節操」という、文人の理想を表現したものと認識された。日本に伝わったのは平安時代であり、江戸時代以降に民間でも流行するが、「松竹梅」といえば「目出度い」ことの象徴と考えられており、本来の、中国の認識とは大きく異なっている。
始原と考えられているのは、中国の宋代において、文同、蘇軾等が竹を水墨画の主題として描き始め、後、梅・蘭・菊・松と画題の広がりを見せていく。その中でも、松・竹・梅の三者が前記理由で特に頻繁に取り上げられていくのである。元・明代には、陶磁器に描かれる主題としても好まれるようになる。日本においては、主に陶磁器・漆器・染織に描かれることが多い。また、門松・雛飾りそして婚礼・出産等の慶事に用いられる主題として民間に定着し、「鶴亀」等の主題と組み合わせて用いられることもある。
「鶴亀」とは・・・。
鶴亀:鶴と亀。「鶴は千年,亀は万年」といって,長寿でめでたいものとして,お祝いの飾りなどに用いる。鶴と亀はいずれも寿命の長い、めでたい動物とされ、縁起物としてさまざまな装飾に用いられた。鶴・亀を瑞祥(ずいしょう)の動物とし、これを装飾のモチーフに用いたのは平安時代からで、『栄花物語』の「けぶりの後」の条に「女房の装束例の心々にいどみたり。すぢをき、鶴亀松竹など、心々にし尽くしたり」とあり、すでにこの時期に、鶴亀松竹の模様が用いられていたことがわかる。なお遺品としては、藤原時代の重要文化財「蓬莱山蒔絵袈裟箱(ほうらいさんまきえけさばこ)」(法隆寺献納宝物、東京国立博物館蔵)がもっとも古いものの一つであろう。
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さて我が家の北の守りはこの亀の置物となります。
「亀は長寿の象徴だけでなく、守備が堅い(身を守る)ことの象徴。」、「長寿・守護・支援・権力の維持・財運などの吉兆で、あらゆる幸運を招いてくれる神聖な動物とされています。」「事業運、開業運のアップ」、「長寿と子孫繁栄の願いが込められています。」・・・、骨董というのは本来は吉祥、願いの産物という側面があります。
人間の力の及ばぬところでこの世界は満ちています。努力のひとつひとつを積み重ねることが人生の王道ですが、それでも及ばぬところを知るものは祈りと願いを託するものをもつものです。