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嘉魚 中村岳陵筆 その2

昔、祖父は上京した際に、お土産に数枚の色紙作品を買ってきたそうです。それは出版されたばかりの大塚工芸社の印刷された著名な画家の作品だったそうです。今では工芸作品として見向きもされませんが、当時はその印刷技術の高さに人気があったようです。人気の理由は肉筆と引けをとらないくらい精巧であった点です。横山大観も絵の具を提供して、その複製作品の向上に尽力したという記述もあります。

その色紙作品の数枚が当方に遺っており、その中に中村岳陵の「茄子」という作品があります。骨董蒐集を始めたばかりの頃には肉筆かとおもったものですが、良く見ると複製作品と解るようになりました。実に初歩的な見分け方のポイントですが、本当に良く見ないと肉筆と勘違いすることがよくあります。

本日はその中村岳陵の作品の紹介です。現在、展示室の二階の廊下には藤田嗣治の魚の水彩と本作品を飾っています。このような作品を見て息子は魚や動物の名前を覚えるようですが、本日の「鰈」は話がややこしい・・。

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嘉魚 中村岳陵筆 その2
絹本着色額装 紙タトウ 共シール
額サイズ:縦570*横690 画サイズ:縦400*横52

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印章は「筆俊」の白方印が押印されています。

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中村岳陵:明治23年3月10日生れ、昭和44年11月20日没(1890年~1969年)大正~昭和時代の日本画家。静岡生れ。野沢堤雨、川辺御楯に師事。東京美術学校卒。本名は恒吉。日本美術協会展に入選を重ね、紅児会会員となる。明治44年巽画会、東京勧業博覧会でそれぞれ受賞。大正元年文展初入選。3年今村紫紅、速水御舟らの赤曜会結成に参加し、院展に出品。4年日本美術院同人。昭和2年日本美術学校日本画科主任教授。5年福田平八郎、山口蓬春らと六潮会を創立。10年多摩帝国美術学校教授、帝展参与。16年新文展審査員。戦後は日展で活躍した。昭和36年朝日文化賞、毎日芸術大賞。37年文化勲章。日展顧問、帝国芸術院会員、文化功労者。伝統的な大和絵や琳派の描法に、明るく華やかな後期印象派の感覚が統合された、モダンで清新な画風で知られる。作品に「輪廻物語」「気球揚る」など。

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嘉魚は岩魚(いわな)の別名で、「嘉魚」で「いわな」とも読める。描かれているのは鰈であり矛盾するが、「嘉魚」の字は、めでたい魚であることに由来する。鰈は。このほか「鰕魿」、「嘉列乙」、「嘉鰈」、「魪」、「鮙」、「鰜魚」などの漢字表記もある。「嘉魚」という呼び名があるかどうかは不明です。めでたい魚はふつうは鯛ですが、北陸地方(特に福井県)ではカレイである事が多い。

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ちなみに腹を手前に置いて左に顔があるのがヒラメ,右にあるのがカレイである。ところがカレイの仲間でも,左に顔があるものもいるから話しはややこしい。ヌマガレイがそうだ。さらに面白いことにこのカレイ,アメリカ西海岸では左に顔のあるものが50%,ところがアラスカ沖では70%,それが日本では100%となるのである。"左ヒラメ"に"右カレイ"は,万国共通ではないのだ。

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「左ヒラメに右カレイ」は、世界的には通用しない。

それではヒラメとカレイを見分けるには,どうすればよいか?実は,両者の顔を見ればわかるのだ。ヒラメは,口が裂け怖い顔をしている。一方,カレイはおちょぼ口でやさしい顔である。もう一つの大きな違い。それは歯である。ヒラメの歯は大きく尖っている。しかしカレイの歯は小さい。これらの差は,両者のエサの違いに起因している。ヒラメは,イワシやアジを食べる。そのためには大きくて強い歯が必要だ。また肉食だからどう猛な顔になる。それに対してカレイは,イワムシやゴカイを食べている。だから歯も小さくてすむ。それぞれの食べ物の差が,歯の違いであり顔の違いとなって現れる。

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*ヒラメやカレイ は、実は浮き袋の無い魚です。そのため泳ぐ時は長い背ビレと腹ビレで
力強く泳がなくてはなりません。カレイが海底に潜る時も同様です。そのためヒレの付け根のエンガワが発達しているのです。回転寿司でお手頃に食べられるようになったエンガワがありますが、このエンガワ はヒラメのものではありません。回転寿司で、ヒラメより安いエンガワ、あれはカラスガレイという巨大なカレイのエンガワです。

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新春に飾るのには良い作品かと・・。ところで人を食っている奴は怖い顔になるし? 人に優しい人は優しい顔になるのだろうか? 最近、ものづくりの現場に行くときには相手の顔をじっくり見ることにしてます。

息子が最近良く言う言葉「パパ、面白いね。」、「パパ、優しいね。」、「パパ、かわいいね。」Image may be NSFW.
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・・・・・。「でも怒ると怖いね。」Image may be NSFW.
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