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Channel: 夜噺骨董談義
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お馴染みの画家 荒磯 奥村厚一筆 その8

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先週末は3連休を利用して、家族皆で箱根まで一泊の旅行してきました。まずは箱根湯元まで小田急線のロマンスカーで行き、そこら登山鉄道に乗り、まずは箱根美術館を目指します。



鈍翁の茶室で一服・・。



息子は慣れたもの・・。「あのお道具はなに?」



さすがに粋な茶室ですが、建築というものがよく解っている造りです。茶室そのものはたいしたことはないですが、全体がものづくりの愉しみ方をよく解っている造り方をしています。これは現代の人には解るかな? 一流の男の隠れ家には資金も必要だが、付き合う職人も知識も必要・・・。

行かれたことのない方にはお勧めの建築物です。・・風呂も見られます。



さて、本日の作品紹介です。

蒐集というものは時を経るごとに蒐集対象が徐々に絞り込まれてくるものらしい。当然、いいものは予算的にも蒐集が難しいので、己の身の丈にあった対象の作品となってきます。

そのような中で小生の蒐集対象の画家の一人に「奥村厚一」の作品があります。「福田豊四郎」の周辺の画家として蒐集していたのですが、その描く風景画は簡素にして、親しみと観察、その写生はその本質を見据えており、品格の高いものです。

根強い人気の奥村厚一の作品ですが、思文閣の入札会のスタート値段は6万円ほどです。まだ高いかもしれませんが、作風が好きな方には手頃な画家かと思います。

荒磯 奥村厚一筆 その8
紙本着色額装 共シール
全体サイズ:縦517*横633 画サイズ:縦332*横450(8号)



日本人であれば、いつかどこかで見た風景と感じさせる一作となっています。生涯一貫して風景画にこだわった厚一らしい一作です。



秋野不矩は奥村厚一の風景画について、「奥村さんその人にあるような気がする作品である。」と述べています。

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奥村厚一:京都生。京都絵専卒、研究科修了ののち西村五雲に師事する。第二回日展特選。

「我らは世界性に立脚する日本絵画の創造期を期す」として、昭和23年の創造美術結成。秋野不矩、福田豊四郎、山本丘人、吉岡堅二ら東西の中堅作家13名の創立会員の一人として参画。以後新制作協会日本画部から創画会への変遷とともに歩み、生涯一貫して風景画にこだわった。

風景画を追求し、晩年は水墨調の画風を展開した。創画会会員。京都市立芸大名誉教授・嵯峨美短大教授。昭和49年(1974)歿、享年69才。

 

*画中の印章は本ブログで紹介した掛け軸の作品である「春」の共箱の印章と同一です。奥村厚一の贋作はまだ見たことがありませんが・・。

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意外に奥村厚一の作品はカビなどが発生しているものが多く、選ぶなら状態の良い作品を入手するほうがいいでしょう。顔料の関係かな?

ともかく日本画に限らず、骨董にはこの梅雨時は非常に危険な時期です。保存には充分に気を使いましょう。



額に入れた作品を飾るスペースは、掛け軸とは違って自由です。なるべく目線に近い高さで適切な距離がとれる位置が飾るときのポイントです。



額装と掛け軸・・、どちらがいいかは各個人に好み次第ですが、現在は圧倒的に額装を好まれる方が多いようです。

風雅な男の隠れ家で、風雅な作品、望むべくは無いのですが・・。せめて拙宅で月を愛で、潮騒の音を想像して我が身を時の流れに身を委ねて、のんびりとする時間を過ごしたい。そういう意味ではあちこちを旅するのは良き想像力が身に付いていいかもしれません。骨董の整理で、家に籠もっていてはカビが生えてきそう

ところで昨夜に放映された「なんでも鑑定団」本ブログで紹介された作品とほぼ同型の作品が出品されていました。その作品へのアクセスが昨夜だけで300件弱もありました。普段はあまりアクセスのない作品なのに・・・。



白蔵主像 永楽妙全造
永楽妙全共箱入 
高さ220*奥行き115*幅115



なんでも鑑定団出品に同型の作品が出品
2016年7月19日
評価金額:80万

出品側の説明:戦中戦後の食料不足の中、芋の蔓を食べながら「甘いものを思いっきり食べたい!」と思っていたため、16歳の時、食べた人を幸せな気分にさせるケーキを作りたいと考え、大阪で修行。24歳で洋菓子店を立ち上げた。今は息子がその店を継いでおり、新作のケーキを味見するのが何よりの楽しみ。お宝は、先祖代々受け継ぐ置物。物心ついた時からなぜか仏壇の隣りに置かれ、父が毎日手を合わせていたため、父に倣って365日欠かさずこのお宝の前で「商売繁盛、家内安全」をお祈りしている。すると不思議な力を感じるが、家族は皆、懐疑的。有名な陶工が作ったものと聞いているが、確かに作りが素晴らしく、まるで生きているかのよう。



寸評:十一代保全の作品ではない。十四代得全の妻である永樂妙全の作品。箱書きに書いてある書体が妙全のもの。そこに「悠」という印が押してあるが、これは妙全の朱印として名高いもの。

 

妙全という人物は得全が亡くなってから19年間、細腕一本で永樂を支えた。依頼品はおそらく北三井家に伝わっている保全の白蔵主の掛軸を原本として作成したものと考えられる。仲間を次々と猟師に殺された古狐が僧侶に化けて猟師のところに意見をしに行く。



これは狂言の大変な難曲で、依頼品の後ろ姿・横からの姿に能楽師の耐えている演技が実によく表れている名作。



なんでも鑑定団に出品された作品より、本ブログに出品された作品のほうが保存・出来は上のようです。家に代々伝わる作品、神棚にて日々祈願は当方と同じ・・・。本ブログはガラクタだらけとは存じますが、それなりになおざりにできない作品もあるようです。

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