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Channel: 夜噺骨董談義
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贋作考 大津繪 仏画 二題 

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大津絵は江戸後期に絵種を十種に絞り、もっぱら護符として売られた時代がありました。文化・文政の頃から徐々に大津絵の主となり、幕末には他の図柄はほとんど描かれなくなってしまったようです。

人気は依然高かったものの、初期の風格を失い、美術価値が低いとされることも多いのが幕末以降です。この大津絵で最も希少価値が高いのが、初期に売られていた「仏画」です。

家内も「仏画はいいはね〜」と言っており、いつかは欲しいと思っていました。そこにひょっこり下記の二作品が売られており、もしかしたらと欲に駆られて購入した次第です。


大津繪 仏画 二題 
紙本着色 各々画サイズ:横247*縦657

古画の大津絵であれば2枚綴りではなくてはならない作品ですが、一枚絵でありかつ一枚絵の流行ったころよりサイズが大きい。ということは近代の作品か・・。


阿弥陀三尊来迎



紙はだいぶ痛んでいて古く見えます。



雰囲気も良い。



値段も安い・・・、これが一番よくない。それ相応の値段で売られていにモノにはそれなりの理由があるのが原則。        


地蔵尊



雰囲気がいい。ただこの図柄のふりものは滅多にないはず・・。仏画が市場には滅多に出ることはなく、現存数が数枚程度。



購入は止めようかと思いながら、何事も勉強と購入。この心がけは良いかも??



最近の作品ではないかという疑念が付きまとう。それは前にも記述した「大津絵の二枚綴り」という原則です。

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大津絵の二枚綴
二枚綴(にまいつづり)は二枚継ぎとも呼ばれ、古典的な大津絵の特徴となっています。最も入手が容易で安価であった半紙を、絵を描きやすい大きさに継ぎ合わせたものです。

江戸初期から中期にかけての大津絵は、ほとんどがこの二枚綴の大きさでした。稀に三枚を継いだより大きなものもあったようです。

江戸後期は、逆に継ぐことをやめ、半紙(半紙のサイズ:縦24〜26センチ、横32〜35センチ)そのままのサイズで描くようになっていきます。

現在では紙のサイズも自由に入手できるようになり、古紙を使うのでなければ特に継ぐ必要もないのですが、掛軸などでは大津絵の特徴として再現しています。

ちなみに江戸初〜中期の大津絵として売られているもので、二枚綴・三枚綴以外のサイズであったり、継ぎが無いものは考えにくいので、古大津絵を入手するときには一つの判断ポイントになります。

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本作品をいくら透かして見ても綴り部分がない・・・???

そう、古い作品には一枚綴りはこの大きさではありえないことです。わざと二枚綴りにして古く見せることはあっても、一枚綴りでこの大きさは江戸期にはおそらくないでしょう。

そうすると本作品は明治以降、おそらく昭和の作。紙は古く見せ、絵の具もそれなりに剥落していますし、本物をよく写していますが昭和以降の作品かと思います。

大津絵ではときおり製作された時代が推し量れない作品がでてきますので要注意です。

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