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2017年5月 男の隠れ家

今年の5月の連休は男の隠れ家に甥っ子を除き参集しました。

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散り始めた桜をメインに百花繚乱・・。抜けるような青空に桜吹雪はとてもリッチな気分です。

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庭は義妹の努力の甲斐があってだいぶきれいになりました。

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都会の喧騒や味気の無いマンション群とは格段に違う贅沢です。首都圏から半日で来られます。羽田空港からなら数時間・・。

さて庭をひと周りの点検・・。

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苔生す庭からの眺め、見渡すすべての田畑がこれまた庭、当然縁側からは絶景。

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息子もまた気持ち良さそうです。

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墓参りの前にちょっとドライブで水芭蕉見学。この群生を見に来る人は一人もいません。

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住民にとっては平常の景色なのでしょう。

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減反で荒れた田畑が自然を取り戻してきています。

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田には水が入るのは間じかですね。「田に水が入るよ」と言うと息子が「カエルが来るね!」・・??なにか説明を間違えたかな?

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墓参りの花は当然、そのへんに咲いている花でまかなえます。

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本日は義父の命日。願わくば花の下にて死なん・・を全うした義父。亡くなった早朝は桜が満開でした。

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家紋の違う墓・・・・、少子化の現代は細かいことは乗り越えなくてはいけないのです。

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家や宗派、土地などに拘る意識は地方では乗り越えなくてはいけない状況にきています。

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皆がそういう意識を乗り越えてくれているのが当方はありがたい。さてともかく、飯じゃ!

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山菜が「うめ~」と息子・・、とは言いませんでしたImage may be NSFW.
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 やはり苦味というのが苦手かな?

*とうとう就職して間もなく仙台に赴任していた頃になけなしの貯金で買ったリーガルシューズのウイングチップの靴、もはや40年近く何度も修理して履いていたのですが、とうとう底が割れリーガルシューズに持ち込んだのですが、修理不能とのこと。履きやすさ、何度かの修理で外観も見劣りしないのですが、底との取り合い部分の皮が疲労破壊の状態になっているとのこと。やむを得ず、全く同型の新し靴を購入しました。ビジネスシューズは都度履き替えて、手入れをして、ときおり修理に出すと最低10年は履き続けられるようです。修理ができる靴が購入の目安になりますが・・。
10万を超える高級靴や修理の効かないカジュアルシューズなどは無駄な贅沢だと思います。ただ靴というものが分かってくるといいものが欲しくなりますね。


鶏 福田豊四郎筆 その

男の隠れ家で骨董漁りをして、漆器などの修理の必要な作品や未整理の作品を輸送する準備をしていると家内はなにやら納戸や箪笥をごそごそと・・・。

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どうも小生の子供の頃に着ていた着物をいくつか探してきたらしい。寝ていた息子を起こして着せてみていくつかを小生の梱包しようとしてるダンボールに入れ込んできました。どうも仕立て直して着せるつもりらしい・・Image may be NSFW.
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「え~と、親爺が着ていたいい着物があるのですが?」という小生の要望は今回は無視されましたImage may be NSFW.
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さて帰郷に際してはいつも寄らせていただく骨董店。今回も待ち構えていた?ご主人につかまりました。いろんな作品を見せていただいて、やはり気になるのは父の友人であった福田豊四郎の作品で、良さそうなのが三点ありました。懐具合との兼ね合いで二点を購入しました。

鶏 福田豊四郎筆
紙本着色
3号 画サイズ:縦*横(未測定)

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印章は非常に珍しいものです。落款からは昭和30年頃と推察されます。むろん真作でありますが、福田豊四郎の作品では「軍鶏」が有名で、鶏を単体で描いた作品は少なく、本作品の図柄と同図を使って鶏の番いを線描で描いた代表作があります。

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鶏は家内と干支といって、家内を説得して購入しました。Image may be NSFW.
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帰京後、小生の着た古い着物は祖母の手に委ねられました。




寛政壬子山水図 その2 釧雲泉筆 その19

帰郷する際は秋田市経由で帰りました。大館駅では秋田犬の「あっこちゃん」がお見送り・・・。
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小生も子供の頃、父が飼っていた「シロ」という真っ白な秋田犬と遊びました。全国品評会で銅賞になったこともある秋田犬でした。

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いきなり顔をぺろり・・・、亡くなった妻と同じ名前の秋田犬・・・。

秋田市では保戸野窯の平野庫太郎氏を訪ねてきました。ここでも骨董品との新たな出会いがありました。刀剣に掛け軸、鼈甲など・・。息子には秋田犬を形づくった作品を戴きました。

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秋田駅にて銘菓の金萬の売り場の近くで平野庫太郎氏作の「秋田犬」を発見!

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旅にはいろんな縁があるものです。

さて本日は贋作があまりに多いので最近は距離をおいている釧雲泉の作品ですが、インターネットオークション上に不鮮明な写真にて出品されていたので、参考作品として入札してみたら1000円で落札してしまった作品です。

寛政壬子山水図 その2 釧雲泉筆 その19(贋作を除外した整理NO)
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1968*横567 画サイズ:縦1780*横459

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この作品と同図の作品が存在することは知っていました。その作品が左図であり、インターネット上に紹介されている作品で、右が今回入手した作品です。

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本作品の賛には「寛政壬子后二月念三日酔作於葵邱之緑筠居席間 岱就 押印」とあり、1792年(寛政4年)の作と思われます。同図の作品の賛は説明によるとですが、「(寛政)壬子后二月念三日酔作於癸邸之緑居席間 吉備岱就 押印」と思われます。同図の印章は不詳です。

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つまり比較すると
本作品の賛:「寛政   壬子后二月念三日酔作 於葵邱之緑筠居席間 岱就   押印」
同図の賛 :「(寛政?)壬子后二月念三日酔作 於癸邸之緑 居席間 吉備岱就 押印」
となるようです。

違いは構図に若干の違いはあるものの構図はほぼ一緒で、賛の「筠」と落款の上の「吉備」の有無と遊印の有無が違う程度です。

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印章は違う印章が押印されているように推察されます。落款には「岱就(たいしゅう)」と記されており、この落款は寛政4年頃(1792年)の作品に多く、両作品共々、この時期の作品に散見される独特の絵の激しいタッチが全面に出ています。

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「酔」とあり、酔って描いた作品が複数あるものでしょうか? どちらかが贋作の可能性があるものか、釧雲泉という画家は複数同図の作品を描いていたということなのか・・・。

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釧雲泉の作品はこの寛政年間の若い頃の作品が評価が高く、重苦しい感のあるその後の作品より人気があります。

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筆致は実に軽快で、浦上玉堂や池大雅と比較しても劣らぬ趣があります。

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墨の滲みからみずみずしい作品に仕上がっています。表具も時代を感じさせますが、再表具の必要は無く、箱は書付のない合箱です。

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模写した贋作と推測もありますが、贔屓目かもしれませんが、出来、賛の書体から同時に描かれた真作の可能性がある作品と思っています。

通常の判断では本作品を模写による贋作と断定しますが、南画を今まで蒐集してきた経験からそういう贋作とはどうも違うのではないかという思いです。

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これまでの釧雲泉の作品をみてきていると、単に贋作と片付けられない作品が同じ構図で存在することが多く、釧雲泉は同時に同じ構図の作品をいくつか描ていた画家のように思われます。

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たしかに真作を臨写できる状況にあった画家が模写していたとも考えられますが。ただ、時代をまたいでの作品がいくつか存在するので、そうも断定できないようです。

釧雲泉には数多くの稚拙な贋作が存在するので、釧雲泉というと贋作という疑惑の先入観があるため複数存在する同図の作品を現在でも評価していないのかもしれません。

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小生からは良くみると同図の作品より本作品のほうが出来が良いのではとも思えます。

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骨董の世界は魑魅魍魎たる世界で一筋縄ではいかないものです。

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浅学の小生がとやかくいう問題ではありませんが、南画の人気が廃れた現代では釧雲泉の作品においても真贋を騒ぐほどのことの価値がないのも事実です。

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さて南画ファンの読者の皆さんはどう思われますでしょうか?

本日早朝より九州へ出張です。九州から広島、大阪、四国へ・・・。

男の隠れ家の漆器たち

息子が具合が悪そう五月の連休の最初は、遠出せずに家で納戸から漆器類を引っ張り出してきて手入れしていました。

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母がダンボールに整理していた脚付きの富嶽図の膳です。

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高い脚でないので、茶懐石でも使えるかな? 基本的に茶懐石では脚付きの膳は使わず、盆を使うと思ったほうがいいでしょう。

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一般的には真塗の盆を使いますが、おもてなしですので違った趣向でも一向に構わないと思います。真塗の作品は以前に紹介したことがありますので省略します。

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このような膳は今では買うと高価ですが、これほど塗りがしっかりしている作品はもはや新品ではないかもしれません。

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漆器というものものも大切なのは品格です。しっとりした時を経た漆の趣があります。近代の漆器は絵も下手糞、漆は中国製、下地や漆の厚みも薄っぺらという状況です。古い漆器をネットオークションで探してもいいものは皆無に近いと思われます。

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こちらは「三の膳」用の丸い脚付きの梨地の作品です。

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20客揃いで遺っていますが、なかなか傷の無い状態で遺していくのは難しいものです。今回のように数年に一度は手入れしておかないと、漆器にカビがついてきます。

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最近の方は、漆器の碗や箸を平気で他の陶磁器の食器と一緒に水につけておいたりしますが、そのようなことは子供の頃に母から怒られたものです。漆器の手入れの仕方も母からきちんと教わったものです。

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日本人が日本古来の食器を使わなくなり、手入れの仕方すら知らないようです。

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これは梨地の大きな盛り付け用の碗です。

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祖父が作らせた家紋入りの漆器は多々あります。個々にも家紋入りで個人の銘入りが入った作を作ってくれており、箸、箸箱、汁椀は誕生祝にもらっています。祖父の眼は確かで、中途半端な作は受け入れなかったようです。

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亀の家紋は祖父が作ったものです。商売は5つの事業の種類を基本とし、「人は三人を柱として事業」を行なうこと、そして「家族三人、兄弟三人」で仲良く暮らせという意図・・。

「銀吹」に家紋入りは高級品で、「銀吹」の作品は一般的には作られておらず、当方には他にお膳、御櫃、汁椀が揃いであります。

家紋入の重箱はもうひとつあります。

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兄弟三人に配られたようです。

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重箱には盆と膳がセットになっています。

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輪島に特注で作らせたようです。

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現代でもこのような特注は可能で、名前入は価格も安くすぐにできますが、この家紋は面倒そうです。

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椀以外の食器には陶磁器が多く、柿右衛門の揃い、平戸焼の揃いがあります。

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家紋入りは普段使いには支障があるようなので、家紋が入っていないものもあります。

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本日紹介した作品は手入れもきちんとされており、保存状態も良好なのですが、山とある他の漆器のメンテナンスに手をかけだすとかなりの労力と費用を費やすことになりそうです。





鯉 福田豊四郎筆 その73

帰郷してあちこちで花見・・、半日でかなり見学できました。

男の隠れ家の桜。

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母校に庭に侵入・・。

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近くの川べりを散策・・。

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観光客のいない花見は実にいいものです。

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本日は今回の帰郷で購入した福田豊四郎の作品の二作品目の紹介です。

鯉 福田豊四郎筆 その73(真作整理番号)
紙本着色
10号 画サイズ:縦*横(未測定)

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本作品は福田豊四郎の最晩年の代表作のひとつである「眼底湖」の構図にある双鯉のひとつと同構図の作品です。

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昭和40年頃に作品となります。同じく「鯉」という掛け軸の作品を所蔵していますが、こちらは当方の誕生祝に描かれた作品であり、昭和30年頃の作品です。

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福田豊四郎の作品についての真贋はもはや経験値で判断できるようになってきましたが、贋作もありますので購入される方は十二分に注意されることです。

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額は同郷の前の所蔵者が特注したもので、ポプラに木で作ったものだそうです。実に重い!

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玄関に飾っていた福沢一郎の作品と飾り替えました。

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玄関には最近購入した「田園交楽団」もあります。

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床には「十和田湖」が・・・。

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額の作品は荷造りと輸送に手間がかるのですが、そろそろ展示室に送って整理しようかと思います。







雪景山水図 天野方壷筆 その4

骨董市では掛け軸が皆無となり、骨董店でも主体は陶磁器、日本画も額装のものが売買対象となっており、インターネットオークションでも出品されるものは贋作ばかりでめぼしいものが無くなり、掛け軸の需要はますます無くなっているようですが、やはりいいものはいいという作品の紹介です。

雪景山水図 天野方壷筆 その4(真作整理番号)
絖本水墨淡彩軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦2030*横680 画サイズ:縦1460*横500

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丁丑:1877年 明治10年。天野方壷は1824年生まれであるから54歳の頃に作となります。

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「絖本」に描かれた力作となります。
「渓山積雪図」という作品が「思文閣 墨蹟資料目録「和の美」第475号 作品NO37」として掲載されていますが、その作品と同等の出来栄えかと思われます。

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漢詩は難解でなんとか下記まで判読できましたが、これ以上は後学とせざるません。意味は?

天風夜撼玻璃國 四面沈々元気黒 □林   
野□曙雞遠 世界江山盡瑶毛 山翁□檻 
□蒼□ 一鳥不鳴山外□ 冷光十里断人跡
玉樹皜々横山門 渓寒沙□水煙□ 仙□
犯暁停夙□ 雪中忽□清冷橋 詩□老   
玄憑誰寄              
丁丑十月方壷寫

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*印章は本ブログですでに紹介してある「鯉」・「四幅対の秋」と同一印章が押印されています。

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天野方壷が師事した画家は本ブログでもお馴染みの画家が多いです。

「文人画家の中林竹洞や、書家としても有名な儒者の貫名海屋に学んだのち、関西から山陽山陰を経て九州四国まで数年にわたり西日本各地を歴遊し、勝景、奇景を写生したり古画書を模写したりして修行を続けました. 21歳のとき一旦は京都に戻り、日根対山に師事しましたが間もなく京都を発って関東へ旅行、江戸に至り、渡辺華山高弟の椿椿山に学んだあと、蝦夷地にまで行って海岸の勝景を写生しております。さらに、長崎で木下逸雲に学び、明治維新後、明治3年47歳の時には中国上海に渡航し、胡公寿にも師事しました。」という経歴があります。

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また天野方壷と交際のあった文人画の巨匠、富岡鉄斎は、私的な筆録(メモ帳)の中で方壷のことを「画匠」と記していて、かなり高く評価していたことが窺えます。


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幕末、明治の激動期、若くして郷里を飛び出し、京都に定住したとはいえ、中国並びに日本各地を絵筆一本で渡り歩き、旅先で没したいわば遍歴の画人であり、その詳細はわからない。だが、彼の遺墨は、県内はもとより全国各地に散在し、熱狂的な支持者により今も多く珍重・秘蔵されているとのことです。

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俗塵を離れ、気宇広大で自在の境を行き、四条派の修練も経ているだけに確かな写実に裏付けられ、いわゆる文人画の域を脱し、本格的な専門画人であることを十分示している画力があります。中国で彼と同門の安田老山は、帰朝後東都の南画を風靡し、純中国風を鼓吹し「いやしくも和臭あるものは絵にあらず」といっているが、さすがに同門、俗塵離れをした方壷の作風は、当時南画の尖端を行く作家にふさわしい貫禄を示していると言えます。

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一人の門弟ももたず、専らおのが画業に専念した画家です。その間、どれほど郷里に滞在し、どれだけの影響力を持ち得たのか。その点資料が乏しく推測の域を出ませんが、彼は、専ら作品により郷土人士の心をとらえ、今に残る多くの遺墨によっても、それを裏付けるに十分といえるでしょう。

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歴遊を続け、明治28年旅先の岐阜で逝去しました。享年72歳でした。墓は京都市上賀茂の霊源寺にあります。


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「瀧見観世音像図」、「鯉之図」、「春夏秋冬四幅」と本ブログで紹介してきましたが、天野方壷という画家はもっと評価されてよい画家の一人に相違ないでしょう。 

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旧蔵者などが箱に記されていますが詳細は良く解りません。

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軽視され続けられた南画、そして現代では掛け軸自体が疎んじられる傾向にありますが、このような作品はもっと大切にされていくべきものでしょう。

柿釉片耳壷 石黒宗麿作

板谷波山、岡部嶺男、そして石黒宗麿が陶磁器ファンの垂涎の陶芸家として挙げられます。加藤唐九郎と河井寛次郎らが続き、異論があろうかと思いますが他の陶芸家はそれに準じるものでしかないように思われます。この三人の作品は格段に品格が高いのです。

柿釉片耳壷 石黒宗麿作
合箱
口径*最大胴径90*高さ98*底径

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石黒 宗麿(いしぐろ むねまろ):1893年4月14日~ 1968年6月3日)。富山県射水市(旧新湊市)久々湊(くぐみなと)出身の陶芸家。贈従四位。作品の多くは射水市新湊博物館に収蔵されている。

1893年(明治26年)射水郡二塚村上伏間江、中越汽船社長・筏井甚造の四女めなの子として出生。
1893年(明治26年)名門の富山中学で不穏行動(ストライキを首謀し、止めにきた教師を殴る)で後、退学。
1918年(大正7年)中国宋の時代の陶器である曜変天目に惹かれ陶芸家を志した。
1936年(昭和11年)に京都市左京区八瀬で窯を開き、多くの作品を残した。ここが終の住み家となった。
長い年月をかけ、苦労の末に代表作木の葉天目を完成させる。
1955年(昭和30年)2月15日、初の人間国宝(重要無形文化財「鉄釉陶器」保持者)の一人に認定、新湊市名誉市民に推挙。
1963年(昭和38年)紫綬褒章受章。
1968年(昭和43年)勲三等瑞宝章受章。6月3日、老衰のため死去。

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当方の陶磁器の蒐集は
1.浜田庄司という陶芸家を中止とした民藝作品
  河井寛次郎 金城次郎ら壷屋焼 バーナード・リーチら

2.源内焼を中心としての国焼

3.呉須赤絵を中心とした中国陶磁器

という三本を柱にしています。だんだんと系統立てられてきています。そういうところから近代陶芸作品に派生していく中で鈴木蔵、金重陶陽ら備前焼 魯山人 荒川豊蔵 田村耕一 清水卯一らの作家作品が集められています。むろん整理しながら真作のみを手元に残すようにしています。 

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限られた資金の中でどうしても真作が入手できないのが、上記の三人です。むろん加藤唐九郎、加藤孝造らといった未入手の陶芸家の作品も多々ありますが、この三人は特別なのです。

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今回入手の作品は真作と判断しています。根拠は下記の資料もありますが、中国陶磁器などの観点からとやはり何気ない作品でありなが特別な品格が漂う点からです。

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思い込みというのは恐ろしいもので、ついついなけなしの資金をつぎ込んでしまうものです。

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いいものが欲しくなると、基本的に格安では入手できなくなります。

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本当にいいものはそれなりの代価を払って入手するのが王道でしょう。骨董市や一流どころでないお店で値切って購入しても、結局はがらくたしか集まらないように思います。

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仕事も趣味も王道を歩むのが人生の鉄則なのでしょう。

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何気ない小さな器ですが品格が漂います。

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以前に紹介した「気になる小壷」・・・。

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こちらはメモのみに「石黒宗麿」とあります。銘や共箱のない作品が石黒宗麿には数多くあるようですが、証明できなければただの器・・・。

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現在は机の脇のペン立てです。真作のみを手元に残すというのは割り切りの必要な、思いのほかたいへんな労力です。

胡散臭い作品たち 刷毛目茶碗 バーナード・リーチ作

陶工バーナード・リーチの作品にも贋作が横行しているようです。

刷毛目茶碗 バーナード・リーチ作
共箱
口径124~128*高台径63*高さ82

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共箱もなにもなく、ただ「BL]という印銘があるだけの作品です。

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実に手取りの軽い茶碗です。

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バーナードリーチの刷毛目の茶碗には下記のような作例があります。

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バーナードリーチの胡散臭い作品は残念ながら当方にもいくつかあります。

印も箱書もいくらでも模倣できそうな作品ですので、胡散臭い作品が市場に溢れています。大皿や壷、絵付けのあるような大作はすぐに真贋が解りますが、茶碗はちょっとだけ真贋が解りにくいようです。

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決め手は「雰囲気から和風ではない、どこか西洋風の趣でありながらきちんと和風」という点ですが、非常に曖昧なようであまり手を出さないようがよいようです。

下記の2作品はインターネットオークションに出品されていた共箱付きの胡散臭い作品・・。

掛合釉茶碗 伝バーナード リーチ作
共箱
口径110*最大胴径120*高台径57*高さ83

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蝶文茶碗 伝バーナード リーチ作
共箱
口径1118*高台径59*高さ85

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刷毛目茶碗の出来がちょっと違う。他のふたつは何かの食器にでも・・。

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印銘でも共箱でも真贋は解りにくいのですが、作行きからの良し悪しが一番解りやすいようです。共箱でない「刷毛目茶碗」の作品が筋がいいようです。

波斯 青釉彫文小鉢 波斯 その2

息子と畑にくと成っている金柑の実を自分で取っては食べています、小生は「酸っぱい!」と思うにですが、息子は「酸っぱいの大好き!」といって平気なようです。もちろん食べきれないので甘くして食していますが・・。

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本日は本ブログでもときおり投稿している波斯の発掘品の作品の紹介です。

波斯 青釉彫文小鉢 波斯 その2
市川清鑑定箱入
口径約150*高さ68*高台径52

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箱書きには「小鉢」とありますが形としては抹茶碗です。非常に薄手であり、低温焼成で作られ、経年変化とともに貫入が入り脆くなっています。

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茶碗としての用途には耐え切れないので鉢として観賞として用いるしかないのでしょう。

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箱の裏には『グルガン 12世紀 市川清 「清」の朱方印』があります。

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彫文様に勢いがあって見ごたえのある出来となっています。

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発掘品ですが状態はすこぶる良く外側に銀化が見られ、作品の価値を高めています。

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また貫入に沿って茶渋のように黄色くなっています。

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一部は金色に発色しているようにも見られる箇所もあります。

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このようにブルーの発色がきれいに残っている発掘品は珍しいもののようです。

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なおグルガンはイスラーム陶器の有名な出土跡地です。

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このような発掘品を水を入れたり、水で洗うには厳禁です。意外に知らない人が多いようです。

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あくまでも観賞用か、使っても菓子鉢か?

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脆いので保存にも気を使う必要がありますね。

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甘く漬けておいた金柑の実を扱うように・・・。


地釉象嵌縄唐草文皿 島岡達三作 その7

保戸野窯の平野庫太郎氏の作品「油滴釉片耳付花入」を何気なく、床に置いておいたら、家内が花を生けてくれました。

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なにの花か解りますか?

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さて、浜田庄司、金城次郎、バーナード・リーチという民藝運動の陶芸家は数多くの大皿を製作していますが、かなりの体力を使うために基本的には晩年には数は少なくなってるようです。数多くとはいえ、やはり他の茶碗や花入などに比べて作品数が少ないようです。

浜田庄司、金城次郎、バーナード・リーチの大皿の作品は市場にでる数も少なく、特に浜田庄司は震災によって壊れた作品もあり、希少価値がますます高まったようです。

本日紹介するのは、意外に気軽に入手できる島岡達三の大皿の作品です。

地釉象嵌縄唐草文皿 島岡達三作 その7
共箱
口径447*高台径*高さ103

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気軽に入手できるとはいえ、40センチを超える大皿は珍しいかもしれません。前回紹介した作品は40センチ弱の作品でした。天皇陛下の退位表明の後ろに展示されていたり、なんでも鑑定団に大皿が出品されかなりの高評価を受けたこともあり、人気が出てくるかもしれません。

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「地釉」と箱書にありますが、これは透明釉の中に磁器を焼く時のカオリンという土を僅かに混ぜ、それで全体を上掛けしてあるものです。そのためしっとりとした柔らかさが出てきます。浜田庄司もよく用いましたが、これが島岡達三の焼き物の特徴のひとつでしょう。

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次に記されている「(縄文)象嵌」とは、まだ生の柔らかい土の上を、組紐を転がし、そこへコバルトを混ぜた白い土を埋め込む技法です。中央の見込みの円窓に白泥と鉄砂で草花文を描いている。それを1300度くらいの高温で焼き締め、叩くとまるで磁器のようなカーンという音がします。深さもあり、重さはかなり重い作品です。」

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前に紹介した大皿の比較しても一回り大きさが大きくなっています。中央の見込みが唐草文というのは珍しいと思います。

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印章の具合から、今まで紹介してきた作品よりも若い頃に製作された作品ではないかと推察されます。

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備前の大皿、呉須赤絵の大皿、古伊万里の大皿、染付の大皿、民藝運動の大皿と大皿に数が増えてきましたが、大皿は大きめの壷は観ていて飽きがこないものです。

息子は「黒いの好きだよ!」と油滴天目釉が気に入ったようです。

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花は紫蘭とブラックベリーです。畑はブルーベリーの花が満開です。ジャムや冷凍にしておくといつまでもブルーベリーが愉しめます。週末も昨年冷凍にした実を息子と食べて、息子の舌が黒くなりました。「黒いのすき!」Image may be NSFW.
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竹 伝原三渓賛画

家内がなにやら掛け軸を購入したらしい。軸先も無く、訳のわからない竹の賛画・・・。

竹 原三渓賛画
紙本水墨軸装 軸先木製 合箱 
全体サイズ:縦*横 画サイズ:縦*横

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賛に「甲戌」とあり、最晩年の昭和9年、65歳頃の作と推察されます。
「三渓先生□畫竹 是蘆是竹□□□ 一竿想不人留□ □□清風満空吹 昭和甲戌冬於南風村荘寫 三渓 押印」意味は不明・・・。

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遊印は下記の写真です。

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印章は例が少ない印章が押印されています。家内がようやく探した印章と比較してみました。

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原 富太郎(はら とみたろう):慶応4年8月23日(1868年10月8日) ~昭和14年(1939年)8月16日)。実業家、茶人。

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明治・大正・昭和の前半期にかけて生糸貿易で財を成した実業家にして古美術と近代日本美術のコレクター、新進画家のパトロン、さらに自らも絵筆をとる文人であり茶人、横浜だけでなく日本を代表する文化人として大きな存在感を示した号は三溪。三溪の号は自邸がある本牧三之谷の地名からとった。

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補足説明

美濃国厚見郡佐波村(現・岐阜県岐阜市)出身。1868年(慶応4年)岐阜県厚見郡佐波村(現岐阜市柳津町)に青木久衛・琴の長男として生まれる。小学校卒業後、儒学者の野村藤陰や草場船山に学ぶ。その後上京し、東京専門学校(現・早稲田大学)で政治学・経済学を学び、跡見女学校の教師を務める。

1892年、跡見女学校に通う横浜の豪商・原善三郎の孫・原 屋寿(はら やす)と結婚し、原家に入る。1899年(明治32)善三郎の死去に伴い、横浜で一二を争う生糸売込商「亀屋」の家業を継ぐ。翌年には原商店を原合名会社に改組、富岡製糸場など製糸業にも進出して近代的な事業経営を次々と展開する。横浜市を本拠地とし、絹の貿易により富を築いた。また富岡製糸場を中心とした製糸工場を各地に持ち、製糸家としても知られていた。

1915年に帝国蚕糸の社長、1920年に横浜興信銀行(現在の横浜銀行)の頭取となる。1923年の関東大震災後には、横浜市復興会、横浜貿易復興会の会長を務め、私財を投じ復興に尽くした。

このように多くの企業や社会福祉関係の要職につくかたわら、院展の画家や彫刻家に対する物心両面の援助を行う。美術品の収集家として知られ、横浜本牧に三溪園を作り、全国の古建築の建物を移築した。三溪園を一般公開したのが1906年(明治39)、小林古径、安田靫彦や前田青邨ら若手画家への支援を開始するのが1911年(明治44)、臨春閣の移築が完了するのが1917年(大正6)。三溪園にはインドの詩人タゴールをはじめ内外から著名な文化人が多数来訪。

1923年(大正12)の関東大震災時には横浜市復興会長として横浜の復興に奮闘、また生糸危機に直面した蚕糸業や銀行の救済に奔走、さらに経済の発達に伴って生じるさまざまな分野の社会事業にも貢献を果たす。

晩年は親しい友人・知人との三溪園での茶会や、自らの書画三昧の生活を楽しむ。1939年(昭和14)逝去、享年70。三溪園は、戦後原家より横浜市に譲られ、現在は財団法人三溪園保勝会により保存され、一般公開されている。子に原善一郎、原良三郎らがいる。


南風村荘:伊豆長岡の原三渓の別荘。“居は気を 移す”三溪お気に入りの田舎屋。

高橋杏村:原三渓の外祖父は画家の高橋杏村。幕末の画家。美濃生。名は九鴻、字は景羽、通称は友吉・惣右衛門、別号に爪雪・塵遠草堂等。京都に出て中林竹洞に南宋画を、頼山陽に書を学ぶ。詩を能くし、梁川星巌、小原鉄心らと親交を結んだ。慶応4年(1868)歿、64才。

跡見 花蹊(あとみ かけい):1840年5月10日(天保11年4月9日) ~1926年(大正15年)1月10日)。日本の教育者、日本画家、書家。学校法人跡見学園の創設者。甥は浦和画家の跡見泰。

横山大観:「山路」(明治44年制作)原三渓の依頼によって描いた作品

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補修される漆器 銀吹の食器

祖父の代に揃えられた器が家に遺っていますが、日頃使っていたのでだいぶ痛みがあります。母が大切に保存していましたが、「直す必要があるのよ。」と言っていた作品に「銀吹」という輪島塗の作品群があります。

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最初に直したのが御櫃でした。透明の漆が痩せてきて、化粧の銀の粉が剥離している状態でしたので輪島の工房に依頼して直す方法を相談しました。

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銀の剥離した部分は少し目立ちますが、巧く保守できたと思います。「銀吹」の食器は本家におそらく220客以上の揃いがあったのでしょう。その中から10客分が別家である母に譲られたもののようです。

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蓋付の汁碗も10客ありますが、銀の粉が剥離してきており早急に補修が必要な状態です。

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姿が美しい汁碗です。近代の樹脂製のものとは素地も違いますので捨てがたい骨董の分類になります。内側には福寿草をあしらった金蒔絵が描かれていますので、正月の席に使えます。

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家紋入の重箱にも「銀吹」の作品があります。こちらは状態がすこぶる良く、補修の必要はなさそうです。家紋入は普段は使わなかったのでしょう。

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お盆も2客ありますが、かなり使い込んでいます。

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重ねるとぴたりと収まります。研ぎ直しと透明漆の塗り直しが必要でしょう。

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膳は一の膳、二の膳が10客揃っていますが、こちらも銀粉が剥離してきています。この修理が一番費用がかかりそうです。輪島工房と良く相談しないと・・・。

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三の膳は梨地のようです。磁器の食器の揃いは柿右衛門と平戸の染付があります。東北の田舎で昭和の初めにこのような食器を揃えたという祖父の趣味のセンスが伺えます。

男の隠れ家にはまだまだ打ち捨てるにはもったいない作品群が眠っていますが、保存や修理は思いのほかたいへんですね。

さて、本日は名古屋まで出張・・。

繕いされた器

人は大切なことを失っても腹は減るものです。生きる気力も無くなり、力が抜けてしまっても食べることには貪欲です。人はなにがあろうとも生きることだけは本能として持っています。これは経験したことがないと実感として湧かないかも知れませんが・・。その境地では骨董などは路傍の石に等しいものです。

さて本日は無残に割れて補修された赤い輪線の碗・・。

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発掘品なのかもしれませんが、初期伊万里から古伊万里に移行する磁器に作られたと推察する非常に珍しい作品です。

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見込みには古九谷のような絵が描かれています。さてこのまま打ち捨てるには勿体ないが、鑑賞するにもあまりにも見苦しいので、輪島塗の補修で縁ができた輪島の工房に相談したみたところ、金繕いの職人さんが補修していただけることになりました。

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直ってきたのがこちらです。がさがさに割れたいた口縁を直し、磁体の色は共色に、青と赤の輪線を書き直しくれました。

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外側も同様で、脆い感触ではなくなりました。

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金繕いなら目立ちすぎるのを抑えた補修方法です。

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こちらは古清水焼の属する帯山焼の湯呑です。

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茶渋を落とそうという欲から洗浄中に落としてしまい。粉々に割れてしまいました。茶渋は落ちたのですが・・・。

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自分で繕いましたが、いまひとつ巧くできませんでしたし、なにしろ水が漏れるImage may be NSFW.
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こちらも輪島工房で金繕いの職人さんが直してくれることになりました。

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ちょっとした欠け程度なら素人でもできますが、大きな割や共色の必要となり補修は専門に補修する職人に依頼する必要があります。このような依頼によって技術が少しでも遺っていければと思いますね。

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作品自体の価値、作品への思い入れと補修費との兼ね合いがありますが、意外と廉価でしてくれるようです。

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出来上がってきた作品がこの写真です。内側は金繕いで外側が共色の補修となっています。

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外側は一見、どこが割れた部分かわからなくなりました。

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湯呑みですが、野点用の茶碗にも使えそうな風格がでてきました。家内も大喜びです。

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人は大切なものを失っても傷を負いながらも蘇ります。蘇るようにできているのです。蘇らせるべく食欲や仕事は必ず追いかけてきます。否応なしに・・・。

ものも蘇らせてやるのが人の務めのように思います。

羅浮仙図 小田海僊筆 その7

昨日は先々週に続き天王洲アイルで高校の同級会第2弾。卒業以来初めて会う同級生にも再会、盛り上がりました。行きと帰りは家内と息子と一緒で、二人は品川の水族館へ・・。

さて本日は本ブログでもなんどか紹介している小田海僊の作品です。小田海僊は嘉永元年(1848年)から安政元年(1854年)にかけて京都に画室を設けていますが、このころの作で、同時期に富岡鉄斎に絵を教えたと推定されています。

羅浮仙図 小田海僊筆 その7 
絹本着色軸装 軸先本象牙細工 鑑定箱
全体サイズ:縦*横 画サイズ:縦*横

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賛には「嘉永紀元秋八月 海僊寫」とあり、嘉永元年(1848年)頃、小田海僊が63歳頃の作と推察されます。「王羸之印」の白文朱方印、「巨海」の朱文方印の累印が押印されています。

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箱の添文には「本画は嘉永年間中支那より吾国画界の重鎮小田海僊指名の基に展示会の作品出陳の招聘を受け其の際の作と伝えられるたる銘作品なれば大切に保存有りて然る可く参考に供し。真筆無疑也一筆之識す。平安客中 天龍庵主人 押印」とあります。

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小田海僊の美人画の傑作。

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羅浮仙:隋の開皇年中、趙師雄なるもの羅浮山に遊び夕刻林間の酒舗に入ろうとすると、一美人に逢う。 言語は朗らかで、なんともいえない芳香を放っている。

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依って相携えて酒舗に入り、談笑して酒を飲んでいると、一人の緑衣の童子来たりて歌舞す。 師雄興に乗じて呑み、倒れて眠り起きてみれば、東方は巳に白らみ、身は大きな梅樹の下にあったので夜前の美人は、梅の精であることを知ったと言う伝説から、古来、梅樹の下に美人を描いて「羅浮仙」と名づけたと伝う。菱田春草の作品が著名。

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小田海僊:天明5年(1785年)~文久2年閏8月24日(1862年10月17日))は、江戸時代後期の日本の南画家。 通称良平、名は羸(るい)または瀛(えい)。 字を巨海、号は海僊の他に百谷または百穀。周防国富海(現 山口県防府市富海)に生まれ、長門国赤間関(現 山口県下関市)の紺屋(染工)を営む小田家の養子となる。

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22歳のとき、京都四条派の松村呉春に入門し、写生的な画風を修得し同門の松村景文や岡本豊彦らと名声を競った。のち頼山陽の助言で,中国元明の古蹟や粉本を学び南宗画法に転じた。その勉励の貌は小石元瑞から画痩といわれるほどであったという。

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頼山陽と共に九州に遊ぶこと5年,帰京ののち画名を高め,中林竹洞、浦上春琴らと並び称せられた。文政7年(1824年)、萩藩の御用絵師となり、一時江戸に滞在。

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1826年、京都に戻り活動。嘉永元年(1848年)から安政元年(1854年)にかけて画室を設けているが、このころ富岡鉄斎に絵を教えたと推定されている。

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参考作品
貴妃調鸚図
思文閣資料墨蹟目録「和の美」第455号 作品NO41 P86

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本作品が晩年の作となり、出来は良い。

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「銘作品なれば大切に保存有りて然る可く参考に供し・・・・」Image may be NSFW.
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とぼけた表情が家内に似ているので気に入っていますが・・。



源内焼 その92 & その93 三彩菊・楼閣文茶托十客揃魚形 三彩菊文茶托五客揃

茶室の裏側の円窓前の展示スペース、梨地の盛り皿を展示してみました。展示室に縁、もとい円がたくさんできました。縁起の良い飾り方かな? 梨地は金粉ゆえ、お金にも・・・Image may be NSFW.
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源内焼は地図皿などの大きめの作品が著名ですが、本ブログでも紹介してきたように、小皿、茶托、水滴、香炉、香合にも佳作が多数あります。本日は新たに2種類の茶托の作品を紹介いたします。

前回紹介しました10客揃いと一緒に展示室に展示してみました。

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源内焼 その92 三彩菊・楼閣文茶托十客揃
合箱入 
幅101*奥行75*高さ25*高台径47

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中央にはおそらく菊の文様、周囲には楼閣の文様とないやら文字があります。「大窮寺」ともうひとつ片側は不明です。描かれた楼閣の名前でしょうか?

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もう一組は魚・・。

源内焼 その93 魚形三彩菊文茶托五客揃
合箱入 
幅105*奥行80*高さ23*高台径43

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やはり見込みの中央には菊の文様。

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魚がユーモラスでユニークですね。伊万里などの魚型の食器を模倣してみたのでしょうか?

この茶托、ちょっと奇抜かも? 小皿に使うといろいろ楽しめそうです。 

源内焼には製作者のユーモアがある作品がときおり見られて面白いものです。このような源内焼をもっと知ってもらいたいと思うのは小生だけでしょうか?

高麗三島鉢

仙台に住んでいる友人が会社まで尋ねてきました。現役はほぼ引退しているのですが、体調を崩しときおり東京にある病院まで通院しており、時間が空くとときおり訪ねてきてくれる友人です。健康を害したせいか、「現役を引退して思うのは、人生で一番幸福なのは家庭の団欒だね。」と神妙な顔つきで話していました。小生曰く「なんだい、今頃気ついたのかい。」と毒づいておきました。短い時間の会話でしたが、最後は「気を付けて帰れよ。」と・・・。体調はだいぶ良くなっているようでした。

本日の作品は茶碗としては大きいので菓子鉢などによい三島手の作品です。この手の作品は良く見かけますが、実物は作りが雑なものも多いようです。

高麗三島鉢
合箱
口径184*高さ85*高台径55

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三島手は高麗焼の一種で、李朝初期15~16世紀の慶尚南道で焼かれたとされ、茶碗では雲鶴に次いで古いと考えられています。

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鉄分が多い鼠色の素地に、印や箆(へら)や櫛(くし)で紋様をつけ、白土の化粧土を塗った後、削り又は拭き取り仕上げをし、長石釉や木灰釉を掛けて焼成した白象嵌の陶器で、「暦手(こよみで)」とも呼ばれます。

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三島の名前は、その文様が、伊豆国三嶋明神(現三嶋大社)で版行された摺暦(すりこよみ;木版印刷)である「三島暦」の仮名の崩し文字に似ていることから「みしま」「こよみ」などと呼ばれたというのが通説となっています。三島手には、「礼賓(らいひん)三島」、「古三島」、「三作(さんさく)三島」、「彫三島」、「御本三島」などがあります。

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三島手の種類

「礼賓三島」は、見込みに「礼賓」の字が白象嵌で書いてあることが名前の由来とされます。礼賓は、礼賓寺という外国使臣を接待する役所のことで、ほかに長興寺・内資寺・内膳・司膳・仁寿府などの文字のあるものも礼賓と呼ばれます。この手は官用品として上納されたもので、三島の中でも上品が多く、器の素地自体も薄く、三島文が端整で細やかで、時に高台脇まで象嵌があるものがあります。

「古三島」は、来賓に続いて16世紀前半から中期へかけての物が多く、象嵌の手法が来賓ほど緻密ではないものです。

「三作三島」は、内面は三島象嵌で、外側は胴まで粉引で、高台脇に刷毛目のあるものです。刷毛目のないものは二作三島といいます。

「彫三島」は、慶長年間(1596-1615)初めに始ったとされる古田織部の意匠による日本からの注文品で、見込みだけに花紋の押し型を用い、見込み周辺や外側は箆で略紋を施してあります。

「御本三島」は、17~18世紀にかけて、日本で作られた手本(茶碗の下絵や切り形)をもとに朝鮮で焼かれたものです。

その他、技法により、「彫三島」のほかに、「釘彫三島」、「刷毛三島」、「絵三島」など、装飾により、「花三島」、「檜垣三島」、「渦三島」、「角三島」など、さまざまな呼び名がつけられています。

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さて本作品がいつ頃焼成され、生産地がどこであるかの詳細は不明です。

人生はなにがあるかわからない。だから今という時間を大切にしなくてはいけませんね。冒頭の彼の帰り際の一言「仕事オンリーでは現役引退後、家族から持てあまされるのがオチ。」だそうな。彼のために弁護しておくと彼は決してそういう境遇ではありません。会社を興して仕事をやりぬいた男の一言は重い。サラリーマンの経験では計り知れないものがあるようです。

刀剣 その四 脇差 無銘 拵え共 & チューリップ 福王寺法林筆

鞘を新しくしたり、削りなおした作で、研いだばかりの刀剣は一年ほどはメンテナンスが必要とのことですので、展示室の一角に刀剣を入れ替えで置いて手入れしています。

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刀剣 その四 脇差 無銘 拵え共
長さ:一尺五寸五分五厘 拵付
反り:三分五厘 目くぎ穴2個
拵え:黒漆青貝微塵笛巻鞘脇差拵 小柄・笄付

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刀剣は美術館や博物館ではその鑑賞は思うに任せません。すべての骨董に同じですが、自腹で購入するのが鑑識眼を高める早道のようです。

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登録証に「則光」と記されており、刀紋もきれいですが、基本的には無銘ゆえ詳細は不明です。「柴田刀剣」にて鑑定を受けており、「古刀ではなく新刀」に分類されるとのことです。 

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刀剣は息子には見せられませんが、息子に色紙の本作品を見せたら「咲いた、咲いた、チューリップの花が~」だと・・・。

チューリップ 福王寺法林筆
紙本着色 色紙タトウ
画サイズ:縦270*横240

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蓑虫山人のまくりの作品を購入したら、付属でいただいたのが色紙用の掛け軸。これは便利と早速つかわさせていただきました。

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福王寺 法林(ふくおうじ ほうりん):1920年11月10日 ~ 2012年2月21日)。日本画家、日本芸術院会員、文化勲章受賞。山形県生まれ。本名は福王寺雄一。日本美術院理事。福王寺法林は山形の生まれで、父親と猟に行った際に銃が暴発して片目を失っている。遠近感や奥行きを絵に持たせられるというのは並大抵の苦労ではなかったろう。ヒマラヤや富士山を何点も描いている。

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片目を失いながら、画家として大成した福王寺 法林・・、文化勲章も叙勲している大家です。

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ヒマラヤなどを描いた山岳画家として著名ですが、このような小作品は意外に知られていません。

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何気ない作品ながら「うまいな~」というのが正直な感想です。

得たいの知れぬ作品達 その2

本日は早朝より仙台、女川方面へ・・・。

五月の連休に際しは男の隠れ家で骨董に囲まれてのんびりとしてきました。周囲に飾ってあった作品をアトランダムに紹介します。すでにほとんどが本ブログで紹介された作品ですが・・。

まずは藤田喬平の花瓶。

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共箱があります。

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ベニスで製作したのでしょうか? 実はヒビが入っています。

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人間国宝の作とはいえ、硝子の作品はひびが入るとほとんど価値が無くなるのが難点ですね。藤田喬平の作品でひびが入った作品はいくつか見たことがあります。

次は中国の陶磁器。相変わらず中国陶磁は得体の知れぬ作品ばかり・・。

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説明はブログですでに紹介済みですので省略します。

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大したものではなかろうと普段飾っているのですが、意外に飽きがこない。鑑識力がまだまだ力不足なのかもしれません。

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李朝も・・。

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この程度の繕いは小生が自分で施しています。

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木彫も・・・。

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普段飾っている作品を良く見るとこれらはどこかに傷があって共直しやら金繕いした作品が多いようです。この羅漢像は足が共直しされています。

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古伊万里も・・・。

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蛸唐草の作品は鎹にて割れを補強されています。

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油絵・・・。

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お気に入りの作品ですが、誰の作かは未だに不明Image may be NSFW.
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 どなたかご存知の方がいると助かるのですが・・。

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さらには掛け軸も・・。

竹原嘲風(竹原啁風) は大正から昭和初期にかけて、そこそこ結構有名な画家だったらしい。

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練馬区立美術館にて「異才発見-竹原啁風という画家がいた! 」という展示が催されたことがあるようですが、詳細は当方ではまだ解りません。

こちらもどなたか詳しい方がいると助かるのですが・・。

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普段飾ってあるガラクタの作品に身を置いてのんびりとしたきました。

さて本日の新たな作品は週末ということでもあり、肩の凝らない作品の紹介です。

島岡達三作の茶碗を購入した際におまけでもらった小振りの茶入。

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家内曰く、「島岡達三作の茶碗」よりいいね~、だと・・・。釉薬は瀬戸、高取? どうも天目釉にもみえますね。

ところで高取などの釉薬の流れはどうも品がないものが多いように思います。茶入などの釉薬の流れは品がよくなくてはいけません。高取・朝鮮唐津に良く見られる媚を売ったような下卑た景色は小生の好みではありません。

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糸切底も見事。やや前面に傾き、使い易いようにできています。

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仕覆の生地はなにかな、久し振りに茶入を扱い、紐の結び方を失念していました。むろん、おまけゆえ箱も無く、銘も無く・・・。

おまけというと最近、郷里で福田豊四郎の作品を購入した際に、値切らないついでにおまけで戴いた色紙の作品があります。

初雪 舘岡栗山筆
紙本淡彩色紙
画サイズ:縦240*横270

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舘岡栗山は母の実家である郷里出身の画家です。

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本ブログで何度か紹介している画家ですが、郷里でも知っている人は少ないでしょう。

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叔父はかなりの数の舘岡栗山の作品を所蔵していましたが、すでに全数処分されています。勿体の無いことですが・・。

漆器の修理を依頼する過程で、水指にして使いたい作品の塗蓋を注文しようかと思っています。茶道具店を通して依頼すると、お値段が跳ね上がりますので・・。

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亡くなった家内が作った作品のひとつです。

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盛岡の南部窯にて焼成した作品です。私が陶芸を始めた窯元で、茶碗をたくさん作っていました。

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素人が作っていますので既製品の塗蓋ではがたつきます。

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30年ほど前の作ですが、いつか使ってみたいと思ってついつい今まで蓋を作れないで居た作品です。

種々雑多の作品に囲まれていますが、肝要なのは作品に振り回されないことのようです。価値が高いのではないかという邪念を持ってはいけません。作品に振り回されるようです。

それときちんと収納場所を持つことです。最小限飾るもの以外は、目に付くところに置かないことです。

仕事場に飾るなどはもってのほかです。あくまでも趣味ですので一線を画すことが大切です。

男の隠れ家 床の間

五月の帰郷に際して男の隠れ家で床の間の飾りを変えました。まずは飾ってあった飾り棚を仕舞いました。

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祖父の代からの作品ですが、保存状態がよいと最近作ったかのようにいい状態で遺っています。

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螺鈿も細かな見事な細工が施されています。

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引き出し内部は梨地が施されています。作者の名前はありませんが、シックに抑えられた上品なデザインです。

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このような華奢な漆細工の作品を扱うには細心の注意が必要です。

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湿度の高い時、乾燥しやすい時期、夏のような高温な時には飾れないし扱えません。むろん手跡が残るような扱いも現金です。

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絹の布で包まれ、収納箱もぎりぎりの大きさで誂えられていますので、傷つけないように慌てずにじっくりと収めます。

さて次は何を飾ろうかと男の隠れ家をさらに物色。またなにやら大きな箱・・。

置物木彫唐獅子像 越中井波彫刻
共箱 
作品寸法:縦*横*高さ(未計測)

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井波彫刻(いなみちょうこく):富山県南砺市井波地区(旧 井波町)を中心に生産される木彫工芸品。井波彫刻の発祥は、1390年(明徳元年)に建立された井波別院瑞泉寺が何度も焼失し、その度井波の大工により再建されてきたことが大きく関わっている。

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宝暦・安永年間(1763年〜1774年)の瑞泉寺の再建には、御用彫刻師の前川三四郎が京都の本願寺より派遣されたことにより、井波の大工が師事し教えを被り、その後寺社彫刻の技法が、欄間や獅子頭、天神様(菅原道真)などの工芸品に派生し今日まで受け継がれている。また4年に一度「南砺市いなみ国際木彫刻キャンプ」が開催されている。

伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法・1974年(昭和49年)5月25日法律第57号)に基づき、1975年(昭和50年)に伝統的工芸品として通商産業大臣(現 経済産業大臣)より井波彫刻協同組合が産地組合として指定(第2次)を受ける。現在、伝統工芸士(伝産法に基づく資格)、一級井波木彫刻士(厚生労働大臣認定資格)をはじめ、組合員を含め約300名もの彫刻職人が集中しているのは世界的にも珍しく、観光地化しているメイン通り以外の住宅地でも木彫りの槌の音が聞こえ、この音が「井波の木彫りの音」として日本の音風景100選に選定されている。また1947年(昭和22年)に設立された、全国唯一の木彫の専修学校「職業訓練法人井波彫刻工芸協会 井波彫刻工芸高等職業訓練校」があり、師匠に弟子入りしながら、デッサンや彫刻の基礎を学ぶ生徒が多い。

井波彫刻の作品としては、欄間や獅子頭、天神様(菅原道真)像がよく知られており、日常生活で使用する木工品より美術工芸品が制作の中心である。近年では、若手の作家が龍を纏ったエレキギターなどもある。その他井波別院瑞泉寺をはじめ、多くの寺社彫刻を手掛けてきた。また富山県内には、数多くの曳山(山車)祭りが行われているが、「放生津(新湊)」、「城端」、「八尾」、「海老江」、「伏木」、「出町(砺波)」、「石動(小矢部))」など、曳山を彩る彫刻や欄干(勾欄)などが、江戸時代より井波の名工によって制作や修理がされてきた。

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これは先ほどの飾り棚とは違っておおらかな作品ですが、木彫もまた扱いは慎重に行う必要があります。

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井波彫刻についてご存知の方は少ないでしょうし、小生もあまり詳しくありません。

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本作品の作者についての詳細は当方の資料では解っていません。どなたか知っておられる方はいませんでしょうか?

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掛け軸はなにか良いものはないかと物色・・・。

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木材で財を成した先祖はどうも「山神様」を大切にしたようです。男の隠れ家では仏壇からも「山神様」の作品がでてきました。

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「山神様」は女性です。よく田舎では「うちの山上様は怖い。」といますが。「うちの山神様」とは奥さんのこと・・。

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まさかまさかりまでは持っていないでしょうが・・。

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共箱はありますが、作者は不明です。共箱から大正10年(1921年)の作と推察されます。

この画家をしておられる方は居ませんでしょうか?

双鶴図 平福穂庵筆 その16

自宅の床の間飾りをちょっと模様替え・・。5月が終わり寺崎廣業の鐘馗図に代わり、平福穂庵の鶴の図を選びましたので、こちらも鳥に・・。

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田村耕一の鷺。

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呉須染付の大皿。

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呉須赤絵の大皿。

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訳の解らぬ統一性・・・、そして新たな本日紹介する作品です。

双鶴図 平福穂庵筆 その16(真作整理NO)
紙本水墨軸装 軸先鹿角 合箱 庄司氏旧蔵
全体サイズ:縦2063*横615 画サイズ:縦1078*横451

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手前は平野富山の「桃太郎」、これは暗に雉をイメージしています。

画中の賛には「甲戌春三月」とあり、1874年(明治7年)、穂庵30歳頃の作と推察されます。

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箱裏には平福穂庵の略歴のほかに「本幅は北秋田郡前田村庄司家(当時所有田七百八十町余)から仙北郡池田家(当時所有田千三百余町)へ嫁した時の持参品である。」と記され、「庄司氏所蔵」印が押印されている。秋田県の地主の所蔵であった事がうかがわれます。

筆致・落款・印章から真作と判断できます。

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平福父子には贋作が多いのですが、その理由は画家を多く輩出した郷里にて、贋作を数多く製作した画家がいたためと推測され、郷里の方に数多くの贋作が存在します。

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当方も経験を積むことによってだいぶ判断がつくようになってきました。

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平福穂庵は江戸末期から明治初期の画家なので、作品の入手はだいぶ数が少ないので困難な状況です。

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軸先は鹿骨のようです。

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要は酉が今年の干支・・。

黒柿の皿は関係ない? 「黒柿 孔雀杢」をイメージしているのですが、理解できるかな?

飾りには趣旨が必要らしい。理由もないものを判然と飾るのは品位がないとか・・。ブログも詳細な説明は省くようになってきており、本ブログのレベルはどんどん上がっていきますImage may be NSFW.
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