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Channel: 夜噺骨董談義
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朱鐘馗之図 吉村周山筆 その2

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なにかと気忙しい3月で、展示室の展示も展示替えができずにいますが、照明を暗くして愉しんでいます。



階段部分も・・。



本日は端午の節句を控えて吉村周山の「鐘馗様」の掛け軸の紹介ですが、本来は吉村周山は狩野派の絵師でありながら根付で有名な人です。

周山の生み出した根付の作品は200年以上たった今も海外を含め幾多の人々を引き付けてやみません。「根付の曾我蕭白」と称していいと小生は思っています。

朱鐘馗之図 吉村周山筆 その2 
絹本朱墨 軸先骨 所蔵合箱
全体サイズ:縦1940*横502 画サイズ:縦1004*横391



落款には「端午正春 法眼周山探僊叟筆 押印」とあり、最晩年の作であることが解ります。「探興斎」の朱文方印が押印されています。

  

本ブログに投稿した吉村周山の作品「その1」は下記の作品です。根付の作例はこちらのリンク先を参考にして下さい。

鶏之図 吉村周山筆 その1 
紙本水墨 軸先木製塗 合箱
全体サイズ:縦2010*横650 画サイズ:縦1350*横510

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吉村周山:生年: 生年不詳~没年:安永2年(1773)歿、73才。 江戸中期の画家、根付師。大坂の人。名を充興,通称を周次郎といい、別号に探仙叟・探興斎、法眼を称しました。



性川充信に絵を学び、中国の神話や神仙伝に取材した作品を多く遺しています。江戸時代中期に大坂で活躍した画家。橘守国、大岡春卜に次いで大坂で活躍した狩野派系画家として知られ、多くの門弟を養成し、江戸中・後期の大坂における狩野派系画家の隆盛の基礎を築きました。



門弟の中では、森周峰(森狙仙の兄で、森徹山の実父)が知られています。一方、懐徳堂の三宅春楼、中井竹山らとの交流もあったようで、周山の作品にこれらの儒者が着賛した作品も、しばしば見受けられます。



彫刻を得意とし、特に根付師として著名です。三宅春楼・中井竹山・履軒らと交わっています。彼の根付は檜の古材に彫刻をほどこし,さらに彩色を加えたもので、数多い根付師のなかでも独特の作風を築いています。

自らの作品に銘を刻むことがなかったため、周山作と確認できるものは少ないとのことです。



絵師でありながら根付彫りをし、檜に漆で磨きをかけ色とりどりに染色された仙人列伝や山海経をモチーフにした斬新で大振りな根付は迫力あるものです。海外における蒐集家及び研究家らから最も重要かつ古典的根付師として評価されています。

吉村周山なくしては、根付を語る無かれとも言われているそうです。吉村周山は狩野派の画家で弟子もかかえ、法眼を叙せられた一流の絵師の立場であり、狩野派の絵師として一派の狭苦しい格式重視の伝統に縛られており、主題、扱い、あるいは様式が限定されていましたが、一方で周山は、根付彫刻として、様式にとらわれない作風を遺しました。

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画家としての吉村周山の評価は非常に低いものです。平成14年10月15日放送のテレビ番組「なんでも鑑定団」に吉村周山の墨で書かれた屏風絵の本物が出品され、70万円の鑑定額であったとそうです。なんでも鑑定団において、大きな作品である屏風がこのような評価金額ですから、水墨の掛け軸などは数千円のものでしょう。



箱には「法眼周山探仙叟鐘馗之掛物先祖ヨリ伝来之箱大破ニ及候ニ付 明治三十一年七月更に調整ス 玉井健次郎識之」とあります。



「箱大破」?・・、「調整」?・・・、ある程度修復したのでしょうが、現在は軸先も無く、天地は虫に食われ孔があいています。さて小生はどうしたらいのであろうか。根付ならともかく掛け軸・・・。



根付に自由奔放な作行を見せながら、本職ともいうべき絵画では狩野派という枠に縛られた画家です。ただ「鐘馗」というが画題ゆえ「作品その1 鶏之図」とともに根付にみられる奔放さの片鱗が見える作品です。



締め直しなどしないで軸装はそのままとし、軸先のみの取り付け補修とするのが正解かな? 虫喰穴は裏から補修・・。これらは本職に依頼せざるえません。




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