本日は再調査を開始している平福穂庵の作品の紹介です。
再調査している平福穂庵の資料には他に「山静日長」という作品が存在しているという資料があります。明治17年(1884年)の作で、落款には「山静日長 明治甲申春二月上澣 為太古子嘱 穂庵平芸寫 押印(白文「穂庵」、朱印「平芸画印」)」とあるようですので本日紹介する作品とは別のもののようです。ただ本作品は南画の技法を積極的に取り入れた平福穂庵の代表的な作例であることには相違ないでしょう。
山静日長之図 平福穂庵筆 その20
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:縦2010*横460 画サイズ:縦1130*横360
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「山静日長」:(山(やま)静(しず)かにして日(ひ)長(なが)し)
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「山静日長」は北宋の詩人、唐庚(とうこう:1070~1120)の五言律詩「醉眠」の冒頭にある字句で、当方の所蔵している重箱「輪島塗総蝋色梨地 四季山水図八寸五段重 臺付」にも用いられている。
書き下し文で日本では水墨画の画題や書に用いられる字句ですが、出典は下記の漢詩からです。
山静似太古 山は静にして 太古に似たり
日長如小年 日は長くして 小年の如し
餘花猶可酔 余花 猶(なお) 酔うべし
好鳥不妨眠 好鳥も 眠を妨けず
世味門常掩 世味には 門 常に掩い
時光簟已便 時光 簟(てん) 已に便なり
夢中頻得句 夢中 頻りに 句を得たり
拈筆又忘筌 筆を拈(と)れば 又 筌を忘る
*北宋の詩人、唐庚(とうこう:1070~1120)の五言律詩「醉眠」(酔うて眠る)
山は大昔のように静かだ。日は小一年程もあるかのように長い。
咲き残った花は酒の相手によく、鳥の声も眠りを妨げることはない。
うるさい世事が入ってこないように門は常に閉めている。もう竹のベッドは気持ちよい季節。
夢の中で、しきりに詩句を得たけれど、筆を執ってみると、さて何だったか?
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真作と判断しており、平福穂庵の作品で絹本に描かれる作品は珍しく、題を記するなど貴重な作品のひとつであることは間違いないでしょう。この作品が描かれたと推察される明治17年は平福穂庵の第3期と区分されている時期ですが、この時期の作品は各種の画法を自分のものとしており、とくに本作品では南画の画法を自分のものとし、線描は見事としか言いようがありません。
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本作品の箱書きには平福百穂の識が記されており、穂庵による賛は「山静日長」とありますが、平福百穂は「春閑」と題しています。
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子の鑑定箱書きは議論があるかもしれませんが、当方では本物と心得ています。
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表具もそれなりにされています。
あらためて作品を鑑賞してみてください。
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落款の特徴、第1画と第2画が離れている点、最終画が横へのハネが90度の点からは明治10年以降の作と推定されます。他の作品と同時期の明治17年頃の作かもしれませんね。
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平福穂庵は四条派の画風から始まり、各種の画風を習得し一時期南画も学んでいます。
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独特の奔放な筆遣いを抑え気味しながら描く南画風の作品は独特の風情があります。
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「山は大昔のように静かだ。日は小一年程もあるかのように長い。
咲き残った花は酒の相手によく、鳥の声も眠りを妨げることはない。
うるさい世事が入ってこないように門は常に閉めている。もう竹のベッドは気持ちよい季節。
夢の中で、しきりに詩句を得たけれど、筆を執ってみると、さて何だったか?」
再調査している平福穂庵の資料には他に「山静日長」という作品が存在しているという資料があります。明治17年(1884年)の作で、落款には「山静日長 明治甲申春二月上澣 為太古子嘱 穂庵平芸寫 押印(白文「穂庵」、朱印「平芸画印」)」とあるようですので本日紹介する作品とは別のもののようです。ただ本作品は南画の技法を積極的に取り入れた平福穂庵の代表的な作例であることには相違ないでしょう。
山静日長之図 平福穂庵筆 その20
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:縦2010*横460 画サイズ:縦1130*横360
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「山静日長」:(山(やま)静(しず)かにして日(ひ)長(なが)し)
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「山静日長」は北宋の詩人、唐庚(とうこう:1070~1120)の五言律詩「醉眠」の冒頭にある字句で、当方の所蔵している重箱「輪島塗総蝋色梨地 四季山水図八寸五段重 臺付」にも用いられている。
書き下し文で日本では水墨画の画題や書に用いられる字句ですが、出典は下記の漢詩からです。
山静似太古 山は静にして 太古に似たり
日長如小年 日は長くして 小年の如し
餘花猶可酔 余花 猶(なお) 酔うべし
好鳥不妨眠 好鳥も 眠を妨けず
世味門常掩 世味には 門 常に掩い
時光簟已便 時光 簟(てん) 已に便なり
夢中頻得句 夢中 頻りに 句を得たり
拈筆又忘筌 筆を拈(と)れば 又 筌を忘る
*北宋の詩人、唐庚(とうこう:1070~1120)の五言律詩「醉眠」(酔うて眠る)
山は大昔のように静かだ。日は小一年程もあるかのように長い。
咲き残った花は酒の相手によく、鳥の声も眠りを妨げることはない。
うるさい世事が入ってこないように門は常に閉めている。もう竹のベッドは気持ちよい季節。
夢の中で、しきりに詩句を得たけれど、筆を執ってみると、さて何だったか?
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真作と判断しており、平福穂庵の作品で絹本に描かれる作品は珍しく、題を記するなど貴重な作品のひとつであることは間違いないでしょう。この作品が描かれたと推察される明治17年は平福穂庵の第3期と区分されている時期ですが、この時期の作品は各種の画法を自分のものとしており、とくに本作品では南画の画法を自分のものとし、線描は見事としか言いようがありません。
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本作品の箱書きには平福百穂の識が記されており、穂庵による賛は「山静日長」とありますが、平福百穂は「春閑」と題しています。
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子の鑑定箱書きは議論があるかもしれませんが、当方では本物と心得ています。
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表具もそれなりにされています。
あらためて作品を鑑賞してみてください。
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落款の特徴、第1画と第2画が離れている点、最終画が横へのハネが90度の点からは明治10年以降の作と推定されます。他の作品と同時期の明治17年頃の作かもしれませんね。
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平福穂庵は四条派の画風から始まり、各種の画風を習得し一時期南画も学んでいます。
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独特の奔放な筆遣いを抑え気味しながら描く南画風の作品は独特の風情があります。
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「山は大昔のように静かだ。日は小一年程もあるかのように長い。
咲き残った花は酒の相手によく、鳥の声も眠りを妨げることはない。
うるさい世事が入ってこないように門は常に閉めている。もう竹のベッドは気持ちよい季節。
夢の中で、しきりに詩句を得たけれど、筆を執ってみると、さて何だったか?」