Quantcast
Channel: 夜噺骨董談義
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3059

蓑虫山人 まくり二点 その10 &その11

$
0
0
しばらく入手できなかった蓑虫山人の作品です。数万円で売買されている作品群であり、蓑虫山人の作品はそれほど高価な作品ではありませんが、なかなかいい作品に出会う機会は少ないようです。

わが郷里と縁の深い蓑虫山人であり、偶然ですが今回も郷里からの入手です。

山水図 蓑虫山人筆 その10
紙本淡彩軸装 合箱 
画サイズ:横310*縦980



以前に紹介した「中野山」を描いた作品と景色が似ております。



本作品は印章その他から蓑虫山人の真作と判断できます。



虎図 蓑虫山人筆 その11 
紙本淡彩軸装 合箱 
画サイズ:横390*縦690



猫? 虎? 画題はインドの話?、「羊の中で育てられたトラがいた。トラは自分が羊だと思って育った。ある時、トラは水面に写った自分の顔を見て恐れおののいたが、実はもともと自分はトラだったのだと気がついた。これは、人間は実は全能の神(真我)なのだが、つまらぬ存在だと思い込んでいるというたとえ話。」

「虎が水面に写る自分の顔」というストーリーの話はいくつかあり、本作品が上記の寓話と関連しているかどうかは解りません。

一方で「仕事に厳しく、自分にも厳しいと思っている人が、気がついてみたら実際はただ怖がられているだけ・・・」というたとえもあります。こういう人が世間に非常に多いということを暗示しているように思います。人徳、人望が備わっていないということ・・・こういう人が多いよね。偉くなっていくから住みずらい世の中になっていく



この印章は珍しく当方の資料では未確認です。なんと読める印章なのかな? 本作品は絵のタッチからして蓑虫山人の真作と判断できます。蓑虫山人は意外と人気があり、贋作も存在しますので、一応入手には気をつける必要があります。

 

次の大河ドラマは西郷隆盛を題材するようですが、蓑虫山人と西郷隆盛の関連を知っている人は少ないようです。蓑虫山人の説明は多岐のわたりすでに本ブログで紹介が済んでいますので、本日は割愛させていただき、詳細はそちらを参考にしていただくことで了解願いますが、西郷隆盛との関連だけを下記に記述します。

********************************************

蓑虫山人の本名は「土岐源吾」です。

1856年、安政の大獄の嵐が吹き出した幕末。九州の空の下で日送りをしていた源吾は、すでに18歳。倒幕運動の行方を不安な気持ちで眺めていたに違いない。

幕府追及の手は、京の清水寺・成就院の僧・月照にも伸びてきた。井伊大老免職派の山本貞一郎を近衛家に紹介したためである。

このとき、月照の身の扱いを西郷隆盛が引き受けた。西郷は主君の島津斉彬が死亡したとき、墓前で後追い自殺をしようとしたが月照に引き止められた。命の恩人であろう。西郷は月照を薩摩に身をかくまった。

この潜行に薩摩藩は冷たかった。西郷必死の説得もむなしく、月照を、その途中で切り捨てよとの藩命である。失望した西郷は錦江湾に舟を浮かべて酒宴したのち、月照を相抱いて入水した。まもなく二人は舟に引き上げられたが、月照はすでに絶命していた。この二人を舟に引き上げた寺男・重助が実は源吾であったという説が近年、その後の資料で有力視されている。


********************************************

さて、蓑虫山人が大河ドラマに出場なるかどうか? 出たら人気が上がるかも? 人望、人徳のあったという西郷隆盛、死に急いだ若者であったらしい。命の恩人がたくさんいたようです。このような決して立身出世が目的ではない将来を託せる人物を助けていくのが我らの役目・・・。

ただの「猫」の絵と見るか、上記の逸話まで理解できるかで、作品を観る眼が問われる 

まくりの状態での作品は、表装に資金を使うかどうか悩みますので、まくりの状態の作品はたまる一方です

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3059

Trending Articles