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Channel: 夜噺骨董談義
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四季山水図四幅のうち春(LAST) 呉寛春山讀易図 天野方壷筆 その6

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常日頃、家内が小生のためにと骨董に絡んだ本を購入しくれています。最近は骨董に関する娯楽小説がたくさん発刊されているように思いますが、近日読んだのが「利休の茶杓」(山本兼一著 文春文庫)ですが、なかなか含蓄のある面白い本でした。骨董に関心のある方にはお勧めです。「とびきり見立て帖」というシリーズものですが、著者が癌でなくなったので、この本が最終シリーズになってしまいました。ご冥福をお祈りいたします・・・。

本日は天野方壷の四季山水図で四幅と思われる作品のうち最後の春の作品の紹介です。今までの作品と趣が違う作品となっております。



四季山水図四幅のうち春
呉寛春山讀易図 天野方壷筆
絹本墨淡彩軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦2070*横740 画サイズ:縦1320*横495



賛は「山中春両過 嘉樹如新沐 鳥語時復間 惟聞澗觳續 對比一欣然 孤懐浩無欲 便樵童冠人 詠歸郊沂浴 歸来亦何事 妙意溢春服 寤寐義文間 手持一編讀 惓々濟時心 願言均發育 明人呉寛春山讀易図 方壺拵之 押印」とあります。



印章は「方壷□□印□」の白文朱方印と「□士□□」の朱文白方印が押印されています。



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呉寛:明(みん、1368年 - 1644年)時代の人。1435年~1504年。字は原簿博、号は匏翁など。江蘇省長洲の人。科挙を第一席の優秀な成績で通過して官に就き、礼部尚書(日本では文部科学大臣に相当)までに至る。詩文、書、画を得意とし、博学で知られる人物であった。同郷の沈周らと交遊が深く、沈周が黄庭堅の書を学んだのに対し、彼は蘇軾の書を学んで独自の書風を得た。現存する後の書は、尺牘や跋文が中心である。中国の難関試験・科挙において首席で合格すると、その人物は何らかの瑞兆が現れるといわれていた。成化8年(1472)に首席となった呉寛は、その瑞兆が龍に乗って空を飛ぶ夢を見たという逸話があります。

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今までの山水画から大きく人物が描かれています。描かれているのは「呉寛」か天野方壷自身か?



「浅絳山水画」という称するもののように淡く淡彩が施されている魅力的な作品ですが、力強い筆致によってこれまでの「浅絳山水画」のイメージとは違うものとなっています。



右上に力の流れを持っていき、絵全体に動きを感じさせます。



春夏秋冬の四幅の作品でこれほどの作品は今までになかったように思うのは小生の浅学でしょうか。



当方の展示室では右と左に分けて展示しましたが、四幅対で飾るのもまた一興かと思います。



天野方壷の四季山水図はこれにて完了です。軸先が無くなっていたり、ばらばらで売られていた箱のない作品でしたが、表具屋さんに見積を依頼したら、軸先を直して四幅対の二重箱を誂えて6万円だそうです 

もともとが四幅対であったどうかも不確かですが、四幅対で未来に伝えたい作品ということでいたしかたのない出費です。

近日中に天野方壷の身近の画家ということで富岡鉄斎の作品の紹介を予定しています。




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