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氏素性の解らぬ作品 七官青磁 陰刻紋盤 & 木葉天目茶碗

普段の飯茶碗に使用している茶碗を家内が破損・・。一応、河井寛次郎の作?という共箱がついている作なので、自分で簡単に修繕しておきました。代わりに使っている茶碗も欠けているようで・・Image may be NSFW.
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破損の酷いものは専門に金繕いしているところに依頼しようと思っています。

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いずれも氏素性の解らぬ作品ですが、このまま捨て置くにはもったいないと思い、修理しようかと・・。陶磁器は氏素性の解らない作品がやたらと多いようです。

本日は普段使いには良さそうなのですが、氏素性は?と尋ねらられると「はて?」という作品の紹介です。

七官青磁 陰刻紋盤
合箱入
口径240*高台径*高さ45

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中国の浙江省の龍泉窯で焼かれた青磁で日本に舶載された中国の青磁は、ほぼ時代順に砧青磁(南宋~元)、天竜寺青磁(元~明初)、七官青磁の3種に区別されています。

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本作品は明時代の龍泉窯青磁陰刻と思われますが、七官青磁に分類され、明代中期から後期に焼かれたもので、淡い青緑色を帯びた透明性の強い青磁釉(ゆう)が特徴です。ただ、本当に氏素性は解りません。

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見込みに掻かれた文字はなんという字でしょうか?

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江戸時代に茶人が用いた花生(はないけ)、香炉、香合(こうごう)などが伝存していますが、七官青磁は青磁としては粗製に属し、格調に乏しいと言われています。

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*七官の名称の由来は、これをもたらした中国人の名前、あるいは位階とする説がありますが、詳しいことは解っていません。

さて、もうひとつ、氏素性の解らぬ作品の紹介です。

本作品はしばし忘却しており、家内がお茶の稽古場から持ち帰った際に、思わず「あれ~、こんな作品があったかな~?」。

木葉天目茶碗
箱入
口径*高台径*高さ

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データを検索するとたしかにありました。ところで木葉天目の製法は近代まで謎とされていました。

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木葉天目茶碗は日本国内では再現がすでに可能になっています。製法もほぼ解明されていると言っていいでしょう。保戸野窯の平野庫太郎氏もその製作者の一人です。

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ある特定の葉に特定の成分をを葉脈に吸収させて焼成する技法のようです。

本作品は木村盛伸の箱に収められていますが、これはなんらかの間違いがあるように思います。木村盛伸氏の長兄である木村盛和氏は中国の天目茶碗の再現に尽力していますので、悪意に?箱を誂えている意図が感じられます。

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現代中国の建窯で再現された木葉天目なのか、時代がきちんとした木葉天目なのかによって大いに評価が違いますが・・。とはいえ果たして現代の中国で木葉天目茶碗の再現が可能になっているかどうかも不明です。が・・

参考作品
木葉天目茶碗(重要文化財)
大阪市立東洋陶磁美術館所蔵
吉州窯 南宋時代・12世紀
直径:14.7cm 住友グループ寄贈

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木葉天目茶碗は主に中国の吉州窯で作れましたが、建窯で作られた天目茶碗とは違い、吉州窯の天目茶碗は胎土が白く、土が緻密であるため、薄作りで、碗形も直線的にひろがっています。

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高台が小さいのも特徴の一つですね。

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吉州窯では黄褐釉と黒釉の二重がけで、べっこうに似た釉調のものを作っていますが、参考作品の木葉天目も、その手法を応用したものでしょう。参考作品は加賀前田家に伝来したものです。

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上記の特徴は本作品も備えています。「胎土が白く、土が緻密であるため、薄作りで、碗形も直線的にひろがっています。高台が小さいのも特徴の一つ。」というのは共通しています。

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ま~、当方に宋代の木葉天目茶碗など所持するはずもないのですが・・。

最近、騒がれている「曜変天目茶碗」とはレベルの違う話ですが、お茶の稽古に使う程度には問題ないでしょう。

古伊万里にしても鍋島にしても、また古い中国古陶磁器にしても再現可能になると、ますます氏素性が解らない作品が増えてきますね。


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